貸し倒れ損失の損金算入要件

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コロナ禍において取引先の資金繰り悪化に伴い、売掛金の債権回収が見込めないなど不良債権の貸し倒れに関する相談を受けることが多く、今回はタイにおける貸し倒れ損失の損金算入のために必要な条件について解説していきます。
200万バーツ超の債権
⑴支払い請求がなされ、適切な範囲で債権回収は実施されているが、次の理由で支払いが行われていない状態。
① 債務者が死亡したか失踪宣告がなされ、かつ、その債務者に支払いに充てる財産が無い状態
② 債務者は事業を停止し、かつ優先権を有する他の債権者が持つ債権が債務者の所有する財産より大きい状態
⑵債務者に対して民事訴訟を提起したか、または他の債権者が提起した訴訟において債務の支払い請求を行い、かつ裁判所により執行令状が出され、執行官の報告書に強制執行が行われた旨の記載があるが債務者に十分な財産が無い状態。
⑶債務者に対して、すでに破産手続きを裁判所に提起したか、または他の債権者・清算人により開始された破産手続きにおいて、すでに債務に対する支払い請求が提出されたが残余財産の分配について債務者と和解が成立し、裁判所が認可命令を発したか、あるいは債務者の破産宣告により残余財産の分配がなされたか、裁判所が訴訟の終了を命じた場合。
200万バーツ以下の債権
⑴200万バーツ超と同様
⑵債務者に対して民事訴訟を提起し、裁判所が訴えを認め受理したか、または他の債権者が提起した訴訟において支払い請求がなされ、裁判所がそれを受理した場合。
⑶債務者に対する破産宣告の申請が提出され、裁判所がそれを受理したか、または他の債権者・清算人から債務者に対して開始された破産手続きにおいて、すでに支払い請求がなされ裁判所がそれを受理した場合。
20万バーツ以下の債権
債権回収のための支払い請求が適切に行われているが、未だに支払いが続く債務者に対して訴訟を提起しても回収が見込める金額以上の費用が掛かることが予想される場合。
事業を行う上で避けたい貸し倒れですが、発生してしまった場合は上記の手続きに則り損金算入処理を行ってください。
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J Glocal Accounting Co., Ltd.
Managing Director坂田 竜一大学卒業後、証券化に特化した会計事務所勤務を経て2009年来タイ。大手日系会計事務所で5年間勤務し、日系金融機関ほか多くの日系企業の会計・税務・監査業務に従事する。2013年12月、J Glocal Accounting Co.,Ltd.を設立、タイと日本の会計・税務の専門家として日系企業へのサポートを行う。
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URL : www.jga.asia
言葉、文化を超えてグローバル日系企業が本業に専念できる環境を提供します。
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