カンボジア投資最新事情 ~プノンペン経済特区開催セミナーレポート~

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開発が進むプノンペン経済特区

 

2015年のGDP成長率予想7.2%、約700万人の労働人口を抱えるカンボジア。
外資100%による進出が可能とって貿易、小売、サービス業の外資参入が増加中という同国の投資状況について8月20日、開催されたプノンペン経済特別区(以下、PPSEZ)が泰日振興技術協会でセミナーを開催。経済特区情報を含む同国への投資環境と現状について、JICA中小企業支援調査員の丹崎太郎氏と、PPSEZ社長の上松裕士氏が解説を行った。

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セミナー当日の様子

 

日本人生活環境が整う首都プノンペン 若手起業家が増加中

在留邦人は2,000人を超え、同国商業省に登録されている日系企業数は252社、商工会登録社数は152社に増えた。

今年4月には日本人学校が開校。イオンモールのプノンペン2号店が2018年に開業予定でることに加え、初の日系医療機関となる「北原総合病院」の開業も決定し、日本人にとって暮らしやすい生活環境が整いつつる。また、外資規制がないため美容サロンや飲食店などを開業する日本人若手起業家も増えているという。

昨年9月には公共バスが3路線開通し利便性が増した一方で、渋滞が悪化していることから空港~プノンペン間にモノレールを通す計画が検討されているほか、効率的な信号システムの導入もJICAの支援により進んでいる。

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プノンペン市街

 

南部経済回廊沿い、ポイペトで進む自動車部品産業集積 タイ企業も進出

カンボジアの産業別就労者数は農業(まだ付加価値のるプロダクト開発や販路開拓はできていない)が圧倒的で、次いで観光と続くが、近年伸びているのが製造だという。最低賃金が今年1月、128USドル/月に引き上げられたこと、教育水準の低さという面で課題はるものの、タイほどの人材採用難はなく、若年層の労働人口も多い。

賃金上昇を市場の拡大と捉えて参入する欧米企業もるほどだ。電力インフラと物流コストも課題とされているが、前者に関しては政府も取り組みを続け、国内供給は上がっている。

国内の主要工業集積地としてプノンペン、タイと国境を接するポイペト、ココン、シハヌークビル、ベトナムと国境を接するパペットがり、シハヌークビルにはカンボジア唯一の深海港がる。

ホーチミン(ベトナム南部)~パペット~プノンペン~ポイペト~タイ東部で工業ベルトが形成されていることから、今後もこのエリアへの日系製造業による投資が見込まれており、なかでもポイペトは豊田通商が日系自動車部品会社の現地生産支援を目的にテクノパークを開設準備中。日系資本によるサンコ・ポイペト経済特別区がるほか、PPSEZもポイペトに工業団地開発を決定、年内にも造成工事に入る予定だ。

カンボジアはタイよりも輸出関税恩典が厚く、EU向けにも無税で輸出が可能。PPSEZ上松氏によれば同工業団地は約7割が入居済みで、今年初めに円安と賃金上昇による撤退が数件ったものの、ミネベアが第3工場を着工、デンソーも約2年のレンタル工場における試験操業を経て、3月から自社工場を着工。タイ企業ではベタグロが家畜飼料の工場を間もなく操業開始。電子機器企業の入居も決まった。当セミナー翌日にはバンコク銀行の後援でタイ企業向けセミナーを行った。

日系よりも欧米企業の引き合いが強まっており、コカ・コーラボトリングも急ピッチで工場を建設中。ガバナンスの厳しい国際企業も入居できる工業団地レベルでることが伺える。

また、上松氏はポイペトのプロジェクトについて、国境から20Km圏内まではタイのトラックが無条件で入ることが許されているが、国境付近の道路は観光客や行商も多く、整備は必要と感じていると話したほか、元々カジノの街でるため、電気や水などが工業用に引かれておらず、既存のインフラに依存せずに独自で対策を進めていることを話した。

なお、丹崎氏によれば年内に税法、投資法、経済特別区法の改正ドラフトが決定される予定だという。進出に関わる法改正にも注目しておきたい。

 

JICAが提供するカンボジア投資関連情報については下記URLからアクセスできる
www.jica.go.jp/cambodia/office/information/investment/index.html

プノンペン経済特区社
www.ppsez.com

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