カシコン銀行経済レポート

【連載】カシコン銀行によるタイ経済・月間レポート 2014年12月号

BOIの新たな7ヵ年の投資奨励戦略

タイ投資委員会(BOI)は11月25日、来年から2021年までの7ヵ年の新投資奨励戦略を承認し、国に有益な投資の振興に力を入れるとともに、社会や環境に有益な投資の促進を重視する姿勢を鮮明にしました。2015年1月1日の投資申請から適用します。
新投資奨励戦略のビジョンは、競争力の強化を目的とし、タイ国内への投資とタイ企業の海外投資の双方での有益な投資の振興によって、中所得国からの飛躍につなげ、持続可能な成長を実現させるというものです。新戦略の下での投資奨励の政策と原則では、タイの工業部門と国に有益な業種を重視するとしており、高度技術を用いる事業、創造的な事業、デジタル・エコノミーの開発を支援する事業またはサービス、国内の資源利用による付加価値生産事業を想定しています。
従来の事業地(ゾーン)別の優遇は原則廃止し、県民1人当たりの所得が低い20県のみ優遇を厚くします。それに加え、工業団地内への投資は、業種によって基本的な特典から追加優遇します。ただ、優遇策を受ける事業リストから除外された事業であっても、製造業のサプライチェーンにおいて重要だと見なされれば、競争力を上げるための優遇策は受けられるとしています。製品の競争力を強化するために、生産または設計レベルの底上げのため、これら事業への一層の投資を促します。
投資奨励を受けることができる業種はA、Bの2グループに分けられます。グループAは、経済の構造調整に重要で、投資を刺激し、競合国と競争していくことができるようにするため、法人所得税免除の優遇特典を付与する必要がある業種です。一方で、グループBは、高度な技術は使わないが、バリューチェーンにおいて依然として重要なサポーティング・インダストリーで、法人税免除は受けられないものの、機械、原材料面の優遇特典やその他の非税制特典で優遇されます。
BOIの新たな優遇策を受けられる事業は200以上で、このうち法人税免除を受けられるのは約180事業です。Bに当たるのは50事業あるとみられ、優遇対象となる事業リストは今後BOIのウェブサイト上に掲載される予定です。
この他、BOIは、北部ターク県メーソート、東部サケオ県アランヤプラテート、トラート県クロンヤイ、東北部ムクダハン県、南部ソンクラー県サダオの5ヵ所で計画している経済特区(Special Economic Zone :SEZ)について、法人税免除を従来の条件より3年延長することを承認しました。

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■タイ経済最新情報 12月号
2014/12/30 (No.106)
監修:カシコンリサーチセンター
マクロ経済・投資調査部取締役副社長
Dr. ピモンワン マハッチャリヤウォン
マクロ経済調査主任研究者
ルチパン アッサラット
ハタイワン トュンカティラクン

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