タイ人を動かすマネジメント術②ポジションパワーVSパーソナルパワー
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タイは階級社会で、多くのタイ人は階級コンプレックスを持っており、上司の言うことは聞かなければいけない、つまりポジションパワーに従わなければいけないことを理解しています。
だからこそ、ポジションパワーを使って強く言われたくないと考えています。そこで有効なのがパーソナルパワーです。「リーダー」の対義語として「ボス」という言葉があります。ボスはポジションパワーそのもので、タイ人はボスではなく「ビジョンを持った尊敬できるリーダー」が欲しいと考えています。では、リーダーの共通点とはなんでしょうか。それは周りから見て自己犠牲をしているかどうか。例えば、問題が発生したら真っ先に現場に飛び込んで解決したり、就業時間外も会社や部下のために働いていることをタイ人にアピールすることで、「この人は本気で私たちのために働いてくれている」と思われ、パーソナルパワーが生まれやすくなります。
よいアウトプットやアウトカムを出してもらうためには、「この人のために私は仕事をする」というところまで、部下やチームを持っていくことが大切です。日本人は、人知れず努力や自己犠牲をすることを美徳としていますが、タイ人と働く時はテクニックとして理想の上司を演じることができ、さらに彼らにマメに発信することが有効です。 また、タイ人に役割と責任を与えれば、仕事をしてくれると思いがちですが、そこは個々の見極めが必要です。勤務歴が長いからといって、経営層になりたいと皆が考えているわけではありません。
タイでは「足るを知る」という仏教思想が根付いており、仕事においてもワークライフバランスが取れたほどほどの働き方でよいと考える人もいます。その場合、彼らに役職や責任を与えても逆効果となってしまいます。普段から部下との対話の中でその人にあったキャリアプランを共に考えるのも上司の役目と言えるでしょう。
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Mediator CEO
ガンタトーン・ワンナワス在日経験通算10年。埼玉大学工学部卒業後、在京タイ王国大使館工業部へ入館。タイ帰国後の2009年にMediatorを設立。政府機関や日系企業などのプロジェクトを多数手掛けるほか、在タイ日系企業の日本人・タイ人向けに異文化をテーマとしたセミナーを実施(延べ12,000人以上)。21年6月にタイ日プラットフォームTJRIを立ち上げた。
http://www.mediator.co.th
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