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タイの商標ライセンス〜審査編〜

タイの 商標ライセンス
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      当職担当の回では「タイの知的財産権法」それぞれについて詳しく説明している。

      前回(2022年2月号)は商標ライセンス契約の登録申請の手続きを説明したが、今回はそれに続く申請内容に対する審査について解説する。

      (1)審査項目

      ① ライセンシーの商品の品質に対し、商標権者が効果的に管理を行えるための条件または条項があるか(商標法〈以下省略〉68条1項)
      タイにおいては、ライセンス契約書内に「商標権者がライセンシーの商品の品質を管理できるような条件もしくは制限」を示さねばならない。これは商標の「品質保証機能」(同一の商標を使用した商品やサービスには同一の品質があることを保証する)を担保し、商標に接する需要者を保護するための規定と言える。

      ② 商標の対象商品が記載されているか(68条2項)
      これは形式的な要件であり、通常は満たすであろう。

      ③ ライセンスの種類についての記載があるか
      日本と同様、タイにも専用使用権と通常使用権があり、ライセンス登録を行う際には、これらの区別についても明示しなければならない。タイの場合は、通常使用権でも登録が必須である。
      日本においては専用使用権者は第三者の侵害に対し、侵害訴訟を提訴して差し止めや損害賠償を請求できるが、タイにおいてはライセンス契約中に使用権者による侵害訴訟提起が行えるとする旨の記載がない限りは、専用使用権者であろうとも第三者の侵害に対して訴訟提起することはできない。

      ④ 公衆を誤認または混同させず、かつ公序良俗に反するものでないか(69条)
      契約内容が商品の品質等について誤認混同をさせるリスクを有していないか。その他、不適切な内容を含んでいないかが審査される。

      ⑤ 外国で署名されたライセンス契約書について
      外国で署名されたライセンス契約書は、公証人の認証を必要とする。ライセンス契約にタイの会社が関与している場合、契約書の署名はタイの会社の署名権限を有すると登記されている取締役によって署名されなければならず、当該会社の登記された社印の押印も必須である。

      ⑥ 契約書の言語について
      商標のライセンス契約書が外国語で作成されている場合は、「翻訳者により正確に訳されたことを示す証明書のあるタイ語翻訳書(2000年知的財産告示第2項)」が必要である。

      (2)審査の流れ

      登録申請が知的財産局(DIP)に提出された後に審査が行われ、登録の可否が決定される。

      もし申請書類に不備があった場合は、訂正または書類の追加をするよう通知される(申請日から90日以内に行わなければならない)。登録要件を満たしていると決定された場合は、登録料納付を要求する通知があり、納付日から30日以内にライセンス契約の登録証明書が発行される(支払いは通知日から30日以内に行わなければならない)。

      (3)効果

      商標登録が有効なものとして取り扱われ、ライセンシーによるその営業商品上の商標の使用は、商標所有者による商標の使用とみなされることになる(70条)。これは不使用取消審判(一定期間商標を使用しない場合、第三者の請求により商標が取り消される制度)との関係で実益がある。

      前述の通り、タイにおいては登録商標のライセンス契約が効力発生要件とされているため、ライセンス契約を締結する際は登録申請が併せて必須となることに留意したい。

      寄稿者プロフィール
      • 永田 貴久プロフィール写真
      • TNY国際法律事務所
        日本国弁護士・弁理士
        永田 貴久

        京都工芸繊維大学物質工学科卒業、06年より弁理士として永田国際特許事務所を共同経営。その後、大阪、東京にて弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所を設立し代表社員に就任。16年にタイにてTNY Legal Co.,Ltd.を共同代表として設立。TNYグループのマレーシア、イスラエル、メキシコ、エストニア、ベトナムの各オフィスの共同代表も務める。

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