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タイの相続の概要~遺産管理人選任手続き~

遺産管理人選任手続き
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    当職担当の回では、タイにおける相続の概要について説明している。
    前回(2021年12月号)はタイの財産について遺言を作成する場合の効力や形式、解釈などについて解説した。
    今回は遺言の有無に関わらず、実際にタイで遺産についての相続手続きを進める場合に必要な遺産管理人の選任手続きについて解説する。

    遺産管理人選任の必要性

    タイにある遺産について相続手続きを進めるためには、遺産管理人※を選任する必要がある。

    遺言において各遺産の相続人や分割方法が明確に指示されている場合でも、実際に相続手続きを進めるためには、原則として遺産管理人の選任手続きが不可欠だ。なぜならタイの実務上、各役所などでの手続きを進めるにあたって、裁判所による遺産管理人選任の決定書を求められるのが通常だからである。

    特に土地局において、相続を理由としてコンドミニアムなどの所有権移転登記手続きを行うような場合、裁判所による遺産管理人選任の決定書を提出するよう厳格に担当官から求められる。

    また、銀行や金融機関においても、相続した口座の引き出しや解約手続きには、裁判所による遺産管理人選任の決定書を求められるのが一般的だ。これは被相続人がタイ人でも外国人でも同様である。そのため、日本人であってもタイでの相続手続きのために遺産管理人選任手続きが必要となる。

    ※ 遺産管理人とは、遺産の管理や相続手続きを行う者である(民商法典(以下、「法」という)1720条、1719条)

    遺産管理人の任務

    遺産管理人は、遺言もしくは裁判所の命令により選任される(法1711条)。遺言による場合、被相続人自身が遺言において遺産管理人となる者を指名するか、もしくは遺言にて遺産管理人を任命する者を指名し、その任命された者により遺産管理人が選任される(法1712条)。

    ただし遺言により遺産管理人が選任されている場合でも、裁判所によりその者が遺産管理人となることを決定されなければならず、いずれにせよ後述する裁判所での手続きが必要となる。

    遺産管理人と認められない者として、①未成年者もしくは ②心神喪失者または準心神喪失者と判断された者、もしくは ③裁判所から破産宣告を受けた者が挙げられる(法1718条)。

    これらの場合以外であれば、誰でも遺産管理人として選任されることは可能であり、日本人であっても、また相続の利害関係人や親族でなくとも遺産管理人となることができる。

    ただ、実際にはタイの役所や銀行窓口での手続きを遺産管理人が行う必要があるため、タイ語がよほど堪能でない限り日本人が就任することは難しい場面が多いと言える。

    このため日本人以外に相続人がおらず、信頼できるタイ人の知り合いなどもタイにいない場合には、遺産管理人選任手続きを依頼する法律事務所などのタイ人弁護士に、遺産管理人への就任を依頼することが多いのではないかと思う。

    裁判所での遺産管理人選任手続き

    日本人の相続人が遺産管理人選任の手続きを行う場合の流れについて説明する。遺産管理人選任手続きは裁判所へ申し立てを行い、審問のうえで裁判所によりその決定がなされる手続きである。タイの裁判所での手続きであることから、申し立ての書類や添付書類などは全てタイ語で用意しなければならない。

    まず被相続人の死亡の事実を示すため、死亡届の写しなどが必要となる。そして誰が相続人であるのかを示すため、被相続人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本が必要となる。また2017年から日本の法務局において取得可能となった相続人情報を一覧図にまとめた「法定相続情報」も、相続人の関係についてタイの裁判所に説明するために有益な書類となる。

    被相続人が遺言を作成している場合には、遺言の提出も必要だ。さらに相続人の住所地を示す書類として住民票、及び遺産管理人となる者に対する相続人からの同意書や遺産管理についての委任状、タイの遺産について関連書類なども必要となる。

    戸籍謄本や住民票、法定相続情報などは当然日本語の書類であるが、すべてタイ語翻訳を添付しなければならない。その他の書類も、日本語や英語で提出することは可能だが、その場合には全てタイ語翻訳を添付する必要がある。またこれらの書類は、原則として日本の公証人の認証、法務局の公証人押印証明及び外務省による公印確認並びにタイ大使館(領事館)での領事認証を受ける必要がある。

     

    以上のような必要書類とともに遺産管理人選任の申立書を裁判所に提出することにより、遺産管理人選任の申し立てを行う。その後、裁判所は申し立てについての期日を定めるとともに、それについて新聞公告を行う。

    裁判所の第1回期日は、遺産管理人となろうとする者及び相続人に対する審問期日として、裁判所から遺産管理人となろうとする者と相続人に対する質問がなされる。審問期日において裁判所が、遺産管理人となろうとする者について遺産管理人とすることに問題ないと判断すれば、同期日もしくは次回期日において同人を遺産管理人とする決定をし、後日決定書が出される。

    通常、第1回期日から1ヵ月程度で裁判所の正式な決定書が発行される。この決定書をもって、遺産管理人は必要な相続手続きを進めることとなる。

    寄稿者プロフィール
    •  藤原 杯花プロフィール写真
    • TNY国際法律事務所
      日本国弁護士
      藤原 杯花

      17年1月よりタイのTNY国際法律事務所にて執務。TNY国際法律事務所は、日本人弁護士2名が共同代表を務める法律事務所であり、会社設立から規制調査、契約書のリーガルチェック、商標登録申請、相続手続きなどのサービスを提供している。

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