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広告表示に関するルール改定

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      日本では、2023年3月28日付で、ステルスマーケティングに関する規制が公表され、企業の関心を集めている。無論タイにおいても、消費者向けに商品を展開する場合は広告規制に留意しなければならない。タイでは、消費者保護法を基に広告全般に関する規制が施行されているが、先般、新たな広告表示に関するルールが発表された。そこで本稿では、新たに公表されたタイの広告規制について概観し、そのポイントを解説する。

       新告示の位置付け

      新たな広告表示に関するルールは、「証明困難な事実に関する広告文の使用に関するガイドライン/広告文に関する事実証明に関するガイドライン」に対する新しい告示として公表された(以下、「新告示」)。新告示は、23年1月13日付で官報に掲載され、同年1月14日から施行されている。

      全ての広告に適用されるルール

      新告示は、広告全般について適用される一般的なルールとして、(1)タイ語の表記、(2)表記の明確性、(3)消費者から見た理解の容易性を求めている。まず、タイ語表記として、新告示は広告内容にはタイ語の記載を含めなければならないと定める。また、商品の本質的な要素が英語で表記されている場合、タイ語の翻訳も併せて表記する必要がある。

      次に、表記の明確性として、新告示は記載内容が読みやすく、(音声の場合は)聞き取りやすいものであることを求めている。紙面の関係で詳細は割愛するが、これらについては、新聞、ラジオ、テレビ、Web等のメディア毎に、文字のサイズや表示の長さ等が個別に指定されているため、新告示の記載を参照されたい。

      最後に、消費者から見た理解の容易性の部分であるが、新告示には「商品を無料で提供すると広告したならば、消費者は当該商品の提供には支払いを要しないと理解する」との例示が示されており、そこに何らかの条件が付随するような場合は、当該条件を正確に表記しなければならないとされている。

      特定の手法を用いた広告に適用されるルール

      また、新告示は特定の手法(表現方法)を用いた広告に対する個別のルールや禁止事項も定めており、以下にその中の主要なものを示すこととする。

      まず、商品の性能等について特定の環境又は条件(例えば、温度、湿度その他の要素が指定されている場合)で行われた試験等に言及する場合、当該実験を行った機関や、特定の条件の内容を明らかにしなければならない。バッテリーの持ち時間や、効果の持続時間等を、一定の実験結果等に基づいて表現する場合には、それらの詳細を明らかにすべきことになる。

      次に、商品又はサービスに関して一定の保証をするような広告を行う場合、保証の範囲、手続き、条件等を表示する必要がある。これには、商品の満足度保証として、効果が出ない場合の返金や、商品の返品・交換などを謳う場合が該当するだろう。

      また、禁止される広告手法もある。例えば(1)免責、(2)責任制限、(3)事前通知なく商品又はサービスの条件を変更する権利の留保を含むような広告は禁止される。これは、「商品画像はあくまでサンプルであり、実際に宣伝されている商品とは異なる場合があります」という表記や、「当社は事前の通知なしに価格や条件を変更する権利を留保します」などを、広告内に表記する手法を禁止するものである。

      特定の商品について、他の類似品との比較や、一定の基準に合格したことを示すような表現についても注意が必要である。例えば「売上No.1」、「金賞受賞」、「検査機関が定めた基準に合格した」等の表現を用いる場合は、事業者は、これらを適切な資料をもって立証できるようにしておかなければならない。疑義がある広告については、委員会が事業者に対しその事実の立証を求めることができるとされている。

      まとめ

      以上のとおり、2023年に入ってから公表された広告規制に関する新告示を概観した。これらの規制に対する違反が検出された場合、委員会が広告表現の修正等を求める是正命令を発出することが出来るほか、新告示が消費者保護法に基づくものであることから、同法違反としての罰則も予定されている。現場レベルでは、どのような表現が許容されるのかが引き続き模索されることになるだろうが、委員会に対して事前に照会する等の方法を利用しつつ運用に注意していただきたい。

      寄稿者プロフィール
      • 藤江 大輔 プロフィール写真
      • GVA Law Office (Thailand) Co., Ltd.
        代表弁護士藤江 大輔

        2009年京都大学法学部卒業。11年に京都大学法科大学院を修了後、同年司法試験に合格。司法研修後、GVA法律事務所に入所し、15年には教育系スタートアップ企業の執行役員に就任。16年にGVA法律事務所のパートナーに就任し、現在は同所タイオフィスの代表を務める。

        URL : https://gvalaw.jp/global/3361
        CONTACT : info@gvathai.com

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