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AlibabaのトラディショナルトレードDX「DREAMn」

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    東南アジアは個人経営、家族経営の零細商店が小売チャネルで未だ大きなシェアを占める。ショッピングモールやスーパーマーケットをモダントレードと呼ぶ一方で、こういった零細商店はトラディショナルトレード(TT)と呼ぶ。
    国による差異はあるものの、インドネシアでは金額ベースで小売市場全体の8割をTTが占める。モダントレードの拡大やEコマースの進展、そしてGrabやGojekなどによるオンラインデリバリーの一般化に伴い、TTの在り方は変わると言われている。
    他方、中国ではTTの在り方が既に大きく変わってきた。本稿では中国の事例を通じて、東南アジアのTTのこれからを論じたい。

    東南アジアと中国におけるトラディショナルトレードのDX

    TTをデジタル化する、このコンセプト自体は決して新しいものではない。

    TTがアプリケーションを通してメーカーに直接発注する仕組みを導入する、店頭のPOS(販売時点情報管理)システムを強化する、キャッシュレスペイメントに対応させる、TTをEコマースのピックアップ拠点として活用するなど、これまで様々な角度でTTのデジタル化はトライされてきた。

    代表的なものはインドネシアのBukalapakや、ベトナムのVinGroupが実施する取り組みだ。だが、率直に言ってしまえば、そのいずれも規模的に大きな成功を収めたとは言い難い。これらの他にも、実証実験段階で頓挫してしまったサービスは筆者の知る限りでも数多く存在する。

    一方で、中国は全土のTTの34%をカバーするデジタルソリューションが存在する。それは、Alibabaグループと弊社ローランド・ベルガーの共同開発である「DREAMn」だ。

    DREAMn

    ※「DREAMn」の正しい表記は最後のnが上付き文字となります。

    DREAMnはどちらかと言えば、TTというよりは消費財企業に向けた支援ソリューションである。中国もTTは小売市場の中で重要な位置付けだ。

    しかし、通常の流通経路を取る場合は何層ものディストリビューターを介すことになり、マージンが削られる。

    加えて、流通過程の途中で在庫期間が何ヵ月も発生し、商品品質を著しく落とすケースも多い。

    また、消費財企業からすると実際どういった小売で何が誰に売れているかもほとんどわからない状態となる。

    消費財企業が中国のTTで抱えるこういった課題にリーチしたのがDREAMnである。ここではDREAMnが提供するソリューションのいくつかを紹介する。

    流通浸透率の向上

    DREAMnを活用すれば自社製品の現在の流通状況を測ることができる。店舗数ベースで見た際に、あるエリアの何%の店舗に流通させられているか、また、個店毎に見てそれぞれの棚の何%を占有できているかの分析が可能なのだ。

    これによって競合製品の流通シェアや棚の占有率も見ながら、自社にとって改善余地があるエリアや個店を特定することができる。

    実際、インスタント食品のLaweikeはこのソリューションを通じて、彼らにとってポテンシャルが高いエリア・個別店舗を見定めた。そのうえで、クーポンの配布などによって流通改善を図り、結果として流通浸透率を競合対比で約33%上回らせることができた。

    ロイヤリティの上昇

    DREAMnは自社製品をTTがどの程度、どういった頻度で再購入しているかの分析も可能である。

    再購入率・頻度及び購入量の波に基づき、流通先のTTを「ロイヤルストア」「アクティブストア」「スリーピングストア」「ポテンシャルストア」に分類する。

    例えば、グリコは店舗分類毎に再購入率・頻度を向上させる施策を打った。さらに定期的にこの店舗分類をアップデートしながら、流通戦略をメンテナンスしている。結果的に同一カテゴリーの商品内ではトップのロイヤリティを誇るに至った。

    新商品の開発支援

    DREAMnでは、POSによる顧客データ分析を通じた新商品開発支援も可能だ。

    「POSデータを活用した新商品開発」は、あまり目新しいソリューションには聞こえないかもしれない。しかし、DREAMnにあって、過去の類似ソリューションにない最大のアドバンテージはデータボリュームである。

    前述の通り、DREAMnは中国全土のTTの34%をカバーしており、金額にするとおよそ70兆円の流通規模となる。これだけのデータ量が商品開発のために活用されるのだ。実際、スナックブランドのBaicaoweiはこのソリューションを活用して多くのヒット商品を生み出している。

    以上は中国を舞台としたDREAMnのケーススタディである。だが、TTのデジタル化は東南アジアでも求められている。

    今後、DREAMnが東南アジアに展開する可能性は充分にあるだろう。しかし、東南アジアは中国と異なり、多国家・多民族が集積する地域だ。どのようなビジネスを行うにしても規模の確保は容易ではない。

    この点は、東南アジアでこれまでTTのデジタル化が思うように進まなかった理由のひとつだろう。また、そもそもの土台として、中国はAlipayのQRコードがTTにも広く普及していたが、東南アジアにはそのアドバンテージがまだない。

    その中、いかに課題をクリアしていくかは、DREAMnを含めた他のソリューションにとってもチャレンジとなるだろう。

    寄稿者プロフィール
    • 下村 健一 プロフィール写真
    • Roland Berger下村 健一

      一橋大学卒業後、米国系コンサルティングファーム等を経て、現在は欧州最大の戦略系コンサルティングファームであるローランド・ベルガーのアジアジャパンデスク統括に在籍(バンコク在住)。ASEAN全域で、消費財、小売・流通、自動車、商社、PEファンド等を中心に、グローバル戦略、ポートフォリオ戦略、M&A、デジタライゼーション、企業再生等、幅広いテーマでの支援に従事している。

    \こちらも合わせて読みたい/

    欧米消費財企業の東南アジアでの勝ちパターン

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