中野陽介コラム

アート旅行記 世界に隠れた美の力 最終回 世界一周旅を振り返って

世界を生の眼で見て本物の芸術を見つけたいと、5年前から夢見ていた「世界一周旅(兼ハネムーン)」が終わりました。
訪れた国、22ヵ国。訪れた都市、39都市。移動した距離、89,890km(赤道約2周分)。行った美術館&博物館、81。撮った写真、65,379枚(約180枚/日)。描いた絵、168枚(3.5枚/週)。毎回運んだ荷物の総重量、104kg(2人で)。タイプした文字、261,990文字(A4用紙約半分/日)。スケッチに使ったcampusノート、12冊。長いようであっという間の1年間でした。

次に住みたい国を見つけるのが目的だった妻は、バルセロナ、バンクーバー、メキシコシティー、シドニーを候補に挙げていますが、それぞれ長所と短所あるので、まだどこにするか決めかねています。
世界中の芸術、文化、世界観を体感したいと思って始めた旅でしたが、振り返り思い出す感動は、意外にも「違い」ではなく「同じ」によるものでした。世界の透明なドラマ(2016.8月号)、多神教思考(同年11月号)、現実と非現実イベント(2017.2月号)、マチュピチュと借景式(同年3月号)、洞窟壁画とGraffiti(同年4月号)、巨石の感動(同年5月号)、ドット絵と瞑想(同年6月号)などで書いたように、それぞれの場所、時代、環境、文化、宗教は違えど、人間は皆同じように自然に感動し、創造し、現実を生き抜いていたことを目の当たりにする度に、古代から続くイノチの手応えと人類の神秘を感じ、感動していました。

メディアだけを見ていると、世界は殺伐として危険なように思えてしまいます。確かに旅の間、スリ未遂や体調不良に見舞われることもありましたが、生の世界は、たくさんの人々の優しさ、ロマン、神秘に満ち溢れていました。これでもかという程のたくさんの美しい大自然が私たちを優しく包み込んでくれました。世界はホントウにスバらしく!ホントウに美しかった!
同時に、自分の視野の狭さ、無知さ、また日本の素晴らしさも改めて実感しました。
これらの体験を元に、これからもモリモリ創作に励みたいと思います。

Artist Profile : バンコクの会社で出会って3年後に結婚した2人。夫でアーティストの中野陽介は本物の芸術を見つけるために、妻は次に住みたい国を見つけるために、1年間で23ヵ国を巡る“世界一周ハネムーン旅”を2016年6月からスタート。
yosukenakano.com

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