国際交流基金、平田オリザによる「演劇ワークショップ&トーク」を1月開催

Tokyo Notes, 2010 c (C) T. Aoki

『東京ノート』公演 新国立劇場、BeSeTo Festival (2010)
【同センター提供画像】

 

国際交流基金バンコク日本文化センターは2017年1月7日、チュラロンコーン大学文学部演劇学科との共催で、平田オリザ(劇作家)による「演劇ワークショップ&トーク」をバンコク文化芸術センター(BACC)にて開催する。

このイベントは日タイ修好130周年を記念し、平田オリザの代表作でる『東京ノート』のタイ語版『バンコク・ノート』を日タイ共同で制作。17年11月にバンコク・シアター・フェスティバルのオープニングで発表することが予定されており、そのオーディション(17年3月予定)および稽古などの日程発表に先立ち、平田オリザの演劇手法と彼の思考、『バンコク・ノート』の制作意図を紹介する目的で今回、演劇ワークショップとトークを開催するという。

近未来の美術館ロビーを舞台とし、現代における家族と人間関係の緩やかな解体を描いた『東京ノート』は、日本国内において岸田國士戯曲賞を受賞したほか、海外においても絶賛され、これまでに10言語に翻訳され、16ヵ国23都市で上演。06年には青年団によるオリジナルの『東京ノート』がバンコクでも上演された。タイ語版『バンコク・ノート』も、新たな傑作となり、タイの観客だけでなく、国際的な注目を浴びる作品となることが期待されている。

青年団(1982年設立)主宰の平田オリザは、「現代口語演劇」の理論化と実践を通じ、90年代以降、日本の演劇界を代表する劇作家・演出家の一人として、日本国内外で活躍。海外アーティストとの仕事にも積極的に関与し、これまでにフランス、ドイツ、アイルランド、アメリカ、オーストラリア、台湾、韓国、タイなど、さまざまな国のアーティストと共同制作をし続けている。なかでも、タイの俳優とアンドロイドが出演し、12年にバンコクで上演された『さようなら』は当時、タイ国内において大きな反響を呼んだ。

 

【イベント概要】
日時:2017年1月7日(土)14:00~17:30
会場:バンコク文化芸術センター(BACC)
使用言語:日本語(タイ語逐語通訳付)
キャパシティ:ワークショップ参加者10名、見学者100名まで
トーク聴講者110名まで
入場料:無料
申込方法:電話かEメールで国際交流基金バンコク日本文化センターまで
TEL:02-260-8560~4 / E-mail:acdstaff@jfbkk.or.th

 

『平田オリザ』
劇作家、演出家。城崎国際アートセンター芸術監督、こまばアゴラ劇場芸術総監督。劇団「青年団」主宰。東京藝術大学COI研究推進機構特任教授、大阪大学COデザインセンター客員教授、四国学院大学客員教授・学長特別補佐。1982年国際基督教大学在学中に劇団「青年団」結成。「現代口語演劇理論」を提唱し、1990年代以降の演劇に大きな影響を与える。

1995年『東京ノート』で第39回岸田國士戯曲賞受賞。2003年日韓合同公演『その河をこえて、五月』で、第2回朝日舞台芸術賞グランプリ受賞。2006年モンブラン国際文化賞受賞。2011年フランス国文化省より芸術文化勲章シュヴァリエ受勲。近年はフランスを中心に各国との国際共同製作作品を多数上演のほか、大阪大学・東京藝術大学と共同でロボット・アンドロイド演劇プロジェクトなど先駆的な作品を多数上演。

 

『東京ノート』
『東京ノート』という芝居は、その題名が示す通り、小津安二郎監督の名作『東京物語』が、モチーフになっています。『東京物語』では、年老いた両親の上京の風景が延々と描かれるわけですが、この『東京ノート』では、美術好きの長女の上京を機に、バラバラに暮らしている兄弟が、都下のとる美術館に集まってきます。

もちろん彼/彼女らには、それぞれの生活がり、苦しみがりますが、目下、彼/彼女らの共通の関心事は、親の面倒を誰が見るかという事だけです。もう一つの背景として、この作品では、遠く欧州の地で、たいへんな戦争が起こっているようです。しかし、ここに集う人々は、それぞれの問題、それぞれの生活を語るのみで、たかも世界史の大変動とは無縁にみえます。

演劇が、人間の精神の振幅を描く装置でるとするなら、この作品は、その精神の振幅の、もっとも微細なところを炙りだそうという試みだったのかも知れません。国家間の大きな衝突と、家族という最も小さな集団の葛藤と、その二つの混沌のなかで、静かに揺れ動く何ものかを、見つめていただければ幸いです。
(平田オリザ)

 

Tokyo Notes, 2007 (C) T. Aoki

『東京ノート』公演(駒場アゴラ劇場、2007年)
【同センター提供画像】

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