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タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

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SBCS タイ経済概況

タイ初のモノレールの開通が再び延期

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      幾度も開通が延期されているBTSサムロン駅とMRTラップラオ駅を結ぶモノレールのイエローライン。もともと2019年時点で21年に開通するとしていたのが、20年に入り21年中の一部開通に変更。さらに21年に入り22年中の開通に変更したが、それも実現しなかった。そして22年には23年に開通するとし、22年末から試運転を行なっている。

      私も23年1月にようやく試運転中の車両が実際に走行している姿を確認することができた。待ちに待った雄姿を見て、いよいよ開通間近と感じていた。また、23年初時点では6月に正式に開通するということだった。しかし・・・。23年5月になって「開通がさらに遅れる」との報道があった。

      さすがに疑問に思ったので、当局に電話で確認したところ「23年7月か8月に、年末または年始に乗客を乗せて試運転ができるかを発表する予定」とのこと。要するに23年中には正式に開通できない、ということだった。再度の開通延期である。そもそも、17年6月16日に契約が締結された際には、建設期間3年3ヵ月と運転期間30年の合計33年と3ヵ月の契約ということだったので20年9月には完成している予定だった。23年末に開通できないとなると、当初の予定の倍の年月をかけても開通できないということになる。

      ちなみに、イエローラインには“土地を政府が用意し、そこに民間企業がモノレールを建設してオペレーションを行う”という官民パートナーシップ(PPP)が採用されている。落札したのはBTSとシノタイ・エンジニアリング&コンストラクションなどが組成する共同事業体である。車両はカナダのボンバルディア社製だ。なお、タイ向けの最初の車両が完成した後の21年に、ボンバルティアの鉄道部門はフランスのアルストムに買収されている。

      ところが、タイを走るイエローラインの車両が製造されたのはカナダでもフランスでもなく(旧)ボンバルティアと中国中車の合弁の中国工場だ。度重なる延期の原因は車両ではないかもしれないが、日本企業が落札していてくれたらスケジュールはもう少しましだったのではないか、と思わずにはいられない。

      なお、イエローラインと同様に建設が進むピンクライン。こちらも当局に確認したところ「24年初めには試運転を開始できる予定」とのことだった。年初には23年中に一部開通予定との回答だったのだが・・・。

      タイのインフラ整備は“遅々として進む”といわれるが、タイ初のモノレールはその言葉を地で行くような経過を辿っている。首をなが~くして待つことにしよう。

      寄稿者プロフィール
      • 長谷場 純一郎 プロフィール写真
      • SBCS Co., Ltd.
        Executive Vice President and Advisor
        長谷場 純一郎

        奈良県出身。2000年東京理科大学(物理学科)卒業。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構。山形事務所などに勤務した後、10年チュラロンコン大学留学(タイ語研修)。12年から18年までジェトロ・バンコク勤務。19年5月SBCS入社。23年4月より現職。

      SBCSは三井住友フィナンシャルグループが出資する、SMBCグループ企業です。1989年の設立以来、日系企業のお客さまのタイ事業を支援しております。

      【免責】当レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。当レポートは単に情報提供を目的に作成されており、その正確性を当社及び情報提供元が保証するものではなく、また掲載された内容は経済情勢等の変化により変更される事があります。掲載情報は利用者の責任と判断でご利用頂き、また個別の案件につきましては法律・会計・税務等の各面の専門家にご相談下さるようお願い致します。万一、利用者が当情報の利用に関して損害を被った場合、当行及び情報提供元はその原因の如何を問わず賠償の責を負いません。

      2023年3月〜4月 経済・政治関連トピック

      タイ工業連盟(FTI)の発表によると、2023年3月の産業景況感指数(TISI)は前月比+1.6ポイントの97.8で、2013年1月以来10年ぶりの高水準を記録した。また、業種別では45業種中32業種が上昇。好感の目安となる100以上になったのは18業種だった。特に自動車業界は143.2と高ポイントだった。企業規模別では、小規模企業が前月比+4.9ポイントの89.8、中堅企業が同+1.7ポイントの104.6、大企業が同▲1.0ポイントの98.4だった。

      経済

      タイ商務省貿易政策・戦略事務局(TPSO)の発表によると、2023年3月の生産者物価指数(PPI)は、前年同月比▲1.7%の110.1だった。PPIが前年同月比で下落したのは21年2月以来26ヵ月ぶりとなる。PPIは、22年7月の同+13.8%をピークに、9ヵ月連続で上昇幅を縮小。3月PPIで上昇した業種は「農業・水産」で、同+0.5%の114.2。下落した業種は「鉱業」が同▲6.5%の138.4で、「工業製品」は同▲1.7%の108.5となった。また、今年第1四半期のPPIは前年同期比+0.7%だった。


      タイ商工会議所大学(UTCC)の発表によると、23年2月の消費者信頼感指数は52.6(100以上が好感)で9ヵ月連続の上昇となった。新型コロナ発生後の20年3月以降で1番高い結果だった。項目別でも「経済全般」「雇用」「将来の収入」等すべての項目が9ヵ月連続で上昇した。また、同時調査された自動車の買い時指数、不動産の買い時指数も9ヵ月連続で改善。UTCCはこの結果を受け、外国人観光客の増加、特に今年に入ってから中国人旅行客が増えたことが消費者の信頼感を高めたと分析した。


      タイ商務省事業開発局(DBD)の4月20日の発表によると、23年第1四半期の会社登記数は、前年同期比+17.2%の26,182件、資本金総額は同+4.6倍の3,396億バーツだった。業種別にみると、登記件数は建設(2,118件)、不動産(1,916件)、レストラン(1,228件)の順で多く、資本金額は電気通信(1,382.1億バーツ)、持株会社(1,294.2億バーツ)、不動産(84.2億バーツ)の順で多かった。また、外国人事業法に基づく認可および許可件数は前年同期比+19%の174件、投資総額が同+25%の330.5億バーツだった。国別の投資総額は、日本(121.7億バーツ)、中国(109.9億バーツ)、シンガポール(45.1億バーツ)の順で多かった。


      BOIは3月20日、566億バーツ(16.4億米ドル)相当の投資申請を承認した。この中にはLNGターミナル事業(327億バーツ)や、データセンター事業2件(104億バーツ)、自動車および電気機器産業用の冷間圧延鋼板、金銀生産、産業廃棄物処理(85億バーツ)が含まれる。データセンター事業のうちの一つは英国とシンガポールの合弁によるもので、再生エネルギーが利用される。またBOI、歳入局、事業開発局、タイ中央銀行による統合サービス「HQ Biz Portal」の運用が開始された。本サービスはタイに国際ビジネスセンター(IBC)や地域統括会社の設立を検討している企業に対して、ワンストップでの情報提供や相談受付をするもの。

      政治

      ピパット観光・スポーツ相は政府が2月の閣議で承認した、外国人旅行者から300バーツの観光税を徴収する政策を延期すると述べた。当初は空路で入国する旅行者に対して6月から適用予定だったが、外国人旅行者と労働許可証を持つ外国人、タイ人を識別して異なる対応をとる航空各社のシステム構築が間に合わないため9月に延期する。また外国人旅行者が陸路と海路で入国した場合は、1人150バーツを徴収予定。


      3月21日、タイ選挙管理委員会は下院総選挙の投開票日を5月14日に決定した。下院議員は小選挙区が400人、比例代表が100人の計500人が定数。前回の同350人、150人から人数見直しがあった。また、ラチャパット大学が3月に全国の18歳以上10,614人に実施したアンケート調査では、タクシン元首相派のタイ貢献党が支持率46.2%とトップだった。2位は15.4%のタイ前進党だった。


      大気汚染の状況について、スイスの空気清浄機メーカーIQAirが発表している「最も汚染された都市ランキング」によると、北部チェンマイ県が3月25日~27日の3日連続で世界ワースト1位だった。特に大気中の微小粒子物質「PM2.5」の濃度が高く検出された。タイや近隣諸国で起こっている山火事や野焼きの影響が大きいとみられる。タイ政府は人工雨を降らせる等対策を講じているが、根本的な改善には至っていない。

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