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タイの抵当権

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       タイでの取引において担保をとる必要が生じた場合、外国人やタイ国外で登記されている法人も抵当権を保有し、また競売により抵当権を実行することは可能であるため、一つの選択肢として抵当権を設定することが考えられる。今回はタイの抵当権の設定とその実行について説明する。

      抵当権の対象と設定方法

      タイでも抵当権は、抵当権設定者が抵当権者に、債務弁済の担保としてその財産を差し出すことを意味し、抵当権者は抵当が付された物の所有権が第三者に譲渡されたとしても、当該抵当物から一般債権者に優先して弁済を受けることができる(民商法典(以下、同じ)702条)。そして抵当権は、法律上は不動産に加えて、5トン以上の大型船、フローティングハウスなどに設定することができる(703条)とされている。しかしながら、実務上は不動産を対象とするものが大部分である。  そして、タイで抵当権を設定するためには、抵当権設定契約を書面で作成し、土地局での登記を行う必要がある(714条)。この抵当権設定契約は、土地局の書式によるタイ語のものを土地局において作成し、被担保債務額はタイバーツで記載する必要がある(708条)。

      抵当権の実行方法

      抵当権実行の方法としては、民商法典上3つの方法が規定されている。

      (1)競売による換価(728条)
      (2)抵当不動産の所有権取得(729条)
      (3)抵当権設定者の請求に基づく競売による換価(729/1条)

      上記(2)抵当不動産の所有権取得は、一定の要件を満たした場合、競売に代えて、抵当権者が抵当不動産の所有権を取得することも可能とするものであるが、その要件は限定されている。

      上記(3)抵当権設定者の請求に基づく競売による換価は、抵当権設定者が抵当権者に対して、裁判外で抵当不動産を競売に付すように求める通知をうけて行われる競売による換価であるが、これは抵当権設定者からの競売の求めがないとできないという意味で、選択できる場面が限られる。

      以下では抵当権実行の主な方法である「競売による換価」の流れについて説明する。

      競売による換価

      競売により抵当権実行を行う場合、抵当権者は、債務者がその通知を受けた日から60日を下回らない合理的な期間内に債務を履行するよう事前に書面で債務者に通知する必要がある。債務者がその通知に従わない場合、抵当権者は、抵当不動産を差押え、競売により売却することを命じる判決を求める訴えを裁判所に提起することとなる(民商法典728条)。この競売手続きは、具体的には以下のような流れとなる。

      《手続きの流れ及びおよその期間》

      (i) 返済がない場合に抵当権の執行を知らせる通知を送る
      訴訟を提起する前に、抵当権者は債務者に通知を送り、通知を受け取った日から少なくとも60日を下回らない期間内に債務を返済する機会を与える必要がある。

      (ii) 裁判所に抵当権の執行を請求する訴えを提起し、判決を得る
      判決を得るまでの期間は、まさに裁判所のスケジュール次第となる。場合によっては半年ほどで判決が出る場合もあるが、1年以上かかる場合もあると考えられる。

      (iii) 判決後、執行事務所(Legal Execution Office)への差押え申立てを行う

      (iv) 執行官は、法務省令(RE: Execution Process of the Legal Execution Officer, B.E. 2522)に従って、差押さえの通知を行う
      執行官は、抵当不動産についての執行の手続きを行う前に一定の事項を、登記簿に記載されている者やその他の者で、その執行に利害関係を有する全ての者に通知しなければならない。また競売による売却の場合は、財産の差押えまたは引渡しの日から60日以上経過していなければならない(民事訴訟法331条)とされている。

      (v) 競売を開始し、法務省令 (RE: Prescription of rules, procedures, and conditions to proceed public auction B.E. 2563 )に従い、評価価格及び日程を設定する
      法務省令(RE: Execution Process of the Legal Execution Officer, B.E. 2522.)69条(1)によれば通常、競売の期間は次のとおりである。(1)土地の場合:期間は1ヵ月以上2ヵ月以下でなければならない。(2) 家屋、建物およびその他の資産:期間は20日以上1ヵ月以下でなければならない。なお、期間は競売が告示された日から起算される。
      抵当不動産の競売に入札がなく売却できない場合は、次の日程を設定することとなる。競売は最大4回開催され、毎回10%ずつ価格が引き下げられる。

      (vi) 競売により抵当不動産が売却され、執行事務所によって抵当権者に対する支払いが行われる
      この支払いの際に、当該抵当不動産に抵当権より優先する例外的な特別先取特権(コンドミニアム管理組合への管理費等)などが発生しておりかつその例外的な特別先取特権者が同執行手続に参加している場合には、まず特別先取特権者へ支払いを行った後、抵当権者への支払いが行われることになる。

       

      寄稿者プロフィール
      •  藤原 杯花プロフィール写真
      • TNY国際法律事務所
        日本国弁護士
        藤原 杯花

        17年1月よりタイのTNY国際法律事務所にて執務。TNY国際法律事務所は、日本人弁護士2名が共同代表を務める法律事務所であり、会社設立から規制調査、契約書のリーガルチェック、商標登録申請、相続手続きなどのサービスを提供している。

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