SBCS タイ経済概況

Vol.9 徐々に進むワクチン接種

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タイ中央銀行(BOT)は6月23日に開催した金融政策委員会(MPC)で、2021年の経済成長率について3月時点の前年比3・0%増から同1・8%増へ、22年は3月時点の同4・7%増から同3・9%増へと下方修正した。新型コロナウイルス感染の第3波の影響により、外国人旅行客数および国内需要が低調になっていることが引き下げの主な要因。また、インフレ率に関しては21年、22年ともに1・2%と予測している。

タイでも徐々にワクチン接種が進んでいる。

タイ人の中には様々な人脈や独自ルートを使ってワクチンを接種した人がいるようだが、私にはそのような手段はなく、民間病院で打つつもりでいた。しかし、7月に入って社会保険の枠で集団接種をできることになり、私も入れてもらえた。

当日は会場となるビルの駐車場へ行き、問診票のような書類に記載、最初の窓口でパスポートと労働許可証による本人確認と併せて記載内容を確認。続いて血圧測定の後に冷房の効いた部屋に移ってワクチン接種、30分の経過観察の後に帰宅、という流れで会場到着から2時間半程度で終了した。

接種後に問診票にシールが貼られるのだが、それによると私が接種したのはアストラゼネカだった。事前にワクチンの種類を聞いてはいたが、これまで朝令暮改されるタイ政府の発表に振り回され続けてすっかり疑い深くなっている私は、このシールを見てようやく自分が摂取したワクチンがアストラゼネカだったと納得した。

さてアストラゼネカの場合、副反応が強いと言われており、自分の体がどうなるか心配だった。個人によって副反応は異なり、高熱が出て翌日に病欠を取った者も多数いた。

私はというと、夜に熱が出たような気がするが(計測していないので分からず)、翌日、やや体調不良と注射した左腕の筋肉痛という程度だった。

若い人ほど副反応が強く出るという事なので、私の体は老化が進んでいるのかもしれないが、ここは副反応が弱かったことをポジティブに考えておこう。

ところで、6月からタイ国内での感染が一気に広がった。感染した知人もちらほら出てきていて、コロナが身近に迫ってきているのを感じる。コロナに感染して集中治療室で10日以上を過ごすなど、文字通り死線を彷徨った知人の体験談を本人から伺った。

日本円で500万円程度になったという高額な医療費には驚かされたが、それよりも私にとって恐怖となったのは感染力と症状だ。

知人から身近な人に感染は拡がり、さらにその方々の家族まで感染。こうして発生してしまったクラスターの中には一時、危篤状態になるまで重症化してしまった若い人がいたというのだ。

自分が感染源となってしまい、うつした人が命を落とすようなことがあれば、重い十字架を背負って生きていくことになりそうだ。少し考えただけでも恐ろしい。

ワクチンを1回接種しただけでは、重症化を少し防ぐことはできても感染しないわけではない。感染した場合、知人のように周囲の人にうつしてしまう可能性は十分にある。当分、自分のみならず周囲の人を不幸にしないためにも警戒を解くわけにはいかない。

寄稿者プロフィール
  • 長谷場 純一郎 プロフィール写真
  • SBCS Co., Ltd.
    Manager, Business Promotion Division
    長谷場 純一郎

    奈良県出身。2000年東京理科大学(物理学科)卒業。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構。山形事務所などに勤務した後、10年チュラロンコン大学留学(タイ語研修)。12年から18年までジェトロ・バンコク勤務。19年5月より現職。

SBCSは三井住友フィナンシャルグループが出資する、SMBCグループ企業です。1989年の設立以来、日系企業のお客さまのタイ事業を支援しております。

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2021年5月〜7月  経済・政治関連トピック

経済

5月5日付のタイ国投資委員会(BOI)の発表によると、2021年第1四半期(1~3月)の投資申請額は前年同期比80%増の1,233.6億バーツで、件数は同14%増の401件だった。このうち、海外直接投資(FDI)の新規申請額は同143%増の619.8億バーツで、件数は同17%減の191件だった。  国別申請額では1位が韓国の104.8億バーツで、中国(103.6億バーツ)、シンガポール(102.8億バーツ)、ノルウェー(100.0億バーツ)が続いた。韓国企業とノルウェー企業による医療用ゴム手袋の大型共同出資事業が大きく結果に影響した。国別申請件数では1位が中国の37件で、日本(33件)、シンガポール(28件)、香港(16件)の順となった。

重点産業への新規申請額は748億バーツで、医療分野への投資が184億バーツ(29件)で前年同期比100倍以上と大幅に拡大して首位、2位は電気・電子分野の174億バーツ(34件)だった。 東部経済回廊(EEC)への新規申請額は39%増の644億バーツだった。


タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は5月17日、21年第1四半期の経済成長率が前年同期比2.6%減であったと発表。新型コロナウイルス感染症の影響から民間消費支出とサービス輸出がマイナスであった一方、物品輸出および民間投資はプラスに回復、さらに公共投資の拡大が寄与し、前期(20年第4四半期)の同4.2%減から下げ幅は縮小した。また、同期の失業者数はおよそ76万人で失業率は2.0%、前期の1.9%からわずかに、前年同期比の1.0%からは大幅な上昇となった。

なお、21年通年の経済成長率に関しては、2月時点の予測値である前年比2.5~3.5%増から、同1.5~2.5%増へと下方修正した。ただし、輸出および政府支出の拡大に加え、前年の成長率が低水準であった反動でプラス成長は維持となる見込み。


盤谷日本人商工会議所(JCC)は6月30日、21年上期日系企業景気動向調査の結果を発表した。21年5月10日~6月9日にかけて会員企業1,658社を対象に調査を行い、593社(回答率35.8%)から回答を得た。

同調査によれば、21年上期の業況感(DI値:業況が「上向いた」と回答した数から「悪化した」と回答した数を差し引いた値)見通しは、20年下期24とほぼ同水準の25だった。また同調査によると、21年下期については新型コロナウイルスの感染拡大によりプラス幅が縮小となる見通し(25→14)。


6月30日、タイ投資委員会(BOI)は投資奨励制度見直し案を承認した。主な内容は、(1)2億バーツ以上、もしくは当初3年間の合計売上高の1%以上を投資や支出する事業に、より長期の法人税免税措置を適用(最長13年、免税金額の上限なし)、(2)ウエハー製造のように前工程の資本と技術集約的な製造業に10年間の免税、15億バーツ以上の機械投資を伴う先端集積回路、IC基板、プリント基板製造事業には8年間の免税措置を適用、(3)「ソフトウェア、デジタルサービスプラットフォーム、デジタルコンテンツ開発」という新たなカテゴリーで恩典を申請する企業は8年間の免税措置の対象とし、免税の年間上限額はタイ人のIT人材追加雇用や訓練費用、国際基準認証の費用により決定、(4)スマートパッケージやリサイクル素材を含む環境に優しい包装製品の製造への投資恩典の強化、(5)国際ビジネスセンター(IBC)と貿易投資支援事務所(TISO)の業務範囲を改訂、両カテゴリーでトレジャリーセンターを運営していない企業でも、タイ国内外の関連会社に対する貸付を可能にする。


タイ国家統計局が公表した20年の家計調査結果によれば、1世帯あたりの1ヵ月間の平均支出額は2万1,329バーツで、前年の2万742バーツから増加した。調査対象は全国の5万5,986世帯。平均支出が高かったのはバンコク都と周辺県であるノンタブリ県、パトゥムタニ県、サムットプラカン県の3万1,142バーツだった。

また支出に占める割合が最も高かったのは、飲食・たばこ費の35.6%で、住宅費(20.6%)、交通費(17.2%)、被服費(4.7%)、通信費(4.0%)、教育費(1.5%)、医療費(1.5%)と続いた。

政治

タイ政府は5月8日付の官報にて、個人情報保護法の複数の条項について適用時期の再延長を告示した。本法は19年5月に一部条文が施行され、20年5月27日より完全施行が予定されていたが、政府は新型コロナウイルス感染症の流行ならびに政府機関および民間企業への準備期間への配慮を理由に、同年5月19日の閣議において延長を決定。完全施行は21年5月31日より後になるとされていた。

しかし、タイの経済・社会は引続き新型コロナの影響を受けており、適用準備が十分に整っていない状況にある等の理由から、再延長が決定された。これにより、罰則規定等を含む本法の完全施行は22年5月31日より後となる。

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