ArayZオリジナル特集

【総まとめ】施行開始から1年 BOI新投資促進戦略を追う

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【IHQ】TC設置可など事業範囲を拡充

IHQとは「タイ法律の下で設立された企業で、関連会社(※国内/海外)に管理、技術、支援サービスのほか、関連会社に財務管理サービスを提供、原材料および部品の調達活動をする会社」を指し、アウト―アウト、アウト―イン、イン―イン、イン―アウトの4つの貿易において、関連会社の原材料および部品の調達(国際貿易関連サービスを含む)をするものとしている(図表5)。

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支援サービスの対象は、旧投資奨励政策におけるROHの事業範囲をそのまま踏襲し、①一般管理、事業計画立案、ビジネスコーディネーション、②製品の研究開発、③技術支援、④マーケティングおよび販売促進、⑤人事管理、トレーニング、⑥事業活動の各方面に関するアドバイス・助言、⑦経済と投資の分析および研究、⑧ローン管理およびコントロール、⑨指定されたそのほかの支援サービス―となる。
IHQが得られるBOI恩典には、税的恩典では、研究開発およびトレーニング用機械の輸入税免除と、輸出向け製品用の原材料・部品の輸入税免除など。非税的恩典では、外国人が過半数または全数の株式の保有許可と、外国人の土地所有許可、外国人技術者・専門家の就労許可がある。申請条件は最低払込資本金が1000万バーツ以上であることと、最低1ヵ国、国外にある支店または関連会社(図表6)を統括していること(旧投資奨励政策のROHでは3ヵ国だった)。

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IHQではBOIのほかに、歳入局からの恩典も受けることができる。BOI恩典の申請条件に加え、タイ国内における受領者に対する運営費用が、年間1500万バーツ以上であることが条件となる。
歳入局から受けられる恩典としては、タイ国外にある関連会社からの①マネージメント、技術、支援サービスによる収入、②ロイヤルティー、③配当金、④キャピタルゲイン―に関わる収入。オフショア貿易および関連サービスによる①タイ関税法に基づく積み換え、通過貨物を含む、アウト―アウト貿易、②タイ国外の企業に対し、国際貿易関連サービスの提供に関わる収入において、法人所得税が免除となる。
また、タイ国内関連会社からの①マネージメント、技術、支援サービス、財務管理、②ロイヤルテイーによる収入において、法人所得税率が20%から10%へと減免されるほか、関連会社への貸付による総収入においては特別事業税が免除になる。法人所得税免除対象収入から支払われた配当金、関連会社に貸し付けるための借り入れに対する利子においては、IHQによるタイ国外への支払いに課される法人所得税が免除される。
なお、IHQで働く駐在員の個人所得税(IHQの雇用による総収入、およびそのほかの手当に対する)税率は15%となる(ただし、ワークパーミットの取得、タイに180日以上滞在、月収20万バーツ以上、または年収240万バーツ以上であることが条件)が、IHQ以外の業務も担当している場合、IHQ以外の業務に対しては税率15%は適用されない。
IHQでは、新たにタイ中央銀行の規定に基づく財務センター(TC)の設置も認められた。TCとは金融事業に携わらないタイ法人で、タイ国内、および海外にあるグループ企業のために外貨資金の管理をするものと定義される。メリットとしては、①取引費用の削減、グループ会社における外貨管理の効率化および競争力向上の促進、②政府政策に基づくIHQ認可取得による恩典、③タイにおける人材を外貨管理に特化させる、タイ国内における外国籍企業または海外におけるタイ企業に対し、全ての財務管理を集中させることができる―ことがあげられる。申請条件はタイで登記された会社であること、グループ企業の関連会社であることに加え、タイ、ベトナム、または近隣国において3社以上のグループ企業を持つこと。または、タイにおいて2社以上のグループ企業を持ち、かつタイ国外2ヵ国以上において関連会社を持つこと。事業範囲は、①商品・サービスの支払いお
よび回収(債務または請求書の買い取り、および回収・支払いの代行)、②外為取引のネッティング、③外為取引およびリスク管理、④ 流動性管理―となる。

【ITC】完成品の取扱いも可能に

ITCとは「タイ法律の下で設立された企業で、商品、原材料、部品の購入・販売の事業を行うことを目的とし、タイ国外の法律で設立された会社に対して貿易関連サービスを提供する会社」を指し、アウト―アウト、アウト―イン、イン―イン、イン―アウトの4つの貿易が事業活動として定義されている(図表7)。

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旧制度の「部品および半製品のIPO」に当たる事業範囲を含むものの、タイ国内/国外による商品の購入・調達に関してIPOでは半製品までであったのが、完成品までに緩和されたほか、タイ国外への商品販売に関しては、タイに入国しない国外商品の購入・販売(アウト―アウト貿易)も対象となった。
ITCが得られるBOI恩典には、機械の輸入関税免除と輸出向け製品用の原材料・部品の輸入税免除の税的恩典のほか、外国人が過半数または全数の株式の保有許可と外国人の土地所有許可、外国人技術者・専門家の就労許可の非税的恩典がある。申請条件は払込資本金が1000万バーツ以上であること。
IHQ同様に、タイ国内における受領者に対する運営費用が年間1500万バーツ以上であれば、歳入局からの恩典も受けることができる。オフショア貿易および関連サービスにおいては①タイ関税法に基づく積み換え、通過貨物を含むアウト―アウト貿易②タイ国外の企業に対し、国際貿易関連サービスの提供―による収入に対し法人所得税が免除になるほか、法人所得税免除対象収入から支払われた配当金において、ITCによるタイ国外への支払いに課される法人所得税が免除となる。また、ITCで働く駐在員の個人所得税率は15%(ITCにおける雇用による総収入およびそのほかの手当に対する個人所得税率条件はIHQと同様)になる。

 

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