ビジネス・経済 2020.05月号

第5回 中小企業社長兼経営コンサルによる現場発経営論

第5回 中小企業社長兼経営コンサルによる現場発経営論

 Q:新型コロナウィルスの感染拡大による経済低迷に対して、タイ政府が様々な景気対策を打ち出しています。日系企業にとって利用価値が高い政策はないでしょうか。

A:記事を書いている4月末の段階でタイは非常事態宣言下にあり、日系企業の事業活動にも様々な影響が出ているようです。掲載号が出る頃には、少しでも事態が改善していることを願ってやみません。私自身も含め、中小企業の皆様には特に難しい時期ですが、共に前を向いて頑張って参りましょう。

今回は冒頭の通り、時節に関連するご質問について考えてみたいと思います。私も自社やお客様で使えるものがないかと思い、タイ政府の景気対策について色々な情報源をあたってみました。恐らく「人件費の300%を税務上費用にしてよい」という中小企業向けの制度が、会社にとって支出を減らすという意味で一番利用価値が高いと思っています。他は適用可能な会社があまり多くないと想定されるか、支出の総額は変わらず、申告期限を延長するだけという制度がほとんどです。

何ができるのかというと、簡単に言えば税金の支払いを減らすことができます。ただ、別表の通りいくつかの条件が課されています。

数値例を見て頂くと、税金が840万バーツから600万バーツへと、240万バーツ減っているのがお分かり頂けるかと思います。

現状出ているタイの景気対策を見た中で、恐らくこれが一番インパクトがある内容かと思いますので、まずは自社に適用可能か、検討することを推奨します。

数値例

条件

  • 適用できる期間は4月~7月分の人件費のみ
  • 合計従業員が200名を超えないこと
  • 従業員が社会保険に加盟していること
  • 前会計年度(2019年9月30日又はそれ以前に終了した12ヵ月間の会計年度)の売上が5億バーツを超えないこと
  • 従業員1人につき1ヵ月あたり15,000バーツまで適用
  • 制度を適用する期間の社会保険の加盟従業員数が、19年12月時点の加盟従業員数を下回らないこと

注:本記事の内容は4月初旬時点での公表情報に基づく内容になり、実際の運用にあたっては変更等の可能性があります。また、数値はあくまで参考値であり、適用にあたっては専門家との議論を踏まえて行ってください。

倉地 準之輔
倉地 準之輔

日本で大手監査法人、外資系企業勤務を経て、2013年来タイ。外資系会計事務所のジャパンデスクにて日系企業向けコンサルティング業務に従事した後、15年10月にBizWings (Thailand) Co., Ltd.を設立。経営コンサルティング業務を提供し、現在に至る。公益財団法人東京都中小企業振興公社タイ事務所経営相談員。ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォーム・コーディネーター。公認会計士(日本)。東京大学経済学部経営学科、米ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。

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