2020.12月号

日刊工業新聞

先を見据えて挑戦 新製品開発、区全体で活発化

日刊工業新聞

大田区の町工場 コロナ禍を生きる

新型コロナウイルス感染拡大を受け、東京都大田区の「町工場」では新製品開発や業務効率の改善に取り組む動きが活発化している。これまでは日々の仕事に追われていたが、受注減少で時間ができたことなどをきっかけに「普段できないことをする」と新たなことに取り組み、売り上げ増や新規開拓、働きやすい職場作りに繋げようとしている。

他分野参入

「他のジャンルにも参入していきたい」。自動車のチューニングパーツなどを手がけるナイトペイジャーの横田信一郎社長は意欲を燃やす。
コロナ禍をきっかけに、自社技術を活用しアルミニウムを加工して車のホイール形状の蚊取り線香カバーを制作、限定100個の予定で発売した。
「車いじりが好きな人に面白いと思ってもらえればと開発した」(横田社長)が、製品をきっかけにエンターテインメント業界や観光業界など他分野からの問い合わせ・相談が増え、思わぬ効果があったという。

感染対策品続々

段ボールなどの包装資材を製造する大幸紙工は、工学院大学(東京都新宿区)と共同でPCR検査用の「PCRボディシールド」を開発した。防護服不足や着脱、管理が面倒などの問題を解決するため、顔だけでなく体全体を防護する。
強化段ボールを組み立てて製作し、撥水(はっすい)性も高いため消毒も可能。白衣のまま安全に検査を行える。
ほかにもパーテーションやマスクケースなど感染対策製品、ウェブ会議の背景用パネルや段ボール製のパーソナルルームなどテレワーク関連製品を続々と発売し、事業領域の拡大に成功した。

アイデア具現化

睦化工は話す時に手持ちで口にあて、飛沫感染を防ぐ「マスクハンガー」を試作した。飲食店ではマスクを外したまま会話をするため感染の可能性が高まる。飲食店経営の経験がある個人が発案し、ホームページから睦化工に連絡して製作した。
古川亮一社長は図面のやりとりなど段取りを全て対話アプリケーション(応用ソフト)「LINE」上で行い、短期で試作品を完成した。試作品は3Dプリンターで製作。持ち手部分の長さや横幅、リブの形状などを変更し量産も計画する。
新製品開発は一部の企業にとどまらず、大田区全体で盛り上がりを見せる。同区の新製品・新技術開発支援の助成には、前年度比2倍の52件の応募があった。コロナ禍でも先を見据えて挑戦する企業が地域で競争力を蓄えている。
※記事提供:日刊工業新聞(2020年11月2日)

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