市場の様相を一変させる「ゲームチェンジャー」、ビジネス紙がセミナー開催

タイ語ビジネス紙「プラチャチャット」は5月22日、市場競争のルールを根底から覆すような、新しい可能性やアイデアを持つ人物や製品、企業などを指す「ゲームチェンジャー」に関する第2回のセミナーを開催した。金融・エネルギー・不動産・小売の大手企業代表が登壇し、各市場の環境を一変させるような技術やサービスなどを紹介した。

東部経済回廊(EEC)事務局のカニット局長は、技術の進歩などによる変化は不安をもたらすと同時に、物事を良くしたいという願望を叶える可能性があり、タイは上手くバランスを取る必要があると指摘。整備中のウタパオ空港やスマートシティなどのプロジェクトによって、EEC3県(チョンブリ、ラヨーン、チャチュンサオ)向けの投資が不動産や小売などにも波及すると説明した。

台頭するフィンテック(金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動き)を「灰色のサイ(市場に高い確率で存在するにもかかわらず、看過されているリスク)」と認識していたというカシコン銀行マネージングダイレクターのピピット氏。同行は積極的にデジタル技術を取り入れて時代に合ったサービスを提供。ローン審査の簡素化に加え、「K+」アプリを活用した取引サービスの利用回数は一日当たり1400万回と前年比70%増となった。

三井不動産のパートナーである不動産開発大手アナンダ・デベロップメントのチャノンCEO(最高経営責任者)は、市場の状況やルールを急激に変えてしまう製品や企業として、エナジー飲料の「レッドブル」や配車サービスのウーバー、ドローン最大手のDJIなどを例に挙げた。また、消費者の心理も購入・所有から共有に変化していると指摘した。

「MINE Mobility」ブランドの電気自動車を開発したエナジー・アブソリュートは、充電スタンド「EA Anywhere」の普及などを目指している。ソムポットCEO(最高経営責任者)は、高収益を実現するには、価値のあるビジネスを創造しなければならないと指摘。老朽化した船舶が往来するチャオプラヤ川で運航する電気フェリーの計画を明らかにした。また、米国などで普及するエネルギーストレージシステムの重要性を訴えた。

「サイアムパラゴン」「エムクオーティア」など大規模百貨店を運営するモール・グループのスパラックCEO(最高経営責任者)は、バンコクで小売と娯楽を一体化させた大型施設を娯楽興行大手AEGと共同で開発・運営すると述べた。「危機と機会は隣り合わせ」と、最新の技術と生身の人間のサービスが調和する場所を提供していきたいと述べた。

 

 

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