アフターコロナの経営変革

企業トップに聞くアフターコロナの経営変革【物流業界】

この記事はPDFでダウンロードできます

ダウンロードができない場合は、お手数ですが gdm-info@gdm-asia.com までご連絡ください。

※入力いただいたメールアドレス宛に、次回配信分から定期ニュースレターを自動でお送りしております(解除可能)

アフターコロナの経営変革

新型コロナウイルスの問題に加えて、タイは国内市場の成熟や少子高齢化など様々な変化を迎えている。企業のトップはそれらをどう捉え、対処しようとしているのか。各分野の企業トップの展望を三菱UFJリサーチ&コンサルティングの池上氏が聞く。

本田隆一

日立物流(タイ)は日立製作所の家電事業の海外工場進出に伴い1989年に設立。その後、日立物流本体が2011年に自動車部品物流大手のバンテックを買収したことで、バンテックのタイ法人であったバンテック・アマタ・ロジスティクスもグループに加わる。さらに同年、タイ証券取引所に上場していた地場企業、エタニティ・グランド・ロジスティクスを買収。3PL事業(荷主から倉庫+配送等の物流を一貫して請け負うサービス)とフォワーディング事業を展開している。


Hitachi Transport System Vantec(Thailand), Ltd.

11/8 – 11/9 Moo 9, Bangchalong, Bangplee, Samutprakarn 10540
Tel:02-337-2086~99


Eternity Grand Logistics Public Company Limited

18/8 Moo4 Bangna -Trad Road (KM23) Tumbol Bangsaothong, Bangsaothong Sub-District, Samutprakan 10540
Tel:02-315-7333


昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、
御社の事業展開にどのような影響がありましたか?

私共は日本のメーカー様や小売・流通企業様に対して、サプライチェーンソリューションを提供するために存在しています。自社の提供サービスメニューありきのプロダクト・アウトではなく、お客様に寄り添うマーケット・イン型ソリューションプロバイダーを標榜していますが、そこからさらに踏み込んで、各産業のサプライチェーンマネジメントのパートナーにならなければならないと改めて強く感じました。

昨年、コロナ禍第一波の際、全ての産業界がこれまで経験をしたことの無い事態に遭遇しました。需要の急激な縮減あるいは蒸発、それに伴い工場生産を一時停止せざるを得なかったメーカー様、また商業施設の閉鎖で売り場を失った消費財メーカー様、一方で巣籠り需要増による家電製品や家具・雑貨メーカー様の販売増、外食産業の店舗閉鎖に伴う家食・中食を支える食品スーパー様の販売急増、バンコク居住者の地方への帰省に伴う生活必需品メーカー様の地方での販売増等々、様々な事象が起こり、それぞれの非常事態に際し、そのソリューションを必死に模索されておられるのを物流事業者の立場から目の当たりにしました。

お客様は商品を作り、消費地に運び、販売します。そこには原材料や部品の調達物流があり、工場での生産物流があり、その後の販売物流があります。今般の非常事態では、それらのどこかあるいは複数に問題を抱えていました。

産業ごとに違う〝お困り事〟ですから、当然必要なソリューションはそれぞれ異なり、徹底的にお客様に寄り添って最適解の提供を求められた私共は、もっと高く、より深い知見を持つ産業スペシャリストを有するサプライチェーンソリューションパートナーに進化しなければいけないと痛感しました。

具体的にはどのような取り組みを進めていきますか?

一つは、今後はシェアリングエコノミーの追求をより進めていきたいと思います。

例えば先述の通り、自動車メーカー様の生産一時停止あるいは生産減となった際、自動車部品を配送するトラック車両の稼働率が大幅に下落、一時は完全に止まりました。一方で、食品スーパー向けの配送は急激に伸び、転用可能な車両を投入しても全く需要に追い付かず、逼迫状態が続きました。倉庫ニーズも同様で、あちらこちらでアンバランスな需要と供給が発生しました。

そこで緊急避難的に、同業他社及び(それまでお客様ではなかった)他荷主の皆様との倉庫・車両等の相互利用、すなわち空いている倉庫・不稼働車両等アセットのシェアリングを行い、何とか乗り切れました。

これにより私共は、各産業界にとって最適な物流アセットがどういうものであるか、どこまでの許容範囲と制限があるかという知見、そして自社のアセットと他社のアセットの特徴をしっかり把握しておくことが大変大事であるということを認識させられました。

そして、平時より物流業界全体のアセット・シェアリングエコノミーの追求を行うことが、有事を乗り切り、お客様に最適解をご提示できる鍵であると確信し、この取組を加速させています。

【聞き手】三菱UFJリサーチ&コンサルティング 池上 一希

【聞き手】三菱UFJリサーチ&コンサルティング 池上 一希

もう一つは、同業他社のみならず、異業種や他業種の企業とも協力して、エコシステムを形成し、お客様にソリューションを提供することです。

実際にある国の国内市場がコロナ禍で大きな打撃を受け、大量に貯まった在庫をタイで販売したいという企業様がありました。その企業様はタイに法人がなく、商流が作れません。そこで私共が商社と協創し、生産国の物流会社とも協業し、商品の輸入、決済の仕組みも整えることにより、タイで販売することができました。

私共の物流に加えて、商流、金流(お金の流れ)、情流(情報の流れ)を組み合わせたソリューションをお客様に提供し、新しいサプライチェーン構築のお手伝いをしました。

未曽有の危機だからこそ、自分たちだけではできない価値を創り、お客様に提供することが大事だということを正に実感させられました。この流れはウィズコロナ、アフターコロナになっても続けていきたい、もっと進化させていきたいと思います。

コロナ禍でEコマースが注目されています。
Eコマース事業者は物流企業にとって競合になり得ますか?

コロナ禍により、タイでもEコマースは爆発的に伸びました。そして、マーケットプレイス型事業者様やEコマース専業者様だけではなく、現在、様々なメーカー様、店舗での小売り事業者様がオムニチャネル販売を指向し、ラストマイルも含めそれを支える物流として私共のサービスを使っていただいております。

一方、そのお客様がマーケットプレイスのみならず、物流機能も有するEコマース専業者様に全てを委託されるのなら、当社の出番は無いかも知れません。ですが、Eコマース専業者様が不得意な分野で協力できる可能性もあります。

即ち、一般的な消費財ならディベロッパーから手軽に賃借できる汎用性の高い倉庫を自社で運営し、地場トラック輸送会社を起用して配送することも可能ですが、高度な品質管理が必要不可欠な医療・医薬品や3温度帯管理を要する食品など特殊な分野に関しては、専門的な物流サービスへのニーズはかなり高いと思われます。

今後の事業展望を教えてください

今後は日系のお客様の経営現地化加速に呼応し、当社グループも現場のオペレーションに加えてマネジメントにおける現地化にも一層取り組んでいきます。

最早、何でもかんでも日本人が行う、主要ポジションを日本人が占める時代は、当地においては終わったと実感しています。

また、今年の4月にはタイのバンテック・アマタ・ロジスティクスとエタニティ・グランド・ロジスティクスを経営統合しました(存続会社はエタニティ)。バンテックは自動車産業に立脚しており、一方、エタニティは消費財、食品産業などに強みを持つため、両者を統合することで顧客への提供価値向上と進化、サービスメニューの整流化によるシナジー追求、そして顧客ポートフォリオの健全性の確保を実現したいと思います。

加えて、先に述べた様に、同業種のみならず、異業種、多業種の企業の皆様と協創し、お客様である日系企業のプレゼンス向上に貢献していきたいと思います。


タイの物流業界動向

by MU Research and Consulting (Thailand)Co., Ltd.

3PLも含めた包括的なコントラクトロジスティクスサービスを求める顧客は多国籍企業や日系企業が主であったが、近年は人件費をはじめとした各種のオペレーションコストが上昇。物流オペレーションは従来は自前主義であったタイ企業も委託ニーズが拡大しており市場の伸びしろは大きい。

一方、日系物流事業者の競争環境も厳しいものとなりつつある。市場で先行するDHL、Schenkerをはじめとする欧米系に加えて、近年は全国ネットワークを有する地場競合も実力を備えつつある。

近年の顧客側の要求水準はより高度なものとなりつつあり、例えば精密機器や医療関係などの個別の業界に特化した物流品質や、全世界の自社拠点へのアクセスが求められることも多い。従来以上に高度な対応能力が物流事業者側にも求められている。

タイのコントラクトロジスティクス市場(単位:百万米ドル)

三菱UFJリサート&コンサルティング

MU Research and Consulting(Thailand)Co., Ltd.

Tel:+66(0)92-247-2436
E-mail:kazuki.ikegami@murc.jp(池上)

【事業概要】 タイおよび周辺諸国におけるコンサルティング、リサーチ事業等

\こちらも合わせて読みたい/

変革期の自動車産業 ~タイにおけるCASE~

この記事はPDFでダウンロードできます

ダウンロードができない場合は、お手数ですが gdm-info@gdm-asia.com までご連絡ください。

※入力いただいたメールアドレス宛に、次回配信分から定期ニュースレターを自動でお送りしております(解除可能)

gototop