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未来を拓く日本企業のグローバル戦略~「日本企業のグローバル戦略動向調査2022-2023」からの考察~

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      PwC Japanは2023年3月、課題解決型のThought Leadership「未来を拓く日本企業のグローバル戦略」を発表しました。本報告書では22年末に公表した「日本企業のグローバル戦略動向調査2022-2023」で浮き彫りになった経営課題を、グローバル展開する日本企業の経営幹部に直接確認し、中長期に企業価値を高めるための対策などを「トランスフォーメーション(ガバナンス改革を含む)」「地政学リスク(中国市場の不確実性)」をテーマに考察しています。今回は、第1部の「不断のトランスフォーメーションへの覚悟はあるか」の概要をご説明したいと思います。

      第一部 不断のトランスフォーメーションへの覚悟はあるか

      経済産業省は2022年に公表した「コーポレートガバナンス・システムに関する実務指針」で、日本の代表的企業(TOPIX500)の約4割が株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回っていると指摘しました。その上で、日本企業の価値を「欧米や新興国と比較して「一人負け」している状況」としています。世界を見てみると、技術や消費者の志向が日進月歩するのはもちろんの事、経済の安全保障における貿易、技術・人の移動などに関する制約、さらにはESG等新たな規制への流れも高まっています。こうした変化や課題に対応し、企業価値を高めるためには、リスクを受け入れトランスフォーメーションに取り組む覚悟が必要になります。

      1.事業ポートフォリオの入れ替え

      変化に機敏に対応しながら成長スピードを維持・加速するためには、もう一段踏み込んだ事業の「選択と集中」が欠かせません。例えば、低成長や不採算の事業に見切りを付ける、強い事業をさらに強くする、成長事業を掘り起こして積極投資をするといったことです。一番怖いのは、既存の事業・ビジネスモデルに保守的にしがみつく事です。

      フィルム写真の世界最大手であったイーストマン・コダックをご存知でしょうか。今でこそ、携帯電話にも標準搭載されておりカメラの主流であるデジタルカメラですが、実は1975年に世界初のデジカメを開発したのはコダックだったのです。しかし、コダックのビジネスモデルはフィルム写真が中心で、デジカメは自社のビジネスを破壊するものと考えられていました。そして、時代がデジタルに移行する中においても、最後まで完全なデジタルへシフトへの経営の舵を切れなかった世界最大の写真会社は130年の歴史に幕を閉じることになったのです。

      この決断は、今までのビジネスの歴史における大失敗の一つとみられています。それまで、シャッターで切り取る瞬間を意味していた「コダック・モーメント」という言葉は、この出来事から「変化する市場に適応できない状態になること」の意味で使われるようになりました。

      この教訓からも今、日本企業には不断の事業ポートフォリオの入れ替えが求められています。しかし、事業撤退や売却に関する明確な基準を定めている日本企業は約2割に満たないのが実態です。従って、ポートフォリオ入れ替えの指標を明確に定めたうえで、自社の強みと弱みを全社レベルできちんと把握できる体制をつくることが必要になります。

      2.グローバル経営体制の再編

      日本企業が成長を続けるには、グローバルに広げた拠点をいかに効率的に再構築できるかがカギになります。あるべき姿として一つの答えがあるわけではなく、その課題や方向性は各企業様々です。今回インタビューを行った大手日本企業の経営者からは「日本と米国の拠点はそれぞれが独自に進化をしてきた。お互いのノウハウをいかにスムーズに共有し合えるかが課題だ」、「成長を見込める事業では関連市場が大きい国・地域にグローバルヘッドの拠点を日本から移管しようかと考えている」といったコメントがありました。

      また別の企業は、従来の国内事業、国外事業という統括形態から、グローバル全体をリージョン別に分けたフラットな組織形態に移行しました。形は違えど、いずれも経営の意思決定スピードを速めると同時に各地域との相乗効果を高めることを目的にしており、グローバルガバナンスの在り方を個別に分析し、経営体制を再編しているがポイントになっています。

      3.グローバル人材の獲得

      企業価値をさらに高めるには、グローバルで優秀な人材の獲得や人材マネジメントの底上げが欠かせません。2023年春、大企業の中には高い専門性を持つ人材の確保、優秀な人材の離職防止などを目的に2022年春を上回る給与引き上げを表明する動きが相次いでいます。また、従来のように人材獲得の枠組みを国内に閉じていては、激しさを増す世界の競合相手との闘いに後れを取ってしまいかねません。

      あるエネルギー関連企業の幹部は「国内の有名国立大、私立大の卒業生を取るだけでは世界の競争に勝てない。欧米の名だたる大学の卒業生がきちんと活躍できる環境を整えないと、グローバル企業とはもはや名乗れない」と話しています。

      日本基準からグローバル基準に人材マネジメントの目線を切り替え、「脱日本人」の経営をいとわない社内文化を醸成することが、既存のケイパビリティを打破する打ち手になり得るのです。

      図表1 日本企業の約8割に事業の衰退・売却の明確な基準がない

      図表2 5つの要素を有機的に連動させて強いガバナンスを構築する

      未来を拓く日本企業のグローバル戦略
      未来を拓く日本企業のグローバル戦略
      「日本企業のグローバル戦略動向調査2022-2023」からの考察
      日本企業のグローバル戦略動向調査 2022-2023
      日本企業のグローバル戦略動向調査 2022-2023

      【免責事項】本稿は、一般的な情報の提供を目的としたもので、専門コンサルティング・アドバイスとしてご利用頂くことを目的としたものではありません。情報の内容は法令・経済情勢等の変化により変更されることがありますのでご了承下さい。

      寄稿者プロフィール
      • 吉川 英一 プロフィール写真
      • PwCタイ
        コンサルティング部門 ディレクター
        吉川 英一

        ビジネス、リスクおよび財務会計領域のコンサルティングにおいて、日本国内外で15年以上の経験を有する。2015年1月よりPwCタイに赴任。東南アジアにおける日本人コンサルタントの第一人者として、業務改善、サイバーセキュリティー、データ分析、不正調査、各種規制対応等の支援を多数指揮してきた。現在は、東南アジア域内における日系企業コンサルティング支援を担当している。米国公認会計士。日本証券アナリスト協会検定会員。

        E-mail : eiichi.yoshikawa@pwc.com

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