女性起業家ネットワーク、ASEANで初のCEOサミット開催

ASEAN女性起業家ネットワーク(AWEN)は10月30~31日、バンコク市内で同地域で初となる「Women CEOs Summit」を開催した。会場となったグランド・ハイアット・エラワン・バンコク・ホテルには、各国で活躍する最高経営責任者(CEO)や業界のリーダー、国際機関の代表が集結し、経験談や直面する問題、課題の克服方法などについて議論した。

ASEANでは「グローバルゼーション4.0」を背景に、女性の経営者や起業家も破壊的なビジネスモデルの変革に対応することを求められている。350人以上を超える参加者は、この課題を好機に変えるための事業戦略・政策を再定義・再編成するために意見交換を行った。

31日の座談会「Perspective on Future Women Enterprises」には、ASEAN各国から経営者が登壇。タイからは高級ホテルなどを経営するデュシタニ・インターナショナルのスパジー・スティンプンCEOが、「家族企業である同グループの3代目として初めて外部からトップに登用されたが、創業者一族の間では意見が分かれた」と当時の立場と心境を語った。

ベトナムの複合企業アイメックス・パン・パシフィック・グループのレホン・テュイ・ティエン社長は、「従業員の6割が女性で、管理職になると7割に上る」と性別ではなく、経験と能力を重視して人材を登用。一方、スーパーマーケットを立ち上げる際に、パートナーが軍だったことから男性に囲まれて辛い思いをしたことを打ち明けた。

フィリピンのイオン・オート・グループ会長のアニー・C・タン・イー氏は、「男性優位の環境でセクハラや差別にあった」ことを明らかにした。登壇者はほかに、「仕事と家庭の両立」「社内での女性同士の足の引っ張り合い」「資金調達の難しさ」などを課題に挙げた。

インドネシアのシンテサ・グループのシンタ・カムダニCEOは、「経営を成功させるには、情熱・明確な目標・失敗後の粘り強さが重要」と指摘。自身の子供には、今ある財産が事業の失敗でいつ無くなるか、わからないので独立心を育み、準備するべき」と提言した。

その後に行われた全体会議「Redefining Business and Policy Strategies under Globalization 4.0 」では、アジア開発銀行研究所の吉野直行・慶応義塾大学名誉教授がモデレーターは務めた。国際輸送サービスのUPSアジア太平洋のジョニ・シンプソン氏は、男女の役割について、「女性の運転手もおり、多様化した職場の環境を維持している」と述べた。

クレディスイス・リサーチ・インスティテュート(CSRI)によると、タイは、女性が上級管理職に就く割合で世界第2位、CEOでは第3位にラインクイン。管理職の女性の割合が最も高い上位10ヵ国・地域のうち、7ヵ国はアジア太平洋地域で、上位3位をフィリピン(34%)、タイ(28%)、オーストラリア/ニュージーランド(25%)が占めた。

AWENは、ASEAN委員会によって2012年に設立された政府間組織で、14年4月に正式に活動を開始。加盟10ヵ国のすべての経済分野の女性を代表する組織で、同地域の女性起業家の能力の向上と人脈作りの支援を使命としている。

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