納税証明書および外貨送金の精査に関する標準作業手順書(SOP)

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1.はじめに
計画・財務省は2023年4月25日にビジネスマン、企業、団体、個人(以下「企業等」)の納税証明書および外貨取引の精査に関する標準作業手順書(以下「本SOP」)を発布した。クーデター以降、外貨送金規制が厳格化しており、かつ、頻繁に規制内容が変更されている。本SPOの内容は以下のとおりである。
2.本SOPの内容
1.目的
既存の税法に基づく徴税方法として、企業等が、外貨取引を行う際に国に納めるべき税金の支払いが完了しているかどうかを精査する必要がある。本SOPは、このような精査を行う際に必要な手続きについて規定するものである。企業等による外国との外貨取引は、納税証明書が提供された場合にのみ許可されるものとする。
2.施行日及び取引額
本SOPは、23年5月1日より施行される。1万米ドル(または1万米ドルに相当する外貨)以上の外国との外貨取引は、本SOPに基づき精査される。
3.ADライセンスを有する銀行の義務
ADライセンスを有する銀行は、外貨建取引に係る納税額の精査のため、以下の事項を実施する。
a.)利益の移転や商品の購入代金の支払いである場合、当該取引に係る所得年度の納税証明書を精査する。
b.)Form PaTaKha(WaNga)-8またはForm SAS-1を精査する場合、主に以下の点を重視する。
1.PaTaKha(WaNga)-8が22-23会計年度の外貨取引である場合、Form PataKha(WaNga)-8の(1)の項では22-23評価年度または21-22評価年度となる。
2.SAS-1が22-23会計年度における外貨取引である場合、SAS-1に記載された所得年度/会計年度は、21年10月1日から22年3月31日までの所得年度/会計年度または20年10月1日から21年9月30日までの所得年度/会計年度となる。
3.PaTaKha(WaNga)-8フォームまたはSAS-1フォームに記載された納税者名および会社名、または納税者識別番号(TIN No)と納税者名または会社名と外貨取引に使用されるTIN番号が同一であること、および取引を検証する銀行および金融機関が一致するかどうかを検証すること。
4.一会計年度内に利益取引や商品購入の支払いが複数回行われる場合、取引の度にフォームPaTaKha(WaNga)-8やSAS-1フォームを求める必要はなく、初回取引時に提出されたフォームPaTakha(WaNga)-8やSAS-1は証拠とみなされる。
c.)取引が給与所得の場合、給与所得税控除に関する証明書PaTaKha (WaNga)-15(a)を精査するものとする。給与所得を控除される者と取引を行う者が同一であること。
d.)利息、ライセンス、商標、ロイヤリティ、著作権、サービスの支払いの場合、源泉徴収税-WTが控除され支払われたことを確認する証拠または内国歳入庁の関連税務署が発行する非課税取引証拠。
e.)外国への外貨取引を行う者が、税務評価を行ったことのない新規納税者である場合、内国歳入庁が納税者のために発行した納税者番号(TIN No)フォームPaTaKha(WaNga)-01-02を精査しなければならない。
f.)上記帳票を確認する際には、職印の有無、担当官の署名の有無、原票の有無を確認し、偽造を防止するため、その写しを領収書として保管するものとする。
4.外国に対する外貨取引を行う者の義務
外貨取引を行う者は、ADライセンスを有する銀行に対し、取引事項の種類に応じ、以下の証拠を提出しなければならない。
a.)利益取引および物品の支払いの場合は、Form PaTaKha(WaNga)-8またはForm SAS-1(22-23会計年度の外貨取引について提出すべき様式は、22-23評価年度または21-22評価年度の様式である)。
b.)利息、ライセンス、商標、ロイヤリティ、著作権、サービス料の支払いの場合、源泉徴収税が控除され支払われたことを確認する証拠(または非課税取引)を内国歳入庁管轄の税務署に提出しなければならない。ミャンマーと二重課税回避条約(ADTA)を締結している国との取引の場合、当該国の税務署が発行した、該当会計年度の居住証明書(COR)を提出しなければならない。
c.)外国との外貨取引を行う者が、税務調査を受けたことのない新規納税者である場合、内国歳入庁発行の納税者番号(TIN No)フォームPaTaKha (WaNga)-01-02を提出しなければならない。
ミャンマー法令データベース(MLDB)
TNY国際法律事務所が運営するミャンマー法令データベース。ミャンマー唯一のミャンマー法を年代別、法分野別に分類した形で確認でき、かつ、ビジネスに関連する1537の法律と854の規則等を英訳し、英語にて法令の内容を確認できる。ミャンマーが独立した1948年以降から現在までのすべての法律に加え、ビルマ法典に収録されたすべての法律を収録している。
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TNY国際法律事務所共同代表弁護士
堤 雄史(つつみ ゆうじ)東京大学法科大学院卒。2012年よりミャンマーに駐在し、駐在期間が最も長い弁護士である。TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.代表であり、グループ事務所としてタイ(TNY Legal Co., Ltd.)、マレーシア(TNY Consulting (Malaysia)SDN.BHD.)、イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co., Ltd.)、日本(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所)、メキシコ(TNY LEGAL MEXICO CO LTD)が存在する。タイ法、ミャンマー法、マレーシア法、日本法、メキシコ法及びイスラエル法関連の法律業務 (契約書の作成、労務、紛争解決、M&A等)を取り扱っている。
Email:yujit@tny-legal.com
Tel:+95(0)1-9255-201
URL:http://tny-myanmar.com/
URL:http://tnygroup.biz/
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