2020.07月号
ArayZコラム
タイで注目の日本企業、サイバーダイン
CYBERDYNE(以下、サイバーダイン)株式会社は2004年に設立されました。
日本で設立された同社をご存じなくても、サイバーダインという単語を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
実は、映画『ターミネーター』の中で登場する、自我を持ったコンピューター(名称:スカイネット)を開発した企業、サイバーダイン社と同じ名前なのです。
そんな日本のサイバーダイン社が開発をし、注目を集める製品「HAL」とは一体どんなものなのでしょうか。スカイネットのように自我を持ったコンピューターなのでしょうか。
サイバーダイン社が開発した「HAL」とは、世界初の装着しながら身体機能を拡張・増幅・補助することができるサイボーグ型ロボットなのです。この「HAL」、装着をすると自分の頭で意識したように、体を自由に動かすことができ、麻痺患者の歩行のリハビリにも利用されています。
通常のリハビリテーションでは一生車いすを余儀なくされていた麻痺患者が、リハビリで「HAL」を使用したところ自力で歩けるまでに回復した事例もあります。
日本の高齢化は深刻で、高齢者の増加は進む一方、介護従事者は不足しています。「HAL」を使用することで回復力だけでなく、介護従事者の負担が軽減されるため「HAL」を導入するリハビリ施設も増えています。
タイ投資委員会(BOI)が主催のセミナーで、サイバーダイン社の「HAL」が紹介されており、タイでの注目を知り感銘を受けました。日本を超える速度で高齢化が進むタイですが、「HAL」はタイFDAの医療機器承認今年4月に取得しました。
医療への社会保障制度は満足に整っていないタイですが、医療水準が高く、また医療ツーリズム立国を目指しています。医療・高齢者関連事業については高い成長が見込まれるので、今後のタイでのサイバーダインの活躍に期待できます。
また、サイバーダイン社について注目すべきは株価動向についてもです。
株価動向としては2016年6月の2,600円から大きく下落し、現在は450円近辺を推移しています。株価が冴えない理由としては2009年から10年赤字が続いているためです。
日本に本社を置くサイバーダイン社ですが、まず注目されたのは海外でした。オランダでの保険適用を受け、2016年に日本でもALSや筋ジストロフィーでは保険適用となりました。
しかしながら、脳卒中患者への保険適用はまだされていません。
ALSなどの少ない難病向けだけでなく、脳卒中といった国内外に患者が多い治療において保険適用となれば、本格的な医療現場への普及が期待できます。
赤字企業の株価が飛躍的に上昇するのは赤字から黒字への転換。
まだ、赤字をかかえる企業ではありますが将来性を見据え、今後のサイバーダイン社の株価動向に注目してみても面白いのではないでしょうか。