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みずほ銀行メコン5課コラム

輸出時における信用状決済トラブルへの対処方法

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    みずほ銀行バンコック支店メコン5課が発行する企業向け会報誌 『Mekong 5 Journal』よりメコン川周辺国の最新情報を一部抜粋して紹介

    輸出時における信用状決済トラブルへの対処方法

    橋本 裕輝|グローバルトランザクション営業部 バンコック駐在 調査役

    貿易取引の決済に使われる信用状(L/C:Letter of Credit)は、輸出時においては「輸入者の信用リスクをヘッジできる」というメリットがある一方で、L/C特有のトラブルを経験された方も多くいるのではないだろうか。
    本稿では、実際にトラブルに直面した際のスムーズな対応方法を紹介する。


    信用状で要求される書類はインボイス、パッキングリスト、保険証券、原産地証明書など多岐に渡るが、そのなかでも船荷証券(B/L:Bill of Lading)※1は重要な書類と言える。

    ※1:海上運送人が貨物の受取および船積を証明し、券面上の条件に従って海上運送を行い、指定の陸揚港において貨物を正当な所持人に引渡すことを約束した有価証券のこと。複数枚発行され、そのうち1通を指定の陸揚港で運送人に呈示すれば貨物を引き取ることが可能。

    船荷証券を紛失した場合

    Shipping Guarantee(S/G)の流れ

     S/Gは一般的に、船積港と荷揚港の距離が近い等、銀行を通じて輸入者へ船積書類が引き渡されるよりも早く貨物が港に届いてしまう場合に用いられるが、本ケースのように船荷証券の再発行まで時間を要する場合でも利用できる。なお、S/Gの発行は銀行の与信取引となるため、検討の際は取引銀行と相談しなければならない(万が一、船荷証券なしで貨物を引き渡したことにより、船会社が何らかの損害を被った場合、銀行が損害を補償する必要がある為)。

    船荷証券は船会社によって輸出者に発行され、その他の信用状条件に定められた書類と合わせて指定銀行へ提出される(図表1)。書類を受け取った銀行は、クーリエなど国際配送サービスにて船積書類一式を信用状発行銀行へ送付。輸入者は信用状発行銀行から書類を受け取り、陸揚港において船荷証券と引き換えに船会社から貨物を引き取ることができる。

    しかし、稀にクーリエなどの輸送中における紛失、輸出者・輸入者などによる書類紛失が発生し、荷物の引き取りができなくなったり、紛失した船荷証券を拾得した第三者によって貨物を引き取られてしまうリスクも考えられる。

    船荷証券を紛失した場合は、輸出者から船会社へ船荷証券の再発行を依頼することになるが、再発行手続きには時間も手間もかかる。再発行までの間、輸入者は貨物の引き取りができず、貨物は陸揚港のコンテナヤード等に保管され、超過料金(デマレージ)がかかってしまうケースもある。この場合、輸入者が信用状発行銀行にShipping Guarantee(S/G)※2の発行を依頼することで、船荷証券の再発行前に貨物を引き取ることができる。

    ※2:輸入書類が未着の段階で輸入者が船荷証券なしで船会社から貨物を引き取るために、信用状発行銀行が船会社に差し入れる保証状のこと。

    UPAS L/Cの事前準備不足による入金遅延

    UPAS L/Cにおける割引料率決定フロー詳細

    輸出者の指名銀行は、上図⑧にて信用状発行銀行から元金+割引金利の支払確約(=引受通知)を受けた後、輸出者に対してAt Sightで支払いを行う(上図⑨)。割引料は事前に指名銀行・信用状発行銀行との間で調整する必要があるが、妥結までに時間を要する事例も多い。支払い後、信用状発行銀行は期日当日に輸入者から元金+割引料を回収し、輸出者の指名銀行へ送金する(上図⑩)。

    L/Cには、一覧払い信用状(at sight)と期限付き信用状の二種類がある。期限付き信用状の一種としてUPAS(Usance Payable at Sight)L/Cと呼ばれる信用状があり、輸入者に支払猶予期間を許容する一方で、輸出者にAt Sightでの代金支払を認める条件を持つ。

    UPAS L/Cの場合、信用状の買取銀行が割引を行い、その割引料(割引日から輸入者による支払日までの期間)を信用状発行銀行(輸入者)に請求する。つまり、実質的に信用状発行銀行のリスクに対して信用状の割引を行っているため「輸入者にとって割引料を低く設定できる」というメリットが生まれる。特にインド等、現地での銀行借入の金利が高い国の輸入者がUPAS L/Cを銀行借入(運転資金)の代わりに利用している場合もある。

    一方で、UPAS L/Cは輸出者にとって一覧払い信用状(L/C At Sight)と同じ条件であり、輸出者がAt Sightでの代金支払いを輸入者と交渉し、信用状を受け取ったところ、実はUPAS L/Cだったという事例もある。輸出者の通知銀行ではUPAS L/Cを受け取った場合、信用状発行銀行との間で割引料の条件交渉等を行うことが必要であり、条件交渉に時間を要した場合、入金遅延など信用状の取引のスケジュールに影響を与える可能性がある。

    よって、輸出者・輸入者の間で信用状の条件や文言を事前に調整する際、支払条件をよく確認し、UPAS L/Cの条件が含まれていた場合は事前に取引銀行へご相談いただくことをおすすめする。


    みずほ銀行バンコック支店メコン5課

    E-Mail : mekong5@mizuho-cb.com

    98 Sathorn Square Office Tower 32nd-35th Floor, North Sathorn Road, Silom, Bangrak, Bangkok 10500 Thailand

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