ArayZコラム

UACJ-タイ工場に390億円を投資、プラスチックからアルミへの転換期

1019日、アルミ圧延大手のUACJは、2022年を目途にアルミ板の世界生産能力を19年比で4割増加すると発表しました。タイの工場に390億円を投じ、能力増強を目指します。

東南アジアでは人口増加や経済成長に伴ってアルコール飲料の消費が増えていることや、環境意識の高まりを受け、プラスチック素材のペットボトルからの切り替えなど、アルミ缶の世界的な需要増を見込み増産に乗り出します。

この発表に伴い、UACJの株価は急伸しています。

 

今回のUACJがタイ工場の能力増強を進める背景には、プラスチックごみによる海洋汚染などで環境意識が世界的に高まっていることが要因にあります。

プラスチックごみが引き起こす問題

海洋に流出する廃プラスチック類(海洋プラスチックごみ)による海洋汚染は地球規模で広がっています。

特に紫外線で劣化し、波で砕けて5ミリ以下の粒になった「マイクロプラスチック」が生態系に影響を及ぼす懸念があります。

マイクロプラスチックは、漂流の過程で汚染物質が表面に吸着し、化学汚染物質が海洋生態系へ取り込まれてしまったり、誤食により海洋生物の体内に取り込まれることによって、炎症反応や摂食障害などに繋がります。

海洋の現状がこのまま続けば、持続的に海洋資源を得ることができなくなるとの予測もあります。

国連によると、毎年800万トン以上のプラスチックごみが海洋に流れ込んでいて、その総量はすでに15000万トンを超えるといわれています。2050年には、地球上に生息する魚の重量をプラスチックごみの重量が上回ると予測されています。

 

脱プラへの動き

20196月に開催されたG20サミットで、2050年までに新たな海洋プラスチックごみによる汚染をゼロにする目標を掲げたように、プラスチックごみは世界的な課題となっています。

欧米を中心にした脱プラの動きは、今やタイ、日本でも進んでいることを皆様も生活面で感じているのではないでしょうか。例えば、スーパーのレジ袋の無料配布停止やカフェのプラスチックストローから紙ストローへの変更など、あらゆるところで脱プラが進んでいます。

 

タイで廃プラスチック量が増加している要因

確実に一気に始まった脱プラが進みましたが、バンコクにおける廃プラスチック量は2019年の平均2,115トン/日から、20204月には3,432トン/日と6割も増加したそうです。理由は、コロナ禍によるフードデリバリーの急増に伴い、フードデリバリーに使用される配送包装の増加が原因です。

 

ペットボトルから切り替えが進むアルミ缶の安全性

アルミ缶はリサイクル率が90%を超えており、回収して溶かして固めれば何度でもアルミ缶に生まれ変わる、持続可能な素材です。地球環境にやさしいアルミ缶の使用量をさらに増やしていくことにより、ペットボトルが引き起こす環境問題への対策として有益です。

 

 

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