2015.10月号

アジア有数のビジネススクール、チュラロンコン大学サシン経営管理大学院によるフォーラムレポート&ビジネスマッチング

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“ Riding the Waves of Aging Society : Business Opportunities and Challenges”

9月1日、タイ研究財団(Thailand Research Fund:TRF)の年次カンファレンスがチュラロンコン大学サシン経営管理大学院とバンコクポストの共催で開かれ、同校のクア・ウォーンブンシン副学長とピヤチャート・ピロムスワッド講師が、“Riding the Waves of Aging Society: Business Opportunities and Challenges”をテーマに講演を行った。

国連の定義によれば、高齢化の社会は3段階に分けられる。国の総人口に対して65歳以上の人口が占める割合が7%を超えると『高齢化社会』、14%超えで『高齢社会』、20%超えで『超高齢社会』と定義されている。
タイは2002年に『高齢化社会』のフェーズに突入、22年には『高齢社会』に分類され、さらに31年には『超高齢化社会』のステージに突入することが予想される。留意すべきは『高齢化社会』から『高齢社会』に移行する期間の短さだ。日本で約24年、欧州で最も高齢化の進行が早いドイツで約42年かかった移行が、タイは20年と進行スピードが早い。加えて、すでに先進国であった日本や欧州とは異なり、中進国となったものの、タイは社会福祉や金融商品・サービス、それらに伴う法制度などが未整備の状態にある。
ピヤチャート講師は、「高齢化社会が引き起こす労働者不足や財政負担など、国家の発展に関わる課題に立ち向かう政策が早急に必要です。労働集約型産業で経済成長を遂げてきたタイは、少子高齢化が進めばGDP成長率にも影響します。投資家が高齢化し、動きが鈍くなれば市場や貿易にも影響が出るでしょう」とコメント。
民間企業に対して退職者人口の増加による影響を緩和するため、退職年齢の引き上げ、リタイヤ層へのフレキシブルな労働機会提供、若年層に対する貯蓄の呼びかけなどの対策を提案。また政府に対しては、退職者人口が増えれば税収も減少するため、持続可能な方法での財政支出履行、不要な支出の見直し、政治的腐敗の排除を検討する必要があると述べた。

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一般向けにタイ語で行われた講演にはたくさんの聴講者が訪れた

 

少子化に歯止めをかける政策が急務

クア副学長…高齢化社会の要因として、①出生率の低下②医療技術の進歩―が挙げられる。女性の高学歴化による社会進出で、進出が増え、初婚・初産の年齢が上がり、夫婦1組当たりの子供の数も減少。2人は欲しいという希望に対し、実際の出生率は1.53%に留まっている。
タイの政策にはスウェーデンと日本のケーススタディを参考にしている。スウェーデンは女性が自立し、育児をしながら働ける制度が整っており、国が手厚くサポートしている。国家としてヒューマンリソースへの投資を進めることが重要だ。日本は出産、育児のタイミングで女性が職を失う労働力率のM字カーブ問題を抱えており、その解消施策も参考にしている。
ピヤチャート講師…『超高齢社会』を迎える2031年まで時間がなく、国民の認知向上が緊急課題。タイ国民の高齢化社会に対する意識は正直まだ低く、近年はAECなどの話題にかき消されてしまっている感もある。
高齢化社会に伴い人材やテクノロジー、また高齢者向け商材のニーズが高まることで、関連するビジネスの市場が成長するだろう。
タイに生産拠点を持つ日本企業は多い。タイの投資環境を整えるため、当面の間は高齢化問題に直面しない周辺国から労働力を確保する一方、対策を講じるようにタイ政府に働きかけるべきです。

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クア・ウォーンブンシン教授

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ピヤチャート・ピロムスワッド講師

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