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タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

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SBCS タイ経済概況

大洪水から10年

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    タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は8月16日、2021年第2四半期の経済成長率が前年同期比7.5%増であったと発表。プラス成長は19年第4四半期以来、6四半期ぶり。物品輸出が好調だったことに加え、耐久消費財の消費が拡大した民間消費支出、また民間投資が伸びをけん引した。21年通年の経済成長率に関しては、5月時点の予測値の前年比1.5~2.5%増から、同0.7~1.2%増へと下方修正された。

    2011年の大洪水から10年になる。あれ以来、10月が近付くとダムの水量が気になり、ほぼ毎日チェックしている。

    9月末時点で巨大ダムの貯水量には余裕があるが、大雨の影響でいくつかの都市で洪水が発生した。雨季は5月頃に始まり10月頃に終わる。

    しかし降水量が多くなるのは9月、10月。また、この時期にはフィリピン付近で発生した台風が、ベトナム側からインドシナ半島に入ってきてタイにまとまった雨を降らす。

    10年前もこの時期に相次いでやってきた台風や低気圧が、大量の雨を降らしたことが悲劇に繋がった。もっとも、タイ政府の洪水対策が後手に回ったのも確かだ。

     

    「軍が土嚢を積んで工業団地を守るから大丈夫」。

    そんなタイ政府首脳の言葉も虚しく、次々と工業団地が浸水していった。あの時の首脳の言葉が「時間を稼ぐから、早急にモノを高いところに移動させて」だったら被害は軽減できたかもしれない。少なくともパソコンのデータぐらいは守れただろう。

    当時、タイにいた多くの人々が得た教訓は「自分で信頼できる情報を収集し、自己の責任で早めに判断する」ということだった。

    復興後に多くの企業にインタビューさせていただいたが、「数キロ北のチェックポイントを決め、そこが洪水したら代替生産地と決めている場所へ搬出を開始する。当該地点の状況は社員を派遣して確認する」といった対策を講じている企業がほとんどだった。

    タイの国土面積は日本の1・4倍だが、日本は国土の3分の2が森林であるのに対し、タイは3分の1程度。森林以外の大部分が平地のため、タイの方が圧倒的に活用できる土地が多い。バンコクの高層ビルから山が見えないことに気が付いている方も多いだろう。水平線の向こうまで平らだ。

    例えばバンコクからアユタヤまで直線距離で約100キロメートルあるが、アユタヤの海抜は数メートルしかない。東京駅から直線距離で100キロメートルの同心円を描くと富士山頂あたりを通る。タイは国土が恐ろしく平坦だということを分かっていただけるだろう。

    このため洪水すると排水に時間がかかる。10年前は7ヵ所の工業団地が被災したが、多くの工業団地で排水完了に1ヵ月以上を要した。

    タイの国土はプレートの上にあるため地震が少ない。冬もないのでコメは2回か3回作れる。耕作可能な土地も多い。人口は日本の半分程度しかいないということもあり、非常に恵まれた土地だ。

    その代償として洪水リスクが存在している。あれから10年が経過して当時のことを知っている人も少なくなってきた。この節目に過去の経験を学びなおすのも良いかもしれない。  地球温暖化による気候変動が危惧される今日、万が一の時に被害を軽減するためのヒントがあるはずだ。

    寄稿者プロフィール
    • 長谷場 純一郎 プロフィール写真
    • SBCS Co., Ltd.
      Manager, Business Promotion Division
      長谷場 純一郎

      奈良県出身。2000年東京理科大学(物理学科)卒業。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構。山形事務所などに勤務した後、10年チュラロンコン大学留学(タイ語研修)。12年から18年までジェトロ・バンコク勤務。19年5月より現職。

    SBCSは三井住友フィナンシャルグループが出資する、SMBCグループ企業です。1989年の設立以来、日系企業のお客さまのタイ事業を支援しております。

    【免責】当レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。当レポートは単に情報提供を目的に作成されており、その正確性を当社及び情報提供元が保証するものではなく、また掲載された内容は経済情勢等の変化により変更される事があります。掲載情報は利用者の責任と判断でご利用頂き、また個別の案件につきましては法律・会計・税務等の各面の専門家にご相談下さるようお願い致します。万一、利用者が当情報の利用に関して損害を被った場合、当行及び情報提供元はその原因の如何を問わず賠償の責を負いません。

    2021年7月〜9月  経済・政治関連トピック

    経済

    世界銀行は7月15日、タイの21年の経済成長率予測を3月時点の3.4%から2.2%に引き下げ、22年の見通しについては4.7%から5.1%に引き上げたと発表した。同月20日には、アジア開発銀行(ADB)が21年の経済成長率予測を4月時点の3.0%から2.0%に、22年の見通しを4.5%から4.9%に修正。また、同月25日には国際通貨基金(IMF)が21年の経済成長率予測を4月時点の2.6%から2.1%に、22年の見通しを5.6%から6.1%に修正した。

    なお、タイ中央銀行(BOT)は8月4日、21年と22年の経済成長率予測について、それぞれ6月時点の1.8%と3.9%から、0.7%と3.7%に下方修正している。


    タイ投資委員会(BOI)は7月22日に「5つの効率向上措置に基づくBOI恩典」と題したウェビナーを開催し、生産効率を向上する措置に係る恩典の概要、審査基準、および申請手続について説明を行った。投資奨励対象業種の既存事業で、次の5つの措置を講じる事業は、機械輸入税免除や法人所得税3年免除の恩典付与対象となる。

    1)省エネ、代替エネルギー使用、または環境負荷軽減、2)生産効率向上のための機械、自動化システム、またはロボット導入等機械の入れ替え、3)研究開発またはエンジニアリングデザイン、4)国際的な持続可能性認証の取得を目指したアップグレード、5)デジタル技術の導入。

    法人所得税3年免除については、既存事業の収入が免除対象で、土地代および運転資金を除く生産効率向上のための投資金額の50%が上限となる。その他の恩典付与条件は、最低投資金額が100万バーツ(中小企業の場合は50万バーツ、タイ資本が51%以上であること等)、奨励証書発給日から3年以内に計画通りに投資を完了すること、22年の最終営業日までに申請を行うこと等。


    BOIは8月9日、21年上半期の投資申請統計を発表した。新規申請額は3,862億バーツで、前年同期比2.6倍となった。申請件数は同13.8%増の801件だった。業種別ではサービス・インフラが最も多く1,730億バーツ、電気・電子機器が620億バーツ、化学・紙が530億バーツと続いた。サービス・インフラへの申請額のうち7割が発電事業によるもので同産業をけん引した。海外直接投資(FDI)の新規申請額は、前年同期比3.9倍の2,787億バーツだった。国・地域別では、日本が428億バーツ、87件で首位だった。


    NESDCは8月16日、21年第2四半期の経済成長率が前年同期比7.5%増であったと発表。プラス成長は19年第4四半期以来、6四半期ぶり。物品輸出が好調だったことに加え、耐久消費財の消費が拡大した民間消費支出、また民間投資が伸びをけん引した。

    一方で、公共投資と政府支出は伸びが鈍化、サービス輸出については前期に続きマイナスだった。業種別では、製造業が輸出や国内需要の回復等を受け同16.8%増だったほか、ホテル・飲食業が前年同期が低水準だった反動で同13.2%増となった。また、同期の失業率は1.9%で、前期および前年同期の2.0%からわずかに改善した。

    なお、21年上半期の経済成長率は同2.0%増だった。21年通年の経済成長率に関しては、5月時点の予測値の前年比1.5~2.5%増から、同0.7~1.2%増へと下方修正された。

    政治

    タイ政府は8月24日の閣議にて付加価値税(VAT)の税率7%の適用期間について、期限となっている今年の9月末よりさらに2年間延長し、23年9月末までとすることを承認した。VATの税率は法律で10%と定められているものの、長らく暫定税率7%が適用されており、10%への移行は先送りされ続けている。


    タイ政府は8月28日、非常事態令9条に基づく決定事項(第32号)を発令した。これにより9月1日以降、バンコクを含む「最高度厳格管理地域」の29都県で、条件を満たした飲食店での店内飲食や、百貨店、美容院等の営業再開が可能になった。一方で、夜間外出禁止令(21時~4時)は解除されておらず、各店舗の営業時間も20時までとなっている。

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