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【第10回】ラオス、カンボジア編

タイの周辺、メコン4ヵ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)現地で流行しているモノやコト、最近増えている、または注目の投資業種や案件、新制度の決定や施行とその実情などの政治経済トピックを、現地在住の専門家よりお届けするコラム。
第10回はラオスとカンボジアからのレポートです。

ラオスではベトナム人経営の理美容室をよく見かけます。ですが、実は理美容室は政府が定めている「ラオス国籍者のために保全されるべき事業」のひとつで、外国人が事業を行うことは禁止されています。
ここでいう事業とは、「ラオス人の所得向上に資する基礎的な職業、伝統として守るべき職業、高度な技術や大規模な資本金を必要としない事業(印刷業、バイク修理、機織、民芸品の生産など)」を指します。
ところが実際はというと、ラオスで単純労働に従事しているのは、出稼ぎのベトナム人も多く、ラオスとベトナムは同じ社会主義国で政治的な結びつきも強い「特別な関係」のため、政府も「例外」として黙認しているのかもしれません。
最近は、ラオス人名義ではあるものの、実態は中国人や韓国人が経営していると疑われる理美容室も増えています。当然これは違法で、問題が生じても外国人を保護する法律は存在しません。現状は、政府は黙認しているものの、今後の対応に注視する必要がありそうです。

オレンジ色の文字がラオス語で「理髪サービス」、白色の文字“CAT TOC”がベトナム語で「床屋」のようです


One Asia Lawyers ラオス事務所
内野里美

1979年生まれ、東京外国語大学ラオス語学科卒業。
2005年よりラオスにて日本のNGO、日本大使館勤務を経て2016年3月よりJBLメコンラオス事務所に常駐、現在に至る。

info@oneasia.legal
http://oneasia.legal/info

 

カンボジアの首都プノンペンでは、日本のODAによるプロジェクトで信号機の設置が進んでいます。GDP成長率7%と順調に経済成長を続けているカンボジアでは、通勤移動などに適した公共の交通機関がなく、出退社時の車やバイクによる交通渋滞が常態化しています(プノンペン市内の平均走行速度は時速15km以下)。このプロジェクトでは、市内100ヵ所に信号機を整備・新設し、交通管制センターを建設する計画だそうです。
近隣住民の「信号機は店舗経営や通行の邪魔になる!」という反対もあり、完全運用まではまだ時間がかかりそうですが、信号機と中央制御システムまで完成すれば、安全で利便性の高い東南アジア最先端の交通システムを有する国になります。
大切なのは最先端のシステムを導入することではなく、個人の利益ばかりを優先せずに、地域の、そして国の発展のために「国民全体の意識の変革」が行われることだと思います。カンボジアという国が、日本の支援をひとつのきっかけに、さらに素晴らしい国になることを願うばかりです。


MATES GLOBAL COMMUNICATIONS CO., LTD.
代表取締役 柳内 学

1975年生まれ、城西大学経済学部卒業。2007年、カンボジアにNGOの職員として赴任し、日本語学校の設立運営に従事。2009年、教え子と共に同社を設立。
現在はカンボジア人向け情報誌の発行事業を主に他事業を分社化、経営を多角化している。カンボジア在住10年。

yanai@mateskh.com
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