工業団地大手WHA、米中貿易摩擦で漁夫の利

工業団地開発・運営などを事業の柱にするWHAグループは1月29日、バンコク市内のホテルで、昨年の実績と今年の事業計画などを発表した。昨年のグループ全体の売上高は前年比22%増の135億バーツ。事業別の内訳は、物流・倉庫運営が36%、工業団地開発が36%、ユーティリティ・パワーが27%、デジタルプラットフォームが1%だった。

今年は土地販売1,400ライ(1ライ=1600平方メートル)、新規賃貸用地(25平方万メートル)、不動産投資信託(REIT)販売(約15万平方メートル)などが控えており、昨年比15%増を目標に設定した。

米中の綱引きを筆頭とする世界的な保護主義の台頭、米大統領選挙、気候・環境問題、技術の創造的破壊、バーツ高、コロナウイルスなどが、経済における不確実性を高めているが、ジャリーポーンCEO(最高経営責任者)は、「それら出来事が事業機会をもたらだろう」と期待を示す。

米中貿易摩擦を背景に、中国からタイへの海外直接投資が急増しており、昨年は全体の3分の1を占めた。タイ投資委員会(BOI)の恩典申請件数でも中国は初めて日本を抜いた。その結果、WHAの土地販売額の6割以上を中国と台湾の45企業が占めたという。ナードン副会長は、「米中貿易摩擦の行方は不透明。従って、中国企業の生産拠点移管の動きは今年も続くだろう」と予測する。

同グループはタイ国内で11の工業団地を開発運営。海外展開にも積極的で、ベトナム北中部ゲアン省で開発中の「WHAインダストリアル・ゾーン1-ゲアン」を世界市場に向けての新たな製造・輸出拠点と位置付けている。

 

 

 

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