東レと三井製糖、タイで膜利用糖化プロセスの技術実証を行う合弁会社設立

東レは5日、製糖工場で発生する余剰バガス(サトウキビを搾汁した後に残る固形物。バガスは、製糖工場のボイラーで燃焼され電気としてエネルギー回収が行われているが、未利用として残った分)を原料として、各種バイオ化学品生産の共通原料となるセルロース糖(非可食バイオマスに含まれるセルロースを加水分解することで得られるグルコースを主成分とする糖液)を製造する技術実証を行うため、三井製糖との合弁会社Cellulosic Biomass Technology Co., Ltd.をタイに設立すると発表した。

今回の技術実証は、東レが保有する水処理分離膜技術とバイオ技術を融合した「膜利用バイオプロセス」の研究・技術開発の一環。膜利用バイオプロセスとは、糖化、精製のプロセスに水処理用分離膜を使用することにより、非可食バイオマスから高品質、かつ低コストな糖原料の製造と精製エネルギーの約50%を削減可能にする技術で、非可食バイオマスを原料とする素材や化学品の実現が期待されている。

また今回の取り組みは、NEDO国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業に係る「余剰バガス原料からの省エネ型セルロース糖製造システム実証事業」について、セルロース糖製造システム普及の事業化検討を目的としている。なお、タイは世界有数のサトウキビ生産国、かつアジア最大の糖輸出国でり、バイオマスを活用した事業や研究技術開発を推奨しており、実証事業推進に適しているという。

同事業における実証プラントの設備能力は、バガス15t/日(乾燥重量)でり、粉砕・前処理、酵素糖化、膜分離工程を経て、約4.2t/日のセルロース糖を製造。同実証プラントでは、東レの水処理分離膜を活用した糖濃縮精製技術により、省エネルギーを実現しながら高品質なセルロース糖を製造することが可能になる。セルロース糖は、エタノール、乳酸、コハク酸などの各種バイオ化学品製造の共通原料として使用できるため、未利用バガスからバイオ化学品への新たなサプライチェーンの実現を目指す。

また、同実証プラントでは、セルロース糖に加え、飼料などへ展開可能なポリフェノールやオリゴ糖を同一原料・同一プロセスにて併産することにより、バガス利用の経済性を高めることも可能でり、実証事業を通じて事業化検討を進めていきたい考えだ。

gototop