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3.11メッセージ / 災害復旧、ロボ活躍

3.11メッセージ / 災害復旧、ロボ活躍 現場にドローン・アシストスーツ

東日本大震災から9年がたち、災害復旧活動でロボットが活躍する場が広がっている。代表的存在が、飛行ロボット(ドローン)とアシストスーツだ。ドローンは危険で人間が入り込めない場所でも上空に行って、鮮明な画像データを送信できる。山崩れや津波などの大規模災害では広範囲の被害状況を短時間で把握することが欠かせないが、こんな場合もドローンは有効だ。重労働をサポートするアシストスーツも被災地で活用されるケースが出てきた。
(編集委員・嶋田歩)

愛媛県大洲市でのドローン調査(18年7月)
▲愛媛県大洲市でのドローン調査(18年7月)

自治体後押し

 損保ジャパン日本興亜では国内に11機種、22機のドローンを保有。災害時の被害調査や、被災者の避難所への安全誘導などに活用している。

 2017年7月の九州豪雨では福岡県朝倉市と大分県日田市、18年7月の西日本豪雨では和歌山県、岡山県、広島県、愛媛県内の計20ヵ所、19年10月の台風19号では栃木県佐野市や栃木市に、それぞれドローンを派遣した。

 被災地の上空を飛んで空撮映像を送信。町全体が泥水やがれきでおおわれ、建物が床上まで浸水している状況を把握、自治体の復旧活動を後押しした。

 熊本地震の際は熊本県から要請を受け、阿蘇大橋の下流区域の不明者捜索を実施。震災を風化させずに後世に残す「デジタルアーカイブ事業」にも、協力した。16年12月に起きた糸魚川大火では、被災現場全域を空撮して動画と連続静止画のデータを送り、状況把握向上のため、被災地全域の3次元視覚化も実施した。

 17年と18年に行った新宿駅西口の超高層ビル群での避難者誘導を目的とした実証実験では、工学院大学や新宿中央公園、新宿区役所本部までのエリアでリアルタイム映像伝送や、拡声装置搭載ドローンの避難者誘導テストを実施。今後の活用につなげる。

腰負担を軽減

 アシストスーツは腰の負担を軽減し、重いものでも軽く持ち上げられるため、被災地の復興支援活動や、がれきを取り除く作業に効果が見込める。

 サイバーダインは西日本豪雨の際、岡山県の被災地にアシストスーツ「HAL腰タイプ作業支援用」を提供。泥にまみれた家財道具を屋外へ運び出したり、建物内に入った泥を土のう袋に詰めたりする作業に活用した。

 いずれも重量物運搬なので作業者の腰の負担軽減に役立ったほか、長時間、作業をしても疲労が少ないことで復旧速度のアップに役立ったと見ている。

 災害復旧のロボット活用はますます広がりそうだ。

※記事提供:日刊工業新聞(2020/3/11)

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