ラオス投資奨励法の明確化について

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はじめに
現行の投資奨励法は、2017年4月に改正されました。その中で、投資が優遇される分野及び地域に関して、それぞれ第9条及び第10条に規定されています。
しかしながら、投資奨励法第9条に記載の投資が優遇される9つの分野については、「ハイテク」「クリーン農業」「環境にやさしい」「近代化」などといった具体性に欠ける表現が多く、どのような業種が該当するのか分からない状態でした。さらに、投資奨励法第10条に記載の投資が優遇される地域については「貧困地域」「遠隔地域」「利便性が低い」など、曖昧な表現となっており、明確に地域を特定することができませんでした。
そのため、21年5月28日付で計画投資省から発行された「法人税、政府の土地リース料または土地コンセッション投資奨励優遇措置に関するガイドライン(No.0760/MPI)(以下、ガイドライン)」では、上記の通り特定できなかった9つの分野をラオス独自の産業分類コード(LSIC)※1にあてはめてリスト化することで、具体的な業種名が特定できるようになりました。
※1 ラオスには国際標準産業分類コード(ISIC)を基礎として、ラオスの産業構造に当てはめた独自の産業分類コード(LSIC)が存在します。LSIC は商工業省企業登録管理局のURL(http://www.erm.gov.la/index.php/en/registration/lsic-codes-en)から検索できます
地域についても、各県にあるすべての郡を地域1※2と地域2※3に分けてリスト化することで、企業が投資している地域がどのような優遇措置を受けることができるのか、把握することができるようになりました。
※2 <地域1> 貧困地域、遠隔地、投資に対する社会経済のインフラが整備されていない地域への投資。分野によっては、最大で15年間法人税及び政府の土地リース料が免税される(投資奨励法第11条及び15条)
※3 <地域2> 社会経済インフラの整備がある程度進んでいる地域への投資。分野によっては、最大で7年間法人税が免除され、政府の土地リース料が最大8年間免除される(投資奨励法第11条及び15条)
また、投資奨励優遇を受けるための具体的な手続き方法などがガイドラインの中で新たに規定されています。
1.投資優遇を受けるための条件
投資奨励法及び同ガイドラインによれば、投資優遇措置を受けることができる前提条件は投資奨励法から特段変更はなく、投資奨励法第9条及びガイドラインの別添リストに掲載されている分野に対して投資をする企業であることが前提となっています。
2.投資奨励優遇分野
投資奨励法第9条で規定された投資が奨励されている9つの分野に基づき、具体的な事業がラオスの産業分類コード(LSIC)にあてはめてリスト化されており、対象業種が明確化されています。
3.投資奨励優遇地域
投資奨励法には、地域1と地域2の定義しか書かれていませんでしたが、ガイドラインでは具体的にどの郡がどの地域に分類されるのか、県ごとにリスト化され、該当地域が明確化されました。
4.投資奨励許可証について
投資奨励法には、投資優遇措置を受けるための具体的な手続きについては規定がありませんでした。
同ガイドラインでは、優遇措置が許可された企業に対して発行される「投資奨励書」のサンプルが添付されています。その投資奨励書を取得するために必要な書類は、下記の通りです(ガイドライン2.3条)。
投資奨励書を取得するために必要な書類
□ 企業からの申請書
□ 投資許可証(もしあれば)、企業登録証書、事業許可証、納税証明書および土地リース契約書またはコンセッション契約書(もしあれば)のコピー
□ 登録資本金輸入許可証(現物の場合もその証拠書類)のコピー
□ 環境評価証明書
□ 関連機関から承認された経済技術的評価調査書または事業計画書のコピー
□ その他関連書類
上記書類を揃えて、計画投資省または県・都の計画投資局へ提出し、関連する機関から意見を求めた後に、ワンストップサービスから「投資奨励書」が発行されます。書類の審査から投資奨励書の取得にかかる時間は1ヵ月と規定しています(ガイドライン第2.4条)。
なお、ラオス政府との大規模なコンセッション事業で、投資奨励優遇措置を与えることを国民議会が承認した決議書がある場合は、再度「投資奨励書」を取得する必要はありません。
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内野 里美
One Asia Lawyersラオス事務所に駐在。ラオス国内で10年以上の実務経験を有する。ネイティブレベルのラオス語を駆使し、現地弁護士と協働して各種法律調査や進出日系企業に対して各種法的なサポートを行う。
Mail : satomi.uchino@oneasia.legal
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One Asia Lawyers
One Asia Lawyersは、ブルネイを除くASEAN全域、南アジア及び東京、大阪、福岡にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN及び南アジア地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。2019年4月により南アジア、20年11月よりオーストラリア、ニュージーランドプラクティスを本格的に開始。
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