タイ国内現地法人間での外貨送金メリット・デメリット

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円安による為替リスクを避けるために
外貨送金に対する問い合わせが増えています
タイ中央銀行が国内外貨送金の規制緩和を行ったのは、2010年10月のこと。外国から取得した外資をタイ国内の外貨口座から、タイ国内企業宛ての支払いへ充てるための外貨払い出しを行う場合、右の一定条件を満たすことで許容するとしました。
しかし、多くの企業が導入を見送っているのが現状です。なぜなら、税法上Tax Invoiceはタイバーツ建てで発行することが定められているため、外貨建てでの処理を行う場合は、事前に歳入局から承認を得なければいけないからです。またTax Invoiceを外貨で発行した場合でも、実際の申告はタイバーツで行う必要があるなど、手続きの煩雑さが敬遠されています。
■ 外貨払い出しを行う場合の一定条件
送金依頼人
- 国内外貨建て決済に充てる外貨は、外国から取得したもの、かつ財・サービスの対価として取得したものでなければならない。
- 送金目的は、財・サービスを対価とする支払いのみ認められる。
- 顧客は外貨の取得背景、及び送金目的、双方の実需確認資料を取引金額毎に示す必要がある。
- 外貨口座(外国から取得した外貨用)に既に保有している外貨について、財・サービス及び借り入れ等、取得背景が混在しており、取引銀行がその取得背景を特定できない場合であっても、国内外貨建て決済は認められる。
※ 外貨口座(外国から取得した外貨用)に残っている外貨の取得背景が財・サービスの対価ではないことが明らかな場合、国内外貨建て決済への使用は認められない。 - 国内外貨債務を実需とした先物為替予約の締結は不可。
- 1年以内に外国との取引実績のある企業のみに認められる。
送金受取人
- 国内外貨送金にて受け取った外貨は、以下の外貨口座への入金も可能。
– 外国から取得した外貨入金口座
– 国内で取得した外貨入金口座(支払い実需有り)
– 国内で取得した外貨入金口座(支払い実需無し) - 受取人が、国内決済外貨建て決済で受取った外貨を、他の国内外貨建て支払いへ充てたい場合、取引銀行はその外貨の取得背景および送金目的を確認しなければならない。
- 受取人が外貨を外国から取得していない場合であっても、外貨口座(外国から取得した外貨用)の開設は可能だが、受け取る外貨の送金目的は財・サービスに限る。
※ 受取人(外国から外貨を取得していない会社)は国内外貨建ての送金不可。
加えて、国内の送金実務を外貨で行った場合でも会計帳簿の記録はバーツで処理を行わなければならず、入金・送金時は外貨決済のため為替差損益は発生しませんが、会計帳簿上はタイバーツに転換する必要があり、結果的に為替差損益が発生することになります。会計上の為替差損益の計上を100%避けられる手法ではないため、メリット・デメリットを考慮した上で導入を検討しましょう。
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J Glocal Accounting Co., Ltd.
Managing Director坂田 竜一大学卒業後、証券化に特化した会計事務所勤務を経て2009年来タイ。大手日系会計事務所で5年間勤務し、日系金融機関ほか多くの日系企業の会計・税務・監査業務に従事する。2013年12月、J Glocal Accounting Co.,Ltd.を設立、タイと日本の会計・税務の専門家として日系企業へのサポートを行う。
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URL : www.jga.asia
言葉、文化を超えてグローバル日系企業が本業に専念できる環境を提供します。
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