2016.07月号

ArayZオリジナル特集

日経ビジネススクールアジア特別講座 バンコクプレセッション 人材と組織の“ダイバーシティ”が、国際競争を制す切札に

arayz jul 2016

6月8日、日本経済新聞社とチュラロンコン大学サシン経営管理大学院主催による「日経ビジネススクールアジア特別講座日タイ人材育成フォーラム」が開催され、日系企業関係者を中心とした約300名の参加者が“アジア次世代ビジネスリーダー”に関する講演と討論に聞き入った。

多様性のある組織は 本当に競争力があるのか?

基調講演では日産自動車の志賀俊之副会長が登壇し、ダイバーシティ(多様性)に富んだ人材の育成と登用の重要性について訴えた。
日産は99年、仏ルノーとの提携でターニングポイントを迎えた。志賀氏は、「提携後、ルノーから一人のフランス人が私のチームに加わった。いつも通り主張のない会議が終わると、彼は私に『なぜ議論することなく、この結論を出したのか』と聞いてきた。面倒だなと思い、『ほかにどのような結論があるのだ』と言い返したところ、彼はたくさんの意見を持っていた。私は、彼が持っていた意見に驚いたと同時に、自分がこれまで、日産という色メガネをかけて物事を見ていたことに気が付いた」と、自身のダイバーシティ経験を披露した。

優秀な人材には国籍問わずチャンスを

日産では、国を超えて優秀な人材を発掘するため、『NAC( Nomination Advisory Council =人材発掘委員会)』を設置している。日産の社員であれば、国籍も年齢も性別も関係なく、世界のどこにいても、重要な役割を担うチャレンジができる仕組みだ。多くの海外拠点の管理者が、日本人ではなく現地人材に任されているという。志賀氏はこのほかにも、日産が多様性を活用するための人材育成と組織の開発方法や、人材育成プログラムに取り入れているアクティブラーニングについて解説。
「多様性のある組織はビジネス拡大の機会をもたらす。当社も国籍を越えて多くの企業とパートナーシップを結んでいるが、国際競争で生き残るのは容易ではない。また、いくら海外に拠点を設けても、日本から送り込まれた日本人が経営を主導している、あるいはM&Aでも日本から現地企業へ日本人を送り込み、日本のやり方を押し付けているようでは、それを真のグローバル展開と呼ぶことはできない。真のグローバル展開は、パートナー同士がお互いの経験やビジョン、戦略を共有し、国籍を越えたマネジメントチームを構築することで実現する」。

arayz jul 2016
日産自動車 志賀俊之副会長

次世代のアジアリーダーに 求められる資質とは

続いて登壇した、サシン経営管理大学院のシリユッパ・ルンレーンスック准教授は、チュラロンコン大学卒業後、南カリフォルニア大学で博士号を取得、「戦略的人材管理、リーダーシップ開発、タレントマネジメント」を専門に、アジアを代表する人的資源管理の研究者として活躍している。本講演では「レジリエントなリーダーシップ」をテーマに、事業環境の不明確さが増す中、2030年に向けた次世代リーダーに求められる資質について見解を述べた。
シリユッパ氏は、リーダーは組織内で最も知的な人がなるものだと思われがちだが、適性があるのは、平均的なIQ(IntelligenceQuotient=知能指数)と、高いEQ(Emotional Intelligence Quotient=感情(心の)知能指数)を持った人であると解説。
また、シンガポール国立大学の調査結果を引用し、アジアのリーダーに欠けている要素として(1)人材開発、(2)チームビルディング、(3)戦略的な考え方、(4)企業のビジョン、(5)問題解決力を挙げ、これら5つに必要な素質・適性として「強靭さ=(resilience)」があると強調、「今後さらにテクノロジーが発展し、世界のどこにいてもチームを率いることができるようになっても、膝を突き合わせた会話が重要。テクノロジーを駆使すると同時に、多元的な視点、戦略的思考と倫理感を持たなければならない」とまとめた。

arayz jul 2016
サシン経営管理大学院 シリユッパ・ルンレーンスック准教授

※セッション後半に開かれた討論の内容はArayZ8月号に掲載予定です。

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