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バンコク都庁(BMA)、経済協力開発機構(OECD)、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)及び一般社団法人国際建築住宅産業協会(JIBH)、「サステナブルな建築・都市セミナー」開催

2024.02.29

(左から:日本のつくば市長の五十嵐立青氏、OECD次長のナディム・アーマド氏、バンコク都知事のチャッチャート・シッティパン氏、日本の前内閣総理大臣補佐官の和泉洋人氏、駐タイ王国日本国特命全権大使の梨田和也氏、ERIA最高執行責任者の八山幸司氏)

バンコク都庁(以下、BMA)、経済協力開発機構(以下、OECD)、東アジア・アセアン経済研究センター(以下、ERIA)及び一般社団法人国際建築住宅産業協会(以下、JIBH)は、118日にタイ・バンコクにて『サステナブルな建築・都市』セミナーをハイブリッド形式(現地会場及びオンライン)で開催した(後援:在タイ日本国大使館、ジェトロ・バンコク事務所、盤谷日本人商工会議所、国際協力機構タイ事務所)。

当日は、政府機関や業界団体、研究機関、地場企業など含め、現地会場は227名、オンライン(第二部の政策セッションのみ)は161名が出席し、本セミナーのテーマがバンコクの都市づくりの重要な課題であり、多くの関係者が強い関心を持っていることが伺えた。また、チャッチャート・バンコク都知事がアジアのOECD非加盟国の地方自治体首長として初の「OECDチャンピオンメイヤー」[1]に就任したことが発表された。

JIBH副会長/積水ハウス株式会社 専務執行役員の豊田治彦氏

JIBH副会長/積水ハウス株式会社 専務執行役員の豊田治彦氏

駐タイ王国日本国特命全権大使の梨田和也氏

駐タイ王国日本国特命全権大使の梨田和也氏

第一部のビジネスセッションの開会挨拶では、豊田治彦JIBH副会長/積水ハウス株式会社 専務執行役員が登壇し、来場者や関係者への謝意、JIBHの概要を述べた上で、本セッションでは、202210月のJIBH企業訪問団の際にバンコク都から表明された関心に応えて、日本企業の持つ環境関連の技術や知見を紹介し、バンコク都庁(BMA)政策担当者やタイ企業に参考にしていただくことを期待すると述べた。来賓挨拶では、梨田和也駐タイ王国日本国特命全権大使が、バンコクが目覚ましい発展を遂げる中で持続可能性、包摂性、脱炭素化が重要になること、チャッチャート都知事への期待とOECDチャンピオンメイヤー就任への祝意、本セミナーが有意義な議論の場になることへの期待を寄せた。

セミナー開催中の会場の模様

セミナー開催中の会場の模様

続いて、バンコクをより持続可能で住みやすい都市にするために、日本の実績や技術をどのように応用できるかという観点から、日系企業・団体の代表者が以下6つのテーマで発表を行った。

  1. 公正でグリーンな移行に向けたサステイナブルシティのつくりかた−日本の経験に学ぶ(一般社団法人海外エコシティプロジェクト協議会 佐谷説子氏)
  2. 建物情報のデータベース化と脱炭素への取り組み(株式会社梓設計 前田隆氏)
  3. 持続可能な環境配慮型社会の実現に向けた最新技術(大成建設株式会社 菅原達也氏)
  4. 工業化技術を活かした、より良い住宅の提供を目指して(SCG-SEKISUI Sales, Co. Ltd.(積水化学工業株式会社グループ) 村松正臣氏)
  5. 脱炭素・循環型社会の実現へ(トステム・タイ(株式会社LIXILグループ) 大藪隆二氏)
  6. カーボンニュートラルに向けた健康で省エネな空調機器の取組み(ダイキンインダストリーズ(タイランド) ティティワット・マニークァ氏)

ビジネスセッションの閉会にあたり、バンコク都知事顧問のケッサラ・タンヤラックパーク氏は、本日紹介された日本企業の技術は、バンコク都庁(BMA)が、バンコクをすべての人にとって住みやすい都市にすること、持続可能性の達成、グリーン移行、脱炭素化等を進めるうえで参考となるとし、本セミナー開催への謝意を表した。

 

第二部の政策セッションでは、持続可能な建築と都市に関する国際的な政策対話が行われた。

日本の前内閣総理大臣補佐官の和泉洋人氏

日本の前内閣総理大臣補佐官の和泉洋人氏

政策セッションの開会にあたり、東京大学特任教授/工学博士/前内閣総理大臣補佐官/JIBH名誉顧問の和泉洋人氏は、日本が人口動態変化と気候変動に直面する中で、建築・都市分野における「グリーンへの移行とネット・ゼロの未来」、「デジタルへの移行とスマートシティ」、「多様性と包摂的成長」という3つの課題への日本の政策を紹介し、これらの課題に一緒に取り組むことを呼びかけ、都市の未来は明るいと述べた。

ERIA最高執行責任者の八山幸司氏

ERIA最高執行責任者の八山幸司氏

また、ERIA最高執行責任者の八山幸司氏は、ERIAが国際機関としてASEAN・東アジア地域のデジタルイノベーション、持続可能な経済、カーボンニュートラル、スマートシティを推進し、様々な研究や政府・民間との対話を行っていると述べ、政策セッションへの期待と重要性を強調した。

OECD次長のナディム・アーマド氏

OECD次長のナディム・アーマド氏

続いて、3つの基調講演が行われ、OECD起業・中小企業・地域・都市センター次長のナディム・アーマド氏は『サステナブルな都市と包摂的な成長』のテーマで講演し、OECDチャンピオンメイヤーを紹介し、OECD加盟国の都市と建築分野の脱炭素化の現状と課題、ネット・ゼロ目標達成におけるスマートシティの有効性と課題、高齢化・人口減少社会における包摂的成長のための都市政策を指摘した上で、都市・地域における5つの優先政策(中央・地方レベル政府の能力強化等)を示した。

バンコク都知事のチャッチャート・シッティパン氏

バンコク都知事のチャッチャート・シッティパン氏

次に、バンコク都知事のチャッチャート・シッティパン氏は『バンコク:すべての人にとって住みやすい都市』と題して講演した。バンコクの課題と強み、人材獲得の重要性を述べた上で、この演題がバンコクのビジョンであり、バンコクが2027年に「世界の住みやすい街50位以内」となることを目標に(現在98位)、BMAは生産性の向上、生活の質の向上、全ての人々への機会の創出、信頼の構築を図るとした。そして、参考にしている日本の政策にも言及しつつ、モビリティ、公園、廃棄物処理、洪水対策の各分野でBMAが取り組んでいる具体的施策、建設分野の規制改革を示した。具体的アクション、市民生活に密着した小規模事業の重要性を繰り返し強調した。最後に、他都市とのコラボレーションが成功の鍵であると述べた。

日本のつくば市長の五十嵐立青氏

日本のつくば市長の五十嵐立青氏

基調講演の最後は、日本のつくば市長の五十嵐立青氏が登壇し、『つくば市のスマートシティの取組と脱炭素先行地域づくりに向けた取組』として、つくば市が「世界のあしたが見えるまち」というビジョンを掲げて包摂的な社会の実現に取り組んでおり、「つくばスーパーサイエンスシティ構想」に基づくスマートシティの推進、マイクログリッド構築等による脱炭素化を、産・官・学・都市との連携体制を構築し、つくば市民と一緒に推進していると述べた。

 

これらの基調講演に続いて、国際的な専門家によるパネルディスカッションが行われた。

(左から: OECD次長のナディム・アーマド氏、日本の国土交通省の高宮氏、日本の横浜市国際局の橋本氏、BMA公共事業局のアラヤシリ氏、株式会社大林組の小野島氏、タイ・グリーンビルディング協会のタンピパット氏、OECDの宮森氏)

(左から: OECD次長のナディム・アーマド氏、日本の国土交通省の高宮氏、日本の横浜市国際局の橋本氏、BMA公共事業局のアラヤシリ氏、株式会社大林組の小野島氏、
タイ・グリーンビルディング協会のタンピパット氏、OECDの宮森氏)

パネルディスカッションⅠでは、「ゼロカーボン住宅、建築及び都市」について議論が行われた(司会:OECDナディム・アーマド氏)。日本の国土交通省の高宮氏は日本の建築分野における脱炭素化に向けた取り組みについて、ZEB/ZEH水準の達成ロードマップ、ライフサイクルカーボン削減、建築情報モデリング(BIM)の活用、木材利用促進を説明した。日本の横浜市国際局の橋本氏は、同市のみなとみらい21地区の様々な脱炭素化イノベーション施策、脱炭素化における都市開発プロセスの重要性を説明し、国際的連携が有益であると述べた。BMA公共事業局のアラヤシリ氏は、BMAとタイ政府のゼロカーボン建築に係る政策を説明した上で、問題点として資金的インセンティブ欠如、BMAに権限が無いことを指摘した。株式会社大林組の小野島氏は、省エネ性能の高い建築がまず必要であること、建設段階のエネルギー使用量の把握・削減、エンボディードカーボン の少ない建設材料の推進といった同社の取り組みを紹介した。タイ・グリーンビルディング協会のタンピパット氏は、同協会の「エネルギー及び環境持続可能性に関するタイの評価システム」(TREES)の概要を説明した。OECDの宮森氏OECDの国際的調査に基づき、建築物の脱炭素化の重点が今後変化していくこと、中央・地方政府の連携の重要性を述べた上で、オランダの近隣開発による脱炭素化の成功例を紹介した。

そして、ネット・ゼロ目標に向けて都市建築の脱炭素化を加速させるための官民のパートナーシップの在り方、政府はいかにして包摂的方法で建築物のエネルギー移行のための地方レベルの行動を促進することができるかについて議論した。

(左から: ERIAの岩崎総則氏、つくば市の五十嵐市長、インドネシア公共事業住宅省のインドラサリ氏、BMA戦略評価局のアピシットプバクル氏、チュラロンコン大学のプラチュアブモー氏、OECDの鈴木氏、ERIAのアンブモツィ氏

(左から: ERIAの岩崎総則氏、つくば市の五十嵐市長、インドネシア公共事業住宅省のインドラサリ氏、BMA戦略評価局のアピシットプバクル氏、チュラロンコン大学のプラチュアブモー氏、OECDの鈴木氏、ERIAのアンブモツィ氏)

パネルディスカッションⅡでは、「スマートシティ(SC)における包摂的な成長」を議論した(司会:ERIA岩崎総則氏)。つくば市の五十嵐市長は、同市で実施されているインターネット投票、移動支援モビリティ・ロボット等の包摂性を高める先端技術を紹介した。インドネシア公共事業住宅省のインドラサリ氏は、同国のSC整備の政策と現状、新首都建設について説明し、SCにおける持続可能性や人々中心のアプローチの重要性を強調した。BMA戦略評価局のアピシットプバクル氏は、BMAの高齢者や障がい者のための様々な施策(ユニバーサルデザインに基づく公共建物の改修等)を紹介した。チュラロンコン大学のプラチュアブモー氏は、高齢化社会や気候変動におけるSCの役割を述べ、将来の予期せぬ事態や脆弱な人々に対する政策の必要性を訴えた。OECDの鈴木氏は、OECDSCと包摂的成長に関する円卓会議を創設してSC整備政策を検討していることを紹介し、人工知能(AI)の有効な活用を主張した。ERIAのアンブモツィ氏は、ASEAN SCネットワークにおける研究をもとに、SCが機会と課題の両面を持つこと、SCに関するデータの整備と活用に向けた政策課題を指摘した。

そのうえでデジタル技術を通じて、どのようにコミュニティの強化や人々の生活の質の向上に貢献できるかを議論した。デジタル技術は、人々の公共サービスへのアクセス改善、コミュニケーションの円滑化に効果的であること、並びに政府・企業・大学・住民が連携した多方向の対話が重要となり、そのツールとしてのスマート技術を活用した事例が示された。

政策セッションの閉会挨拶では、バンコク都知事顧問のポーンプロム・ウィキットセート氏が登壇し、関係者に謝辞を述べた上で、「本日は、様々な専門家から、バンコクを持続的ですべての人にとって住みやすい都市にするための貴重な示唆を得た。バンコクの気候変動は深刻化しており建築分野の脱炭素化は重要。課題を解決するためにはこれらの知見を現実的な政策に落とし込み、実行していくことが大切。そのためにはチャッチャート・バンコク都知事が述べたようにコラボレーションが鍵となる」と締め括った。


【開催概要】

日時                    2024118日(木)10:00〜17:00(タイ時間)

現地会場             Grand Hall, The Athenee Hotel

オンライン            ZoomによるLIVE配信

参加者数             :現地会場227名/オンライン161

主催                    :バンコク都庁(BMA
                            経済協力開発機構(OECD
                            東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA
                            一般社団法人国際建築住宅産業協会(JIBH

後援                    :在タイ日本国大使館
                            ジェトロ・バンコク事務所
                            盤谷日本人商工会議所
                            国際協力機構タイ事務所

[1] OECDの「包摂的成長のためのチャンピオンメイヤー」イニシアチブ(都市の包摂的成長に取り組む先進的な自治体首長の世界的ネットワーク)。https://www.oecd-inclusive.com/

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