JICAカンボジア、国立母子保健センター拡張で周産期医療サービス強化

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完成した国立母子保健センター【JICA提供画像】

 

国際協力機構(JICA)カンボジア事務所は11月28日、無償資金協力事業「国立母子保健センター拡張計画」の完成式典を行った。同式典にはビン・チン副首相、マン・ブンヘン保健省相、堀之内秀久カンボジア日本国大使、安達一JICAカンボジア事務所長らが出席した。

地方の医療施設とのレファラル体制が強化されることにより、2006年頃から産科手術や低出生体重児などの管理、治療が必要な新生児の割合が増加し、質の高い緊急産科ケアの提供が求められていた。また、同センターは研修機関として医療従事者への卒前・卒後研修を提供しているが、求められる医療サービスが高度化していることに伴い、施設の拡充が喫緊の課題となっている。

同事業は、そういった新たな課題に対し、研修棟の新設、既存施設の改修および医療機材の整備を行い、研修機能の強化・拡充および産科ケア体制の整備を図ると同時に、技術協力事業によって実施されている「分娩時及び新生児期を中心とした母子継続ケア改善プロジェクト」を通じて、同センターの産婦人科・新生児科のトップレファラル病院としての機能強化が目的。

今後、新研修棟では年間約650人の卒前研修、2,050人の卒後(現任)研修を実施する予定。また、新生児治療室(NCU)、集中治療室(ICU)および回復室を増床したことにより、年間約1,400件のハイリスクケースに対処可能となり、妊産婦死亡率のさらなる低減につながることが期待されている。

カンボジアでは、1970年代からの内戦の影響で、医療従事者数が激減したほか、機材や施設も破壊され、保健システム全体が大きな打撃を受けた。内戦終結後は多数の支援により、妊産婦死亡率は大きく改善したが、周辺国と比較すると死亡率は依然として高い。

このような状況に対し、日本は無償資金協力により1997年に国立母子保健センターを建設するほか、技術協力により病院の管理・運営能力、研修活動、診断・治療水準などの向上を支援。その結果、同センターは行政・臨床・研修の3機能を担うカンボジア最大の産婦人科病院となっている。

 

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式典の参列者の様子【JICA提供画像】

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