2020.07月号

日刊工業新聞

変革2020 ニューノーマル(新常態)に挑む 【ロボット】協働ロボ、ニーズ鮮明

日刊工業新聞

新型コロナウイルス感染症の拡大により、製造現場でも非接触やソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保が求められている。生産性の維持を前提に、これらを実現する手段として最も現実的な選択肢が自動化やロボット化だ。ロボットメーカー各社が果たす役割は、コロナ後のニューノーマル(新常態)においてはますます高まってきそうだ。
安川電機は自社工場に協働ロボットを導入している
▲ 安川電機は自社工場に協働ロボットを導入している

生産性の維持

すでに中国で、産業用ロボットの回復基調が鮮明だ。「ロボット事業全体は調子が良くないが、半導体搬送用ロボットは健闘している」と話すのは安川電機幹部。背景には中国政府が進める設備整備施策「ニュー(新型)インフラ」があり、第5世代通信(5G)や人工知能(AI)、データセンターなどに関連する産業がけん引役になっている。

一方、課題は自動車産業向け。世界的な自動車の販売台数の下振れが製造現場にも影響している。川崎重工業執行役員の高木登精密機械・ロボットカンパニーロボットディビジョン長も「大きなプロジェクトは延期となり、先が見えない」と足元の状況を語る。

人と同じ作業

新型コロナで、より鮮明になったニーズが人と同じ空間で作業を行える協働ロボットだ。組み立てやハンドリングなど従来は人でなければ困難だった作業を代替できる。ファナックの山口賢治社長は「6月から協働ロボット『CRX』 の量産出荷を開始する。需要に応えるための生産体制をどう構築するかが課題となっているくらい好評」と期待する。

三菱電機も5月下旬に初めてとなる協働ロボット「メルファ・アシスタ」を投入した。協働ロボットには、複数作業を手がけるマルチタスク機能の追加や自律移動体への取り組みなど、まだまだ改良しなければならない点はある。それでも「コロナ後にニーズは高くなる」(安川電機幹部)のは確実だ。

適用を拡大

協働ロボットを通じた事業領域の拡大はすでに始まっている。例えば川崎重工業は、出資先のメディカロイド(神戸市中央区)と医療用ロボットの事業化に取り組む。「新たな顧客にこれまでとは違うアプローチをする必要がある。目指すのはロボットでソリューション(課題解決)を提供すること」(高木執行役員)と新たな適用範囲を模索する。

これまで産業用ロボットは景気変動の影響を受け増減を繰り返しながらも、右肩上がりで市場規模を拡大してきた。リーマン・ショック後の2009年には2,882億円まで減少した国内生産額は、18年には9,116億円まで大きく伸び、1兆円が見えていた。しかし19年は米中貿易摩擦などの影響もあり「9,000億円を割った」(日本ロボット工業会)。20年も新型コロナの影響が予想される。

それでも生産労働人口減少や競争力低下といった社会課題を解決するためには、ロボット技術が全産業で欠かせない。「自動化やロボット化の流れはさらに加速する」(ファナックの山口社長)という点では業界の見方は一致している。

※記事提供:日刊工業新聞(川口拓洋、2020/06/17)

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