当ウェブサイトでは、サイトの利便性向上を目的に、クッキーを使用しております。 詳細はクッキーポリシーをご覧ください
また、サイト利用を継続することにより、クッキーの使用に同意するものとします。

タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

ArayZロゴマーク

日系企業が切り拓くタイの社会課題 解決

第3回 「タイのがん患者を助けたい」内視鏡医の育成を通し地域医療の底上げに貢献

  • この記事の掲載号をPDFでダウンロード

    メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。
    PDFのリンクを送信いたします。

メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。PDFのリンクを送信いたします。

    ダウンロードができない場合は、お手数ですが arayz-info@mediator.co.th までご連絡ください。

       経済成長に伴う食生活の欧米化や高齢化によって、タイなど東南アジア諸国でも近年患者が増えているがんなどの消化器系疾患。タイでは大腸がんが死因3位の癌である。ところが、有効な治療法である内視鏡や腹腔鏡を扱える医師が十分におらず、人口あたりの消化器内視鏡医の数は日本の9分の1程度である。こうした課題に貢献したいと立ち上がった日本の企業がある。医療機器メーカーのオリンパスは、バンコク郊外に医療従事者向けの研修施設を建設し、アジア一円から多くの人材を受け入れている。

      木下 タイや世界の内視鏡医の現状はいかがですか。

      得田 かつては開腹手術が中心だったがんなどの治療も、近年は患者への負担が少ない内視鏡や腹腔鏡を使ったものへと変わってきました。この分野で世界をリードするのが日本の医学会です。内視鏡が扱える日本人の医師は、最新のデータで人口10万人あたり世界トップレベルの28.2人。アメリカの4.7人、中国の2.8人と比べても際立っていることが分かります。

      一方、タイのそれは3.1人。近隣のマレーシアやベトナムはそれぞれ1.8人、1.1人といずれも低水準にとどまっています。世界最多の人口を擁するインドにいたっては0.7人。ことアジアでは、内視鏡医の育成が喫緊な課題として認識をされています。タイについてはJICA事業を活用し、内視鏡及び内視鏡医の育成ニーズが高いことが確認できたことをきっかけとして現在の事業につながっています。

      内視鏡手術統合システム「EndoALPHA(エンドアルファ)」を導入した模擬手術室

      こうした要請を受けて、内視鏡メーカーである当社が着手をしたのが内視鏡医を育成するための研修施設(トレーニングセンター)の建設です。まずは2000年代初頭に中国・上海に開設。次いで北京、広州に順次設置した後に、16年4月、タイ・バンコク東郊の4,800平方メートルの敷地に地上4階建ての「Olympus Thai – Training & Education Center (T-TEC)」をオープン。その後、韓国・ソウルにも同様の施設を建てました。

      木下 タイのトレーニングセンター「T-TEC」は、どのような施設ですか。

      得田 実際の医療現場で使用される消化器内視鏡や、外科用内視鏡、外科手術向けのエネルギーデバイス、内視鏡用の洗浄消毒装置などを配備した模擬手術室(トレーニングルーム)が備わっており、実際の医療現場同様の設備と環境で最先端の技術トレーニングを受けていただける場となっています。 常に技術の向上を目指す医療従事者に、質の高い学びの機会と場所を提供するベースキャンプのような存在でありたいとの願いをもってT-TECを運営しています。

      T-TEC外観

      タイだけでなくアジア各国の研修医が多忙な業務の合間を縫って当地に集います。教官役を務めるのも、もっぱらアジア出身のベテラン医師たち。アジア共通の課題を、国境を越えて解決しようという意欲と情熱がここにはあります。これまでに約2,700人の研修終了医が巣立って行きました。

      木下 各地の医療現場からは、どのような声が寄せられていますか。

      得田 研修を受講した内視鏡医を対象に実施している満足度調査では、常に高い評価をいただいております。このような機会はめったにないと、複数回受講される方もいらっしゃいます。  周辺の後進国や辺境の地域などでは十分な医療設備や教育機会に恵まれず、技術の取得も容易でないケースが少なくありません。タイもかつてはそうした例の一つでしたが、今では医療先進国シンガポールに肩を並べる存在となっています。周辺後進国・地域の医療の底上げが何よりも大切です。

      各種手技の模擬トレーニングが可能なドライトレーニングルーム

      木下 どのような思いから、本研修施設を運営しているのですか。

      得田 私企業ですから、社員や株主のためにも当然に利益は追求しなければなりません。しかし、それだけでは社会の構成員としての役割は果たせません。その国のニーズを正確に把握し、効果のある社会貢献を進めていく必要があります。  そのためにはJICAの企業支援事業などを活用していくことも効果的です。もちろん、現地の大学病院や医療NGOとの協力も欠かせません。関係機関と友好関係を保ちながら、現実的で実行力のある腰を据えたアプローチを心がけています。


      Olympus (Thailand) Co., Ltd.

      1999年に現地法人OLYMPUS (THAILAND) CO., LTD.を設立。バンコクの本社機能に加え、北部チェンマイと東北部コンケンに支店を置き、全国をカバー。タイで深刻な都市部と地方との医療格差の解消にも尽力。

      Olympus (Thailand) Co., Ltd. 33/4 The Ninth Towers, Tower A, 32nd Floor, Rama 9 Road, Huay Kwang, Bangkok 10310

      TEL:(66) 2000 7700

      寄稿者プロフィール

      JICAタイ事務所

      • 木下真人 プロフィール写真
      • Representative木下真人

        タイの社会課題解決につながる日系企業のビジネス支援を担当。インドネシア、中国、シンガポール、トリニダード・トバゴなどで15年以上にわたり海外のJICA、日本大使館の国際協力業務に従事。2008年以来二度目のタイ赴任。International Institute of Social Studies 開発学修士。

      JICA
      JICAタイ事務所
      Tel: +66(0)2-261-5250
      Email: Kinoshita.Masato2@jica.go.jp
      31st floor, Exchange Tower,
      388 Sukhumvit Road, Klongtoey
      Bangkok 10110, THAILAND
      • この記事の掲載号をPDFでダウンロード

        メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。
        PDFのリンクを送信いたします。

      メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。PDFのリンクを送信いたします。

        ダウンロードができない場合は、お手数ですが arayz-info@mediator.co.th までご連絡ください。

          人気記事

          1. タイ自動車市場〜潮目が変わった2023年と日系メーカーの挽回策〜
            タイ自動車市場〜潮目が変わった2023年と日系メーカーの挽回策〜
          2. Dear Life Corporation CEO 安藤 功一郎
            Dear Life Corporation CEO 安藤 功一郎
          3. ASEAN-EV市場の今〜タイ・インドネシアEV振興策および主要自動車メーカーの戦略〜
            ASEAN-EV市場の今〜タイ・インドネシアEV振興策および主要自動車メーカーの戦略〜
          4. なぜタイ人は日系企業を辞めるのか?
            なぜタイ人は日系企業を辞めるのか?
          5. タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編
            タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編
          6. タイの歴史の振り返りと未来展望
            タイの歴史の振り返りと未来展望
          7. タイ駐在中の生活で困ることとは?解決策もご紹介
            タイ駐在中の生活で困ることとは?解決策もご紹介
          8. 2023年のASEANの自動車市場の見通しと注目されるトレンド
            2023年のASEANの自動車市場の見通しと注目されるトレンド
          9. SMG(サイアム・モーターズ・グループ)
            SMG(サイアム・モーターズ・グループ)

          広告枠、料金など詳しい情報は
専用ページをご覧ください。

          広告枠、料金など詳しい情報は
          専用ページをご覧ください。

          広告掲載についてページを見る

          お電話でのお問い合わせ+66-(0)2-392-3288

          タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌

          閉じる