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三井物産、タイ軸に推進 合弁設立 営業、年内本格化

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ニュース拡大鏡/アジアでインフラメンテ

三井物産がアジアでインフラや構造物のメンテナンス事業を進めている。ショーボンドホールディングスと共同で、SHO-BOND&MITインフラメンテナンス(SB&M、東京都中央区)を昨春に設立。海外展開として今秋にはSB&Mがタイの財閥系素材最大手サイアム・セメント・グループ(SCG)傘下のCPACと共同で、合弁会社「CPAC SB&Mライフタイムソリューション(CPAC SB&M)」をタイで立ち上げた。年内から本格的な営業を展開していく。(浅海宏規)

▲ タイの民間企業工場でのメンテナンス前(左)と後

▲ タイの民間企業工場でのメンテナンス前(左)と後
インフラや構造物の老朽化対応は、アジア各国でも課題になりつつある。メンテナンスの市場規模は日本国内が約5兆円程度とされるのに対し、世界市場は約200兆円あるとされ、地域別ではアジア・オセアニアが約4割を占める。三井物産の望月智之鉄鋼製品本部建設・インフラソリューション部長は「タイは全体で5,000億円程度の市場規模はあると見ている」という。2年ほどかけて需要を分析した結果、タイをハブに事業展開することになった。
三井物産では従来、化学や建設鋼材などの領域でSCGと提携して取り組む事業会社が5社あり、「CPAC SB&M」は6社目となる。ショーボンドホールディングスは、今回の合弁会社を通じて本格的な海外展開を図る。
CPACでは2018年に専門組織(ライフタイムソリューション事業部)を設置。インフラや構造物のメンテナンス事業を展開してきており、この事業部を基盤に合弁会社とし、技術力や販売を強化していく。
CPAC SB&Mは約10人で発足し、三井物産からは2人が出向する。SCGのプラント工場などのメンテナンスを皮切りに事業を立ち上げ、SCG以外の民間向けや道路、鉄道、空港など公共分野をターゲットにしていく。
今後は「東南アジア諸国連合(ASEAN)をターゲットにCPACと組んで取り組んでいく可能性もある」と三井物産の松尾武鉄鋼製品本部建設・インフラソリューション部インフラプロジェクト室長は話す。
三井物産はインフラバリューチェーンにおいて鉄鋼原料の供給や建設鋼材の供給・加工に加え、メンテナンス事業領域も強化することで、バリューチェーンにおける需要を広く捉えつつ、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に繋げたい考えだ。
※記事提供:日刊工業新聞(2020年12月16日)

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