ビジネス・経済 2019.08月号

【連載】カシコン銀行経済レポート 2019年7月号

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タイ経済・月間レポート(2019年7月号)

5月のタイ経済は緩やかな減速傾向

2019年5月のタイ経済は緩やかな減速傾向にありました。米中貿易戦争の過熱や世界経済の減速などにより、輸出が縮小しました。外需の落ち込みを主因に、工業生産も縮小しました。それに加え、中国人観光客が収縮を続けていることにより、観光業も鈍化傾向にあります。また、民間投資や公共支出も縮小しました。しかしながら、購買力が総じて良好な水準を保っていることにより、民間消費の拡大が加速しました。

19年6月の消費者物価の上昇率は、前年同月比0.87%で24ヵ月連続で上昇しましたが、前月から伸びが減速しました。果物・野菜を中心に食品の価格が上昇したものの、消費者物価の上昇率は過去4ヵ月で最低となりました。一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、同0.48%の上昇で、前月から伸びが減速しました。

19年のタイ経済は予想よりも減速傾向にある見込みです。輸出は世界経済減速および米中貿易戦争により鈍化傾向にあります。その結果、工業生産も減速傾向にあります。また、20年度の歳出予算の編成作業が遅れる可能性があり、今年の第4四半期の公共投資に下押し圧力がかかると予想します。

しかしながら、民間消費は、今後の新政権の経済刺激策により引き続き拡大傾向にある見込みです。また、新政権発足により投資家の信頼感が改善傾向に転じ、全体的な投資環境が改善すると予想します。

カシコンリサーチセンターは、19年のタイ経済成長率が、従来の予想を下回り、前年比3.1%増になると予測します。

2019年5月のタイ経済情報

 タイ中央銀行が発表した19年5月の重要な経済指標によると、タイ経済は緩やかな減速傾向にありました。民間消費が牽引しているものの、民間投資や公共支出が縮小しました。それに加え、輸出や外国人旅行者が減少したことがタイ経済成長に影響を及ぼしました。

 5月の民間消費は前年同月比4・2%上昇しました。前月に比べると伸びは加速しました。その主な牽引役は、非耐久消費財が同4・2%、半耐久消費財が同1・3%上昇したことによります。また、購買力が総じて良好な水準を保っていることも支援要因で、特に農家の収入は同1・1%上昇しました。

 一方で、民間投資は前年同月比2・6%縮小しました。建設認可を受けた土地の面積が同12・2%縮小したほか、国内の機械販売が同5・1%下落しました。また、建材の販売、商用車の購入もそれぞれ同2・3%、2・0%下落しました。

 5月の輸出は、前年同月比7・2%下落しました。米中貿易戦争の過熱や世界経済の減速などにより、石油関連製品、自動車・部品、電子製品、コメやゴムなどの農産物の輸出が縮小したことが影響しました。

 工業生産に関しては、前年同月比4・0%減となり、前月のプラス成長からマイナス成長に転じました。外需の落ち込みを主因に、工業生産も縮小しました。しかしながら、例年より猛暑が続くことにより、国内外市場向けのエアコン生産が伸びています。

 観光業では、外国人観光客数が前年同月比1・0%減の273万人となりました。中国人旅行者が、中国国内の景気後退や、周辺国との中国人観光客の誘致合戦の激化により収縮を続けています。また、ドイツやロシアなどからの旅行者が縮小しました。

2019年6月のタイのインフレ率

 商務省が発表した19年6月のヘッドライン・インフレ率は、前年同月比0・87%で24ヵ月連続の上昇となりましたが、前月から伸びが減速しました。果物・野菜を中心に食品の価格が上昇したものの、消費者物価の上昇率は過去4ヵ月で最低となりました。一方で、非食品・飲料部門の伸びが縮小しました。

 品目別にみると、非食品・飲料部門が前年同月比0・40%収縮しました。住宅が同0・32%、医療・ケアが同0・12%それぞれ上昇した一方、運輸・通信は同1・58%下落し、全体の伸びを押し下げました。一方で、食品・飲料部門は同3・12%増となりました。米・粉製品の上昇率が同4・02%、肉・魚が同4・41%、果物・野菜が同12・70%それぞれ上昇しました。

 また、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0・48%の上昇で前月から伸びが減速しました。

2019年6~7月の外為相場

 6月下旬~7月上旬にかけてドル・円相場は1ドル108円台前半へ反落しました。7月末に米連邦準備理事会(FRB)が利下げするとの観測を背景にした円買い・ドル売りが強まりました。パウエルFRB議長が7月10~11日の議会証言で早期の利上げに前向きな姿勢を示しました。米長期金利が低下すると、日米の金利差縮小を見込んで円高の要因となります。

 ドル・円と同様にドル・バーツは6月12日の1ドル31・3バーツから7月12日には30・9バーツまでバーツ高傾向が強まりました。今後ともバーツ高傾向が継続する見通しです。

2019年のタイ経済成長は緩やかな拡大傾向

 19年のタイ経済は、引き続き拡大傾向にあるものの、様々な経済部門が減速傾向にあります。特に、輸出は世界経済減速および米中貿易戦争により鈍化傾向にあります。その結果、工業生産も減速傾向にあります。しかしながら、民間消費は、今後の新政権の経済刺激策により引き続き拡大傾向にある見込みです。

 公共投資に関しては、20年度の歳出予算(2019年10月~20年9月)の編成作業が遅れる可能性があり、今年の第4四半期の公共投資に下押し圧力がかかると見込まれます。このことにより、カシコンリサーチセンターは、19年の公共投資が従来の予想を下回り、通常ケースで前年比1・5%増になると予測します。

 一方で、民間投資は新政府設立により、投資家の信頼感が改善傾向に転じ、全体的な投資環境が回復すると予想します。よって、カシコンリサーチセンターは、19年の民間投資について従来予測である前年比4・2%増を維持しています。

 民間消費は、依然として家計債務残高の重石や、農家の購買力の不完全回復などにより下押し圧力がかかっている見込みです。しかしながら、今後タイの新政権は、家庭向け消費を高めるため、低所得者向けの支援策や、農家向けの支援策など購買意欲の喚起を行う政策を実施する見込みです。よって、カシコンリサーチセンターは、19年の民間消費の見通しを従来予測である前年比3・6%増から、新たな予測の同4・2%増に上方修正しました。

 19年の輸出は前年と比べ横ばいとなる見込みです。今年、タイの輸出は、世界経済の減速傾向や米中貿易戦争等、外部要因の不確定性により、従来の予想よりも鈍化傾向になると見込まれます。このことにより、カシコンリサーチセンターは、19年のタイ輸出額の見通しを従来予測である前年比3・2%増から、新たな予測の同0・0%増に下方修正しました。

従って、カシコンリサーチセンターは、19年のタイ経済成長率が、従来の予想を下回り、前年比3・1%増になると予測します。

※本資料は情報提供を唯一の目的としており、ビジネスの判断材料とするものではありません。掲載されている分析・予測等は、資料制作時点のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また、予測の妥当性や正確性が保証されるものでもありませんし、商業ないし何らかの行動の為に採用することから発生した損害の責任を取れるものでもありません。本資料の予測・分析の妥当性等は、独自でご判断ください。

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