ArayZオリジナル特集

セキュリティのプロが案内 365日、タイで会社を守る方法

工場・倉庫

機械警備(ハード)と警備員(ソフト)のダブル体制が有効

防犯カメラで証拠を掴む

夜間の外部不法侵入のほか、従業員が鉄、銅などの金属系製品/部品を盗難するケースも多く挙がっています。これを防ぐためには、まず従業員の出退勤時に、警備員による金属探知機を用いた身体検査を行うこと。外部へ持ち出す際は証明書を提出させること。また、監視カメラを導入し、警備員と監視カメラの融合によるセキュリティ体制を構築することが有効です。

トラップがアラームやセンサーなどに連動し作動するモーション・ディテクションという機能や、インターネット経由で経営者が24時間体制で監視・確認できるRMS(リモート・モニタリングサービス)というサービスもあり、実際に盗難を検挙した実績があります。証拠としても活用可能です」
(M&Aガード マノップさん)

「24時間稼働の工場では、夜間、無人になるバックオフィス部分には監視カメラなどの機械警備システムを、工場部分には警備員をという風に、セキュリティを組み合わせて導入されるケースが多いです。

機械警備システムの通報対応エリアはタイのほぼ全土で、外部からの侵入を感知するセンサーが異常を検知した場合、コントロールセンターに通報が入り、全国47拠点から対処専門の警備員(常駐警備員とは別)が駆けつける仕組みになっています」
(セコム 瀬尾さん)
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オフィス

テナントオフィスは外部よりも内部に注意

心理的な牽制、抑止に効果あり

「オフィス用のテナントビルに関しては、不要な人が入れないよう入館セキュリティを備えたビルが、この数年で大幅に増えました。スタッフ用ゲートが設けられているのは当たり前、訪問者にはIDと引き換えにビジターカードが用意されており、部外者が突然入ってくるという心配は不要になってきたという印象です。実際に外部からの侵入犯罪は、テナント用オフィスビルではほぼ聞きません。それよりも辞めた従業員を含む、内部犯行のほうが多いようです。

このようなテナントビル内のオフィスは、メインドアにアクセスコントロールが設置されているのが通常です。防犯の目的だけでなく、誰がいつ入ったかという記録が取れるので、出退勤など実務的な利用もできます。同時に、見られている、出入りする人が限られているという感覚的な牽制作用も大きく、管理者不在時のスタッフの勤務状態のチェック目的にオフィス内に監視カメラを設置されるケースも多いのですが、慣れると緊張感が切れてしまいがちなのが人間というもの。

管理者の方が、時々カメラのチェックをしているふりをする、『アクセスのログみせて』と話しかけてみるなど、過度にならない程度に、従業員に『見られている』ことを思い出させるのも良いかと思います。タウンハウスや路面店などに関しては、不在の時間帯の対策が必要ですので、やはり機械整備システムや監視カメラなどのが有効でしょう」
(セコム 佐藤さん)

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警備員

機械警備(ハード)と警備員(ソフト)のダブル体制が有効

防犯カメラで証拠を掴む

「警備員の派遣先として多いのは工場と倉庫です。配属先に対する配置警備員の数に決まりはなく、お客様の要望に合わせて決定しています。タイでは警備員を建物の内側に入れることはまれで、警備員が守るのは外側というのが基本的な考え方。会社への出入りをすべて任せる相手になるので、重要な役割を担います。タイには日本の警備業法や、警備員になるための教育研修制度に当たるものがなく、どこで警備員を信用するのかが警備会社選びに繋がります。

難しいのは出社先がセコムではなく配属先企業になるため、帰属意識がも薄れがちになってしまうことです。警備員は派遣ではなく請負業務になるので、配属先における指示・命令権は本来セコムにあるのですが、ノーと言わない国民性だからこそ注意が必要になります。

中に入れて良い人、悪い人の適正な判断ができないといけない立場ですから、意識をしっかりと持たせるため、定期的にエリア毎で研修を行っています」
(セコム 佐藤さん)

「警備員を派遣する前に、軍関係者による防災、防犯、人命救助のほか、来訪者とのコミュニケーション、出入管理、荷物検査、不審者への対応など、1週間の研修を泊まり込みで実施しています。また、月に2回、エリア毎に訓練・トレーニングを行うことで、不測の事態に備えています。社内昇格試験を通った経験のある警備員の派遣も行っています」
(M&Aジラサックさん)

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麻薬・火災

実は多い火災に注意・年に1回は麻薬検査を

災害時の関係各所との連絡・連携が要に

「タイでは消防署システムがしっかりとできあがっておらず、火災は警察の管轄になります。工業団地内であれば消火システムが構築されていますので、そちらへ通報されることがほとんどです。日本のように火災原因まで追及・管理する機関がないため、改善が見えづらいうえ、タイにはタバコの火を消す習慣がなく、火への危機感が薄いです。漏電の危険もあります」 (セコム 佐藤さん)
「火災、漏電、洪水など、異常事態発生時の関係各所(警察、社内連絡網など)との迅速かつ適切・適確な連絡・報告・情報共有体制の構築が重要です」 (M&Aマタヴィーさん)

定期的なチェックで麻薬犯罪を防ぐ

「ドライバー等、長時間労働を強いられている従業員に麻薬チェックを行えば、相当数に陽性反応が出ると言われています。過酷な労働、睡眠不足の状態で疲れが取れる、眠気が取れると誘われれば、すぐに手を出してしまいます。それも安く、容易に手に入ってしまうようです。お酒を飲んでいる席で誰かが出すと、判断力もにぶり一緒に使用してしまうんですね。麻薬が流行すると賭博も起きる。するとお金をつくるために窃盗、販売するという悪いローテーションになってしまうことも。動きが確認でき、内部牽制の意味からもカメラが導入されています」
(セコム瀬尾さん)

「年に1回は尿の検査や健康診断をお勧めします。また、警察への尿検査の依頼や、講師を招いての講習、複雑な問題の解決などもご相談いただいています」
(M&Aジラサックさん)

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