ArayZオリジナル特集

スキルは現地で身につける 新興アジアビジネスの学び方

arayz oct 2015

タイ+メコンを含む東南アジア、そして中国、インド。
世界人口の約半数を擁するアジアでビジネスに挑むビジネスパーソンは、どのようにして現地経営の知識やスキルを身に付ければ良いのだろう。

ビジネススクールの流れはアジアへ

Lesson 1

現地法人を仕切る立場として身に付けておかねばならない、労務・税務といったマネジメント知識。そして市場の変化スピードが早いアジアで国際競争に勝ち残るため、状況をいち早く把握し適応する術。新興アジアでビジネスに挑むビジネスパーソンには、学びたいことが山のようにある。
企業経営に関する専門的な知識や実務スキルを学ぶ場としてあるのが、ビジネススクールの存在だ。日本ではキャリアアップや実務スキルの向上を目指す社会人向けに、実務講座やセミナーを随時開催する機関もビジネススクールとして浸透しており、ビジネスパーソンが目的と時間に合わせて有意義に学べる機会が充実していると言える。
より専門的な経営学を学ぶビジネススクールについては、認証機関がひとつの指標になる。1916年創設の国際認証機関、AACSBインターナショナル(Association to
Advance Collegiate Schools ofBusiness)はマネジメント教育機関として「ビジネススクール」と「MBA」を定義。世界各国のMBA教育機関を各国政府とは別に評価・認証している。日本でこの認証を受けているのは慶應義塾大学大学院経営管理研究科と名古屋商科大学大学院修士課程の2校のみ。このほかアジアでは中国の13校、香港の7校、台湾の10校、韓国の13校、シンガポールの3校が。タイではサシン経営管理大学院に続き、2校が認証を受けており、審査が厳しい分、教育品質に信用のおける認証としても知られている。
フィナンシャル・タイムズが発表した「グローバルMBAランキング2014」トップ50では、上位10校中7校をアメリカのスクールが占め、本場の存在感は不動であるものの、アジア地域の大学からもシンガポールから3校、香港・インドから2校、中国と韓国から各1校が3年以上ランクインしている。
またフランスのINSEAD(インシアード)はシンガポールに。ハーバード・ビジネススクールは中国・上海、インド・ムンバイに分校を設立、ボストン校と同じ仕様の教室を
作り、エグゼクティブ・プログラムを開催。世界初のビジネススクールであるアメリカの
ウォートン・ビジネススクール(ペンシルバニア大学)と、世界的評価の高いケロッグ経
営大学院(ノースウエスタン大学)は、サシン経営管理大学院と学術提携を結んでいる。
香港科技大学(HKUST)のように、MBA取得プログラムを本校のキャンパスだけでなく他国にある提携校でも行うビジネススクールもあり、ビジネスフィールドのグローバル化に伴い、世界各国のケース・スタディ(ビジネス事例)やプロジェクトに応じた学びが求められる今、経済発展著しいアジアで学ぶビジネスパーソンが増加傾向にある。

アジアの名門ビジネススクール 3校

香港科技大学ビジネススクール(HKUST)
1991年に設立されたアジア屈指のビジネススクール。AACSBインターナショナルの認証を受けており、グローバルランキングでも常に上位にランクイン。ビジネスプロフェッショナルを世界中に輩出している。
http://www.ust.hk

シンガポール国立大学ビジネススクール(NUS)
香港科技大学と並び、アジアで最も高い評価を得ている国立総合大学。留学生の受け入れにも積極的で、世界中に卒業生のネットワークを持つことでも有名。ハーバード、ウォートン、オックスフォードなど世界の名門校で学んだ講師陣が揃う。 http://bschool.nus.edu

タイ国立チュラロンコン大学サシン経営管理大学院
ケロッグ経営大学院とウォートン・ビジネススクールとの学術協定によって設立された、アジア有数のビジネススクール。産業人の育成に注力しており、タイ王国の政策的な意思
決定を担うシンクタンクとしての役割も務めている。
http://www.sasin.edu

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