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ミャンマーの最新ビジネス法務

海外居住ミャンマー人の所得税

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      1.はじめに

      2023年9月12日、国家行政評議会(SAC)は2023年連邦税法改正法を公布し、海外に居住するミャンマー人の所得税の免税措置を廃止し、所得税を課税する内容を規定した。この変更は2023年10月1日から施行された。外貨不足や国内情勢の混乱に起因して海外で働くミャンマー人が増加したこと等が背景として考えられる。

      そこで今回は、非居住ミャンマー国民の所得税に関する規定の内容を説明する。

      2.税法改正法の内容

      本税法改正では、給与所得以外の非居住ミャンマー国民が海外で得た外貨での所得は、一律10%の税率で外貨で申告しなければならないと規定されている。

      また、2023年連邦税法改正により、2023年連邦税法第31条(a)(4)に規定されていたミャンマー国外居住者の給与所得に対する免税措置が廃止された。代わりに、非居住者であるミャンマー人の給与所得に対する所得税を計算する2つの方法を定め、非居住者であるミャンマー人の海外で得た給与に対する適用所得税を計算する際には、2つの方法のうち、低い金額を算出する方法が適用される。2つの方法とは、以下のいずれかである。

      1. ①所得税法に基づく税額控除(納税者の両親、配偶者、子供に関する手当など)を控除しない一律2%の方法
      2. ②税額控除を考慮した所得税規則第8条に従った計算方法

      所得税法第8条に基づき、外貨で受け取った所得は、計算上、平均公定為替レートでミャンマー・チャットに換算される。その後、所得税法に基づく標準手当と2023年連邦税法に規定される給与所得に適用される税率に基づいて所得税が計算される。算出された税額は、平均公定為替レートを用いて外貨に換算される。

      3.計画財務省IRD発表

      (1)非居住ミャンマー人が、海外において外国通貨で得た給与所得につき所得税を支払うときに必要な情報については下記の通りである。

      1. A. 自己の支払うべき給与所得税額を把握するためには、IRDのウェブサイト(https://www.ird.gov.mm/)の所得税計算(非居住者)のMenuリンクまたは直接のリンク(https://paye.ird.gov.mm/)より、所得税計算システムPaye Tax Calculatorに入り、計算することができる
      2. B. 所得税を納付するためにシステムに入って行うデータの入力は、所轄の大使館職員もしくは所轄税務署の担当官が行う。システムの入力に必要な情報は、納税義務者の名前、パスポート番号、身分証明書番号、OWIC番号またはCDC/SIRB番号、住所等である
      3. C. 給与所得税については、自己が取得した外国通貨で納付する必要がある
      4. D. 上記2のとおりに計算した支払うべき所得税額につき、関連する当該国の税法上納付した所得税額を相殺することができる
      5. E. 通常は、関連する当該国にあるミャンマー大使館において、パスポート更新時に払うこととなる。(納税者は、毎月、四半期、毎年のいずれかの頻度で、当該国の大使館にて支払うこともできる)
      6. F. 関連する収入年度につき納付した場合には、所轄大使館または、所轄タウンシップの税務署からQRコードが入っている電子納付書および非居住者の個人所得税納付関連の証明書が発行される

      (2)非居住者が、自己の所得について税金を計算して納付することは、自国国民のために教育・健康・交通網などを支援することとなる。かつ、所得税を納付する非居住者は、自国で建物、土地、アパート、車両などの固定資産の購入のための収入源の監査を受ける際に証明された金額を、正式な方法により取得した収入(ホワイトマネー)とすることができる。その証明された額までは所得税は課されない。

      (3)非居住者が海外において外国通貨で得た給与所得についての所得税納付について、詳細を知りたい場合は以下に問い合わせできる。

      納税者サービス本部:01-8389311、01-8389322
      税金サービスオフィス(ネピドー):067-3430522、067-3430544
      税金サービスオフィス(マンダレー):02-4030192、02-4030638、02-4030639

      ミャンマー法令データベース(MLDB)

      TNY国際法律事務所が運営するミャンマー法令データベース。ミャンマー唯一のミャンマー法を年代別、法分野別に分類した形で確認でき、かつ、ビジネスに関連する1537の法律と854の規則等を英訳し、英語にて法令の内容を確認できる。ミャンマーが独立した1948年以降から現在までのすべての法律に加え、ビルマ法典に収録されたすべての法律を収録している。

      http://www.myanmarlawdb.com/

      寄稿者プロフィール
      • 堤 雄史 プロフィール写真
      • TNY国際法律事務所共同代表弁護士
        堤 雄史(つつみ ゆうじ)

        会社設立、合弁契約書及び雇用契約書等の各種契約書の作成、M&A、紛争解決、商標登記等のミャンマー法に関するサービスを提供している。TNYグループとして、13ヵ国15ヵ所(東京、大阪、佐賀、ミャンマー、タイ、マレーシア、メキシコ、エストニア、フィリピン、イスラエル、バングラデシュ、ベトナム、イギリス、UAE、インド)に拠点を有する。

        Email:yujit@tny-legal.com
        Tel:+95(0)1-9255-201
        URL:http://tny-myanmar.com/
        URL:http://tnygroup.biz/

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