より最適なターゲットにアプローチ 近年拡大するプログラマティック広告とは何か?

広告市場の中でも、テレビや新聞に比べて世界的に急速に拡大しているデジタル広告。インターネットの双方向性という特徴を活かし、ターゲットに最適な広告内容を最適な場所・タイミングで提示するべく、新たな手法や仕組みが次々と登場している。

その中で近年、注目されているのが「プログラマティック広告」だ。日系大手含め数々の世界的クライアントを抱えるオランダ発のプログラマティック広告ソリューション会社、BIDMATHにプログラマティック広告の特長やメリットなどを聞いた(全2回)。

Q.プログラマティック広告とはどのような広告なのでしょうか?

DIRECTORのKK Sharma氏(左)とCHIEF STRATEGY OFFICERのNathaniel Acton氏

DIRECTORのKK Sharma氏(左)とCHIEF STRATEGY OFFICERのNathaniel Acton氏

KK プログラマティック広告とは、事前に設定された条件に沿ってインターネット上の広告枠を自動で買い付けるプロセスを言います。性別や年齢層、居住地域などの蓄積されたデータから閲覧しているユーザーの興味関心を割り出し、広告主がターゲットとするユーザーに適切にアプローチすることができます。

従来は、ある広告主が大手新聞社のウェブサイトに広告を掲載しようとすると、新聞社と料金を交渉して、1カ月や3カ月など期間を定めてウェブサイトの広告枠を購入していました。いわゆる街中の看板広告を同じような手法です。

これでは広告主としては広告の内容上、例えば30代、40代の女性にターゲットを絞りたいのに、その新聞社のウェブサイトを訪れた老若男女の誰もが広告を目にする可能性があります。

また、近年ではOTT(Over the top)と呼ばれるインターネットを介したコンテンツ配信サービスが普及しています。代表的な動画サービスならYoutubeやNetflix、Amazon Prime Video、音声サービスならSpotifyやApple Musicなどがあります。

複数の媒体に掲載しようとすると媒体ごとに交渉する必要があり、広告効果として効率的ではありません。その点、プログラマティック広告なら自動化した上でGoogleやFacebook、複数のメディアやプラットフォームを横断的に駆使し、広告主にとって最適なユーザーに広告を表示させることができます。

Q.プログラマティック広告は広告主や媒体にとって
どのようなメリットがありますか?

Nathaniel Acton(以下、Nate) 広告主にとってプログラマティック広告は、打ちたい広告のターゲット層に沿ってユーザーの性別や年齢などの条件を事前に設定をできるため、デジタル広告の予算をより有効に活用することができます。

また、広告の露出回数やクリック数・率、コンバージョン数・率などを把握して、リアルタイムに予算や内容などをコントロールできます。AI(人工知能)による機械学習を活用して、さらなるパフォーマンス向上も期待できます。

媒体側としても、枠単位ではなくユーザー単位で広告を提供できるため、媒体全体の広告価値が高まります。ユーザーにとっても、まったく興味関心がない広告を目にする可能性が低くなります。

Q.プログラマティック広告は世界的にどれくらい
普及しているのでしょうか?

USプログラマティックディスプレイ広告の配信規模

 

USプログラマティックビデオ広告の配信規模

USプログラマティックビデオ広告の配信規模

KK インターネットの浸透と合わせてデジタル広告市場は世界的に見ても年々拡大しています。プログラマティック広告が登場したのは2010年頃ですが、アメリカでは既にデジタル広告全体の85%をプログラマティック広告が占めているとされています。

アメリカではプログラマティック広告への支出も、2017年の約420億米ドルから20年には約790億米ドル見込みと短期間で大幅に増加しており、21年には約910億米ドル見込みとさらなる拡大が予想されています。世界においても、全デジタル広告支出の69%、約1270億米ドル(20年)が既にプログラマティック広告に費やされていると見込まれています。


日本のデジタル広告に占める割合も82%と言われ、金額にして1兆4,558億円と見られています。一方でタイをはじめとしたアジア太平洋地域ではまだそれほどプログラマティック広告が浸透していません。ある調査でも、タイなどでもデジタル広告予算の中でプログラマティック広告に大きく予算を割く割合はまだ低いままです。

ただ、欧米のトレンドがアジア太平洋地域で5年後に広まるとも言われており、今後、プログラマティック広告は同地域でも大きく広がる可能性があります。

Q プログラマティック広告はどのようなタイプがありますか?

Nate プログラマティック広告には次の通り大きく4つの種類があります。種類毎に特徴が異なり、事前予約型かオークション形式型での配信なのかでも選ぶ種類が分かれます。それぞれの概要を紹介します。

1. Programmatic Guaranteed(保証型プログラマティック配信)

ウェブサイトとの直接バイイングを実行することができ、タグの交換、不一致のトラブルシューティング、複数の請求書の処理などのマニュアルプロセスを排除することができます。

2. Preferred Deals(優先配信)

ウェブサイトとバイヤーの間で、ウェブサイトの在庫が一般市場でオークションにかけられる前に、優先的にアクセスできるようにする契約のことです。優先的なアクセスは、固定のCPMと引き換えに提供されます。

3. Private Auction(プライベートオークション)

取引はウェブサイトと特定の広告主、DSP(Demand Side Platform)、アドネットワーク、および代理店との間で直接行われます。好ましい取引のシナリオのように、ウェブサイトは最低eCPMを自由に設定することができ、最も高い入札額が勝ちとなります。

4. Open Exchange(オープンエクスチェンジ)

オープンオークションとは、リアルタイム入札(Real Time Biddin – RTB)の正式名称で、すべてのウェブサイトと広告主が同時に参加することができます。ウェブサイトは自社の在庫を特定の最低価格で提供し、広告主は利用可能な在庫を入札します。最高額の入札が落札される。これが最も伝統的なプログラマティック・オークションの形態です。


それぞれのウェブサイト毎で導入しているテクノロジー及び広告配信サービスが変わってきているので、それを把握した上で広告配信をすることで目標のKPIに向けてパフォーマンスを高めることが可能です。

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