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みずほ銀行メコン5課コラム

グループ内資金効率化に向けた取り組み

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    みずほ銀行バンコック支店メコン5課が発行する企業向け会報誌 『Mekong 5 Journal』よりメコン川周辺国の最新情報を一部抜粋して紹介

    グループ内資金効率化に向けた取り組み

    橋本 裕輝 |グローバルトランザクション営業部 バンコック駐在 調査役

    2022年は米国を始めとする各国の利上げに関するニュースが大きな注目を集めてきた。米国では2022年11月現在までに政策金利は3.75〜4.00%まで引き上げられ、アジア各国でも利上げが行われている。本稿では効率的な資金管理を目指す際、資金の見える化にいかに取り組むことができるか、またグループ内の資金効率化のためにどのような点に留意することが必要かを紹介したい。

    1.はじめに

    利上げ局面においては、預金金利が上がると同時に借入金利も上昇するので企業の財務担当者は自社の金融収入をいかに極大化、あるいは金融コストをいかに極小化するかを考えることが求められる。グループ資金効率化を目指すためには、まずグループの資金の見える化に取組む企業が多い。資金の見える化を通してどの企業が資金余剰あるいは資金不足、グループ全体の資金がいくらといった情報を把握することが重要である。

    資金の見える化ができた上で、資金が余剰の企業と不足している企業との間で資金を融通することでグループ全体の資金効率化を検討することも可能となる。一方で、アジア各国では事業法人間の貸借や通貨に関する規制が多い為、各国規制を踏まえた対応が求められる。

    2.資金の見える化

    資金の見える化とは、通貨別の預金残高情報、入出金実績・予定といった資金繰情報等を可視化・集約することであり、資金効率化を考える第一歩と言われている。

    例えば、統括会社がエクセルシート等でグループ企業から資金情報の報告を受けている事例はあるが、グループ企業が統括会社に資金情報を報告してから統括会社がその内容をまとめるまでの作業の時間もあり、必ずしもタイムリーに情報を把握できないという課題がある。

    これに対して、銀行が提供するサービスを利用して自動的に情報を集約することも可能である。銀行では、グループ各社が保有する銀行口座の情報を統括会社が銀行のインターネットバンキングで日次で一元管理するサービスを提供しており、さらに、他の銀行に保有する口座についても、それぞれの銀行で口座情報発信サービスを依頼することですべての口座を一覧することができる。

    このサービスでは各銀行がSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial telecommunication:国際送金等、利用される銀行間でデータを授受するネットワーク)が定めるMT940という金融機関共通フォーマットを用いて銀行間で口座情報を共有することになる。統括会社がTMS(Treasury Management System:財務管理システム)を導入している場合TMSにこれらの情報を取り込み、管理している事例もある(図表1)。

    マニュアル報告とシステム報告の違い

    3.グループ企業間貸付の留意点

    グループ各社の資金残高(=キャッシュポジション)を把握できた後、グループ企業間の資金偏在を解消するためグループ企業間貸付を検討することが一般的であるが、前述のとおりアジアでは各国の規制や通貨を踏まえた手法を検討することが必要である。

    1)各国規制の留意点

    グループ内の資金偏在を解消する手法として、グループ企業間の貸付を検討することが可能であるが、その際、各国の規制に留意することが必要である(詳細は法律事務所への確認が必要)。

    タイ:グループ企業間の貸付の際の貸出人・借入人の資本関係、貸付通貨、クロスボーダーか否か等、貸出の条件の詳細を確認した上で、必要なライセンス・中銀承認を取得する手続が必要

    ベトナム:融資業務はライセンスが必要であるため、一般の事業法人がグループ企業に対して貸付を行うことは困難

    2)通貨の留意点

    グループ企業間の貸付を検討する場合でも、各社の資金ポジションが異なる通貨であれば貸付と同時に発生する為替リスクの管理に留意することが必要である。例えば、地場通貨が資金余剰、USDが資金不足で、USD建の貸付を行う場合、貸付企業はUSD建の貸付資産を保有することになり、為替リスクの管理が必要となる。

    3)部分最適・全体最適の留意点

    資金の見える化によりグループ企業間の資金偏在を把握できた場合でも、実際にグループ企業間の貸付を検討する場合、前述の通りライセンス取得コストや為替リスク管理コスト等が発生する可能性があり、貸付企業単体では十分にメリットが認識できない可能性がある。この場合、資金偏在の解消に伴うグループ全体のメリットと個別企業の負担を比較検証し、グループ企業間の貸付の意義を確認することが必要である。

    4.グループ内商流への貿易金融の活用

    資金偏在のあるグループ企業間で商流が存在する場合、企業間の貸付の代わりに貿易金融を活用して資金不足の企業の運転資金をサポートすることも可能である。

    1)売掛債権流動化ソリューション

    資金不足企業がグループ企業に対する売掛金を保有している場合、買い手であるグループ企業の信用リスクに基づき売掛金を銀行で割引し、売掛金の早期資金化を実現することが可能。

    2)支払期間の延長

    資金不足企業がグループ企業から仕入を行っている場合、支払サイトを延長することで運転資金を捻出することが可能。

    5.おわりに

    本稿では、資金の見える化の手法と合わせてグループ企業間の資金融通を検討する際の留意点について紹介した。多様な通貨・規制が存在するアジアでは、グループ企業間資金融通を検討する場合、対象となる企業の個別事情を踏まえたソリューションを検討することが必要である。

    各金融機関ではグループ内資金効率化を目的としたお客様からの相談に対応すると同時に各種規制の情報提供・ソリューション構築をサポートしている。グループ内資金効率化についてご検討の際は、お気軽にみずほ銀行の営業担当者へご相談いただきたい。


    みずほ銀行バンコック支店メコン5課

    E-Mail : mekong5@mizuho-cb.com

    98 Sathorn Square Office Tower 32nd-35th Floor, North Sathorn Road, Silom, Bangrak, Bangkok 10500 Thailand

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