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タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

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【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

2023年のASEANの自動車市場の見通しと注目されるトレンド

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    22年のASEAN主要5ヵ国(タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン)の自動車販売台数は、339万台に到達し、コロナ禍前の2018年の水準にほぼ戻した。今年のASEAN市場は、330〜340万台とほぼ横這いか微減と予想される。

    販売が伸び悩む要因としては次の3つが挙げられる。

    1つ目は、インドネシア、マレーシア及びベトナムで導入されたコロナ禍以降の減税措置の打ち切りである。

    2つ目は、車両価格の引き上げと金利の上昇である。23年の世界的な景気減速が予想される中、足元ではインフレ圧力が強まっている。

    3つ目は、半導体供給問題で、その影響は今年も続くことが予想される。

    2017~23年のASEAN自動車市場の推移(23年は予測)

    タイ市場

    22年は前年比17%増の89万台、23年は観光業回復等の好要因で2~3%のプラス成長維持

    22年のタイの国内市場は、コロナ禍中に抑えられて需要の反動増や後半以降の観光業の回復が、急回復に繋がった。23年の鍵となるのは、タイの民間消費の30%を占める観光業の回復だ。外国人観光客数は21年の約130万人から22年には1,000万人以上まで回復し、今年も中国人観光客が戻ることで倍増が予想されている。2つ目として、農業セクターは洪水の影響で年末減速したが、主要製品であるコメの輸出が食料不足・価格高騰不安から各国政府が買い付けを増やしており、23年も価格・輸出量ともに好調を維持することが予想される。

    南部の主な生産物であるゴム市場も好調を維持することが予想される。更に、5月には総選挙の実施が予定されており、政府関連の消費やインフラ関連の投資が加速することもプラス要因となるだろう。他方で、足元ではファイナンスの審査が厳しくなっており、特にピックアップや小型乗用車などの低価格車の販売への影響が懸念される。なお2023年の生産台数は、豪州、アジア等の主要輸出市場が伸び悩む見通しから、前年の188万台から横這いか、微増の188〜190万台に到達することが予想される。

    インドネシア市場

    22年は前年比18%増の105万台、23年も好調を維持するが、前年比は横這い

    22年のインドネシアの国内市場は、21年にコロナ禍後の市場回復のために導入された奢侈税減税措置が2月から再導入された結果、市場は急回復した。減税措置は徐々に縮小され10月に終了したが、トヨタ、ホンダ、現代などの新規モデルの投入の影響もあり、引き続き好調を維持した。

    23年は、コロナ禍以降の経済回復により国内消費が顕著に拡大していることに加え、石炭などの資源価格が高価格で推移していること、24年の大統領選に向けた政府支出の拡大が予想されるために、国内市場は好調を維持するが、前年比では補助金打ち切りにより横這いで推移すると予想される。

    マレーシア市場

    22年は前年比40%増の70万台、減税措置打ち切りで2桁台減

    22年のマレーシアの国内市場は、コロナ禍後の需要の反動増に加え、売上税減税措置により大幅に増大したが、今年3月以降は打ち切られることから、市場は反動減でコロナ禍以前の60万台前後の水準に戻ると予想される。

    ベトナム市場

    22年は33%増の40万台、23年は減税措置打ち切り、金利上昇で2桁台減

    22年のベトナムの国内市場は、コロナ禍後の需要の反動増に加え、国産車に対する車両登録税の50%減税措置により、過去最高の40万台(VAMA発表データ)に到達した。減税措置は22年6月以降打ち切られたことに加え、22年末以降、金利上昇、不動産市況の悪化のマイナス要因がダブルで効くことで国内自動車市場が減速しており、今年は35万台を切る可能性がある。

    フィリピン市場

    22年は35%増の35万台、23年は微減か

    フィリピン経済は、22年はGDP成長率が7%を超えており、好調を維持している。コロナ禍後の需要の反動増により、22年はコロナ禍前の水準をほぼ回復した。国内消費は順調に拡大する中、インフレが足元で加速、金利上昇が続いており、23年には自動車市場は微減し、30万台超程度に留まる見通しだ。

    各国の2023年の市場の見通しと注目される政策

    23年以降のASEAN市場の注目トレンド

    23年のASEAN市場の注目トレンドとして、以下の3つの点が挙げられる。

    EV市場の拡大~タイに続いて、インドネシアでも補助金措置導入を開始

    22年2月からタイを皮切りに、EV補助金措置が導入され、インドネシアもタイに続き今年初めから補助金を導入することを決定し、域内でEV市場が大きく伸びることが予想される。投入モデルも増えることから、ASEAN全体で22年の約2万台超から23年には5万台近くまで拡大する可能性がある。2024年からは中国系、日系各社がEVの現地生産を開始することからEVの競争がより激化し、市場の拡大が加速するだろう。

    非日系メーカーのシェア拡大~BYDと現代自動車に注目

    域内でEV市場の拡大が予想される中で、競争力のある中国メーカーがどれだけシェアを伸ばすのかが注目される。タイでは中国系BYD、インドネシアでは現代自動車の2社が要注意である。BYDは22年12月に販売開始から約1ヵ月で1万台を達成し、15万台規模の自動車工場のほかに、バッテリー工場への投資を発表。特に注目されるのは、どこまでサプライチェーンを本格的に構築し、タイを拠点化する方針であるかという点である。

    同様に、現代自動車はインドネシアを中心に生産拠点化しており、国内市場では2022年に3万2千台以上の販売と国内シェア3%まで躍進している。今年は政府のEV補助金がスタートすることで、どこまで国内販売及び生産を伸ばすのか注目される。

    EURO5の導入とディーゼル車両価格の上昇

    24年1月からタイで排ガス規制のEURO5が導入される予定であり、規制に対応するために触媒のコストが上乗せされたことで、特にピックアップなどの商用車への価格の影響が懸念される。

    現在、自動車メーカーは市場へのインパクトを和らげるために、猶予期間(グレースピリオド)を設けることを政府に要請しているが、タイ政府はPM2.5問題もあり早期に入れることにこだわっている。ディーゼル車の価格上昇や燃料費高騰により、フリートユーザーが商用車の電動化を前倒しする可能性がある。なお、ベトナムでは、22年1月以降に輸入・国内生産する新しいモデルに対しては、EURO5対応を求めている。

    寄稿者プロフィール
    • 田口 孝紀 プロフィール写真
    • 野村総合研究所タイ
      マネージング・ダイレクター田口 孝紀

    • 山本 肇 プロフィール写真
    • 野村総合研究所タイ
      シニアマネージャー 山本 肇

    • 野村総合研究所タイロゴマーク
    • TEL : 02-611-2951

      URL : www.nri.co.jp

      399, Interchange 21, Unit 23-04, 23F, Sukhumvit Rd., Klongtoey Nua, Wattana, Bangkok 10110

    《業務内容》
    経営・事業戦略コンサルティング、市場・規制調査、情報システム(IT)コンサルティング、産業向けITシステム(ソフトウェアパッケージ)の販売・運用、金融・証券ソリューション

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