当ウェブサイトでは、サイトの利便性向上を目的に、クッキーを使用しております。 詳細はクッキーポリシーをご覧ください
また、サイト利用を継続することにより、クッキーの使用に同意するものとします。

タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

ArayZロゴマーク

ASIAビジネス法務 最新アップデート

タイにおける中小企業に対する与信期間の設定について

  • この記事の掲載号をPDFでダウンロード

    メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。
    PDFのリンクを送信いたします。

メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。PDFのリンクを送信いたします。

    ダウンロードができない場合は、お手数ですが arayz-info@mediator.co.th までご連絡ください。

      はじめに

      2021年5月24日、取引競争委員会より「中小企業が商品販売者またはサービス提供者である場合の与信期間に関するガイドライン(以下、本ガイドライン)」が発布されました。

      本ガイドラインは取引競争法第57条の下位規範として、中小企業が取引先に提示される不当な与信期間により被り得る不利益を回避し、中小企業を保護することを目的に制定され、中小企業と取引を行う全ての事業者に対し、施行開始日である21年12月16日により適用されます。

      1. 中小企業とは

      本ガイドラインで保護される中小企業は以下の通りとなっています(本ガイドライン第2条)。

      (1) 200人以下の従業員を雇用する、または年間売上高が5億バーツ以下の製造者

      (2) 100人以下の従業員を雇用する、または年間売上高が3億バーツ以下のサービス提供者、卸売業者または小売業者

      なお、中小企業は取引先に対し、本ガイドラインが定める中小企業に該当することを従業員数または売上高を証明する書類の提示をもって、証明する必要があります(本ガイドライン第4条2項)。

      中小企業と取引を行う企業は定期的(契約締結時または更新時など)に当該書類の提出を求め、本ガイドラインが定める中小企業に該当しているかを確認することが好ましいと考えます。

      2. 本ガイドラインが定める与信期間

      中小企業が一般的な商品販売者、商品製造者、サービス提供者である場合、与信期間を45日またはそれ以下に設定しなければなりません。

      ただし、中小企業が農産物または農産物の加工品(製造工程が複雑でないもの)だけを取り扱う商品販売者、商品製造者、サービス提供者である場合、与信期間を30日以下に設定する必要があります(本ガイドライン第4条(1))。

      つまり、既に上記より長い与信期間での合意がなされている場合でも、原則として本ガイドラインの施行開始日前までに改定する必要があります。  なお、ビジネス、マーケティング、または経済的な観点から合理的であるとみなされる場合は、上記の与信期間より長く設定することも可能であると規定されています(本ガイドライン第4条2項)が、例外として認定されるかはケースバイケースで担当官の判断に委ねられると考えます。

      取引競争委員会に照会したところ、取引先の親会社の規定で与信期間を60日に設定しなければならない場合でも、例外としては認められないとの回答を得ています。

      3. 与信期間の起算日

      上述した与信期間の起算日は、中小企業が商品を納品またはサービスを提供し、かつ納品書や請求書等の必要書類を提出した日となります。

      商品の納品後、請求書が後日発行されるような場合は、請求書の発行日が起算日となります。また、委託販売の場合は中小企業による商品販売日が起算日となります(本ガイドライン第4条(2))。

      4. 違反とみなされ得る行為および罰則

      本ガイドライン第5条において、違反とみなされうる行為として以下の行為が挙げられています。

      • 商品またはサービスの代金支払時期が、正当な理由なく、本ガイドラインで定めた与信期間より遅れること。

      • 正当な理由や60日以上前の事前通知なく、契約で定めた与信期間または支払条件を変更すること。

      • その他の不当行為。例えば、契約上で与信に関する特別条項を規定し、中小企業に不要な負担を強いること。

      本ガイドラインの違反者は、違反を犯した年の売上高の10%を超えない額の罰金を科される恐れがあります(取引競争法第82条)。

      寄稿者プロフィール
      • 藤原 正樹 プロフィール写真
      • One Asia Lawyers 大阪オフィス・タイオフィス兼務
        藤原 正樹

        知的財産権、ソフトウェア・IT法務を扱う日本の法律特許事務所に13年間在籍し、企業からの相談や訴訟案件に数多く対応してきた実績がある。2020年からはタイのPDPA、IT領域を中心としたタイ国内の企業法務やM&A、債権回収などに関するリーガルサポートを提供している。
        E-mail:masaki.fujiwara@oneasia.legal

      • One Asia Lawyers
        One Asia Lawyersは、ブルネイを除くASEAN全域、南アジア及び東京にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN及び南アジア地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。2019年4月により南アジア、20年11月よりオーストラリア、ニュージーランドプラクティスを本格的に開始。
      • 【One Asia Lawyers タイ オフィス】
        399 Interchange Building Unit2109, 21st Floor, Sukhumvit Road, North-Klongtoey, Wattana, Bangkok, Thailand 10110
        Tel:06-1780-1515

      \こちらも合わせて読みたい/

      ラオスにおけるeコマース事業について

      • この記事の掲載号をPDFでダウンロード

        メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。
        PDFのリンクを送信いたします。

      メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。PDFのリンクを送信いたします。

        ダウンロードができない場合は、お手数ですが arayz-info@mediator.co.th までご連絡ください。

          人気記事

          1. タイ自動車市場〜潮目が変わった2023年と日系メーカーの挽回策〜
            タイ自動車市場〜潮目が変わった2023年と日系メーカーの挽回策〜
          2. ASEAN-EV市場の今〜タイ・インドネシアEV振興策および主要自動車メーカーの戦略〜
            ASEAN-EV市場の今〜タイ・インドネシアEV振興策および主要自動車メーカーの戦略〜
          3. Dear Life Corporation CEO 安藤 功一郎
            Dear Life Corporation CEO 安藤 功一郎
          4. なぜタイ人は日系企業を辞めるのか?
            なぜタイ人は日系企業を辞めるのか?
          5. タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編
            タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編
          6. タイの歴史の振り返りと未来展望
            タイの歴史の振り返りと未来展望
          7. タイ駐在中の生活で困ることとは?解決策もご紹介
            タイ駐在中の生活で困ることとは?解決策もご紹介
          8. 2023年のASEANの自動車市場の見通しと注目されるトレンド
            2023年のASEANの自動車市場の見通しと注目されるトレンド
          9. 分岐点に立つベトナムの国民車メーカー・ビンファスト
            分岐点に立つベトナムの国民車メーカー・ビンファスト

          広告枠、料金など詳しい情報は
専用ページをご覧ください。

          広告枠、料金など詳しい情報は
          専用ページをご覧ください。

          広告掲載についてページを見る

          お電話でのお問い合わせ+66-(0)2-392-3288

          タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌

          閉じる