インド地元住民の優先雇用法の動向と企業への影響
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本誌2023年5月号にて、インドのハリヤナ州において州民雇用法が施行されたことについて取り上げました。今回は、同法のその後の動きに加え、他州における同様の法律制定後の状況を紹介します。
近年、インドの一部の州において、地元住民を一定割合で雇用することを民間企業に義務付ける法律が成立しています。これらの新法に対しては業界団体等から違憲性や実効性に関する疑問が提起され、複数の訴訟が係属しています。下図は、インドの異なる州における地元住民優先雇用に関する法律/政策およびその現状に関するまとめです。
なお、インドにはこれら州における個別の雇用割り当てに関する法制定とは別に、全土に適用される雇用枠に関する原則が存在します。すなわち、社会的に下位にあたる階層(SEBC:Socially and Educationally Backward Classes、Scheduled Castes、およびScheduled Tribes)に対するアファーマティブ・アクションとして、教育機関および公務員の雇用におけるSEBCに対し、雇用枠の割り当て(reservation)を設けるものです。割り当て率は上限を50%とする原則があり、この割合は1992年の最高裁判所判決により確立されたものとして、現在にいたるまでインド全土に適用されています。
これまで、こうした公的機関における雇用割り当ては、インドに進出する民間企業への影響は限定的であったといえます。しかしながら、近年の州レベルでの雇用割り当ての方針は、日本企業による採用活動にも大きく関わってきます。ハリヤナ州が今後最高裁に上訴した場合、同州法に関する最高裁判決は今後のインド各州における雇用政策および雇用関連法に影響を与えることが想定され、本誌でも適時お伝えしていきます。
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志村 公義
南アジア代表(弁護士)。日系一部上場企業のアジア太平洋General Counsel、医療機器メーカーのグローバル本部での企業内法務に従事。19年4月からインドに駐在し、インドをはじめとしたバングラデシュ、ネパール、スリランカ等の南アジアの法務案件の対応を行う。21年9月には、南アジア全8ヵ国の最新法務をまとめた日本初の書籍となる『南アジアの法律実務』(中央経済社)を出版。
mail:kimiyoshi.shimura@oneasia.legal
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山田 薫
One Asia Lawyers南アジアチーム所属パラリーガル。日系・外資系民間企業や政府系国際協力機関での実務経験を経て、南アジア各国の現地弁護士と協働して日系進出企業に対する法的サポート、各種法律調査等を行う。
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One Asia Lawyers
One Asia Lawyersは、ブルネイを除くASEAN全域、南アジア及び東京、大阪、福岡にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN及び南アジア地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。2019年4月より南アジア、20年11月よりオーストラリア、ニュージーランドプラクティスを本格的に開始。 -
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