ArayZオリジナル特集

行って 見て 知る タイ企業 ~財閥のメコンビジネス戦略とは~

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Centralグループ|Central Group

Chanitr Charnchainarong氏
SEVP, Corporate Development

戦略的な買収と提携で顧客層を国内外に拡大

大型小売店を展開するCentral Groupは、エリアと顧客層によって施設名や店舗テーマを変えています。例えば、バンコクで最も地価の高いイギリス大使館跡地に開業したCentral Embassyは、ラグジュアリーをテーマに一流メゾンをテナントに迎え、世界的な高級ホテルであるPark Hyattを併設しました。
またホテル、コンベンション施設、2棟のオフィスタワーを併設するCentral Worldは、入居テナント数600以上、10万平米以上の小売面積を擁する東南アジア最大級のショッピングセンターです。テナントの3分の1を占める飲食店は、タイ人顧客を引き寄せる重要なマグネットになっています。
他方、バンコク郊外ではCentral Plazaの名前で、観光地など市場規模が大きめのエリアではCentral Festivalの名前でショッピングセンターを。地方を中心に、市場規模が小さめなエリアでは低価格帯のデパートであるRobinsonを、それぞれ複数店舗展開しています。

タイ国内全76店舗のうち50店舗は地方で展開しています。最近まで、物流ルートはバンコクを中心に広がっていましたが、東西経済回廊などインフラの発展により、バンコクを通らずとも近隣国への横展開を見据えることが可能になりました。当グループでも、特にウボンラチャタニ、ピサヌローク、ハジャイなど国境に近いエリアでの出店には注力しています。
ASEANのビジネスはタイだけでは語れない時代です。むしろタイは少子高齢化が進んでおり、国内の事業規模は縮小傾向にあります。国外に活路を見出さなければならないのはタイも日本と同じで、購買力のある若者がいるのは周辺国です。サプライチェーンの基点はタイに置きながら、ASEANの需要を取り込んでいく考えで、2~3年以内にはマレーシアにショッピングセンターの開業を予定しているほか、インドネシア、ミャンマー、カンボジアへの進出も検討しています。

「自分の力を知ること」がファミリーの経営哲学

ベトナムでは2011年にCentral Group Vietnamを設立し、スーパーマーケットやハイパーマーケットを中心に、ベトナム国内で179店舗を展開しています。グループの専門店であるSupersportsやMarks & Spencerが主要テナントの大型小売店、Robinsも展開していますが、投資が大きいのは地場企業の買収と提携です。グループの専門店であるPower Buyとの相乗効果を狙い、15年には現地の家電量販店Nguyen Kimを買収しました。翌年にはフランスのカジノグループから、ハイパーマーケットのBigCベトナム店舗を買収し、現地における小売店舗の拡大に注力しています。

同じく11年、イタリアで100年以上の歴史を持つ老舗高級デパート、Rinascenteを買収し、13年にはデンマークのILLUMを、さらにドイツのKoDeWeを買収しました。大規模な買収でしたが、これにより買収先のデパートを日常的に利用している地元住民に加え、ヨーロッパに旅行するタイ人、さらにヨーロッパからタイへ旅行に来る観光客を顧客層に取り込んでいます。また、ヨーロッパの高品質な品物をタイの店舗で販売できるようにもなりました。
5年前まで、売上全体に占める海外比率は5%でしたが、現在は30%にまで増加しています。現在、世界15ヵ国で事業を展開しており、国外にはまだチャンスがあると考えています。

創業者は子供たちを海外留学させ、それぞれが持ち帰ってきたアイデアをタイでかたちにしてきました。「まず自分の力を知ること、無理はしないこと」が、ファミリーの哲学であり、着実に一歩ずつ、分別のある経営を基本方針としています。グループの取締役会とは別途、ファミリーカウンシルがあり、最終決定にはこのカウンシルの賛成が必要ですが、創業70年を迎え、200人を超える創業者ファミリーのうち、グループで事業に携わっているのは30~40人程度です。財閥の運営には、ファミリー外からのノウハウ、能力が求められます。事業によっては買収企業元に運営を任せることもありますし、グループ各社のトップには海外からの専門家も積極的に登用しています。

Suparat Chirathivat氏
EVP, Corporate Development

Isareit Chirathivat氏
Vice President, Business Development


1947年、中国海南島出身のティアン・チラバット氏が創業したのがCentralグループで、タイ国内小売市場でMT(モダントレード)を発展させた草分け的存在です。56年、息子のサムリット氏がデパートの1号店をオープン。タイで初めて商品に値札を付けて定価販売という文化を始めたのも、エアコンや駐車場を備えたのもセントラルでした。
タイの小売業界に革新を巻き起こしたセントラルでしたが、2店舗目以降は失敗続き。その後、「郊外のデパート」というそれまでにはなかったコンセプトでオープンしたCentral Lardpraoが当たり、一気に発展しました。伊勢丹をはじめとする日系の小売・飲食系企業とも多く提携してきており、最近ではマツモトキヨシとも合弁会社を設立。グループとしては不動産、飲食、ホテル事業も展開しています。

質疑応答では、こんな質問が・・・

Q. 小売業としてEコマース対策は?
A. 幸いタイ国内の消費者は階層によって資本経済の浸透スピードが異なるため、まだ検討の余地があるととらえています。
現在はオムニチャネルに取り組んでいて、EC企業がビッグデータを回収しているように、私たち小売りも、タイの消費者を長年取り込んできた経験を活かしてビッグデータを回収しています。EC企業が小売企業を買収するケースもありますが、小売企業がEC企業を買収する方法もあると考えています。

Centralグループ企業一覧

■Central Food Retail Group


スーパーマーケットのTops、そしてTopsの高級業態であるCentral Food Hall、Central Wine Cellerなどを展開。地方では低価格帯のマーケットSuper Koomも展開している。
コンビニエンスストアのファミリーマートは観光地に重点を置いて出店することで、国内最大店舗数のセブンイレブンと差別化。
また、チェンマイや深南部など、タイ全国の「美味しい屋台を集めた」コンセプトでCentral Embassyにオープンしたタイ料理のEat Thaiは、ヨーロッパへの輸出も検討しているという。

■Central Hardlines Group
日本の小売店にヒントを得てスタートした専門店事業。家電を取り扱うPower Buyは国内で100店舗以上、建築資材のThaiwatsaduは50店舗以上展開している。

■Central Online Group
本や文具を扱うB2S、アメリカから買収したOffice Depotを母体とするOffice Mateを展開している。

■Central Pattana Group
デパートの不動産開発を担い、グループで最大の売り上げを誇る。

■Central Hotel and Resorts
センタラホテルなどのホテル事業を12ヵ国・70ヵ所で展開している(総客室数は15,000以上)。最近ではドバイ、モルディブ、キューバに進出。

■Central Marketing Group
ラルフローレン、ヴェルサーチ、カシオなど100以上のメーカー、ブランドを取り扱う輸入卸事業を展開。

■Central Restaurants Group


KFC、ミスタードーナツなどの飲食店をフランチャイズ経営している。主要12ブランド中7ブランドが日系飲食企業との提携によるもので、大戸屋、ペッパーランチ、かつやなどを展開している。

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