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タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

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中小企業社長兼経営コンサルによる、現場発-経営論

タイ人経理スタッフに予算作成を任せるコツ

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      Q:タイでの予算作成をタイ人経理スタッフに任せているのですが、なかなかうまくいきません。
      コツがあれば教えてください。

      A:私見にはなりますが、3つのコツがあると考えています。

      ①タイ人経理スタッフにとって、予算作成は 業務外であることを理解すること

      「予算も経理に関わる情報なのだから、作成するのは経理の仕事では?」と考えるのは非常に理解できるのですが、そもそもタイの経理スタッフ業務では「過去」に関する経理情報を作成することが一般的であり、予算のような「未来」に関する経理情報を作成することは例外になります。

      発生済みの取引事実に基づき会計記帳を行ったり、発行されたタックス・インボイスに基づいて税務申告を行ったりといった「過去」に関する業務に対しては専門家と言えるでしょう。

      一方で、事業計画や将来予測に基づいた売り上げ・利益数値の作成や、有形固定資産に関する投資がキャッシュフローにどういった影響を与えるかについての分析といった「未来」に関する業務については、通常のタイ人経理スタッフであれば経験がない人がほとんどです。

      もし予算作成を依頼したいのであれば、任せっぱなしにするのではなく、日本人マネジメントがしっかりサポートして行う必要があります。

      ②完成度よりも、まず合理性を目指すこと

      予算は最新情報に基づく合理的なものであれば事足りるものであり、実績と完璧に一致していなければならないわけではありません。

      事業を行う上で、生産計画やプロジェクトの進捗変更、当初作成した予算と実績が合わないということも十分に起こり得ます。こういった場合は、予算と実績の不一致について合理的に説明できるか、もしくはその差異が将来の事業に影響を与える可能性があればどのように対応していくべきかという計画が優先事項になります。

      逆に、当初の数値が合っていたとしても成立した予算額に対して合理的な説明ができなければ、予算を作成する意味がないと言えます。どの程度の合理性が必要かというのは場合によるため明言はできませんが、念頭に置いておくといいでしょう。

      ③外部アドバイザーの利用も検討すること

      ご相談いただいた方の企業が、①の理由からタイ人経理スタッフに予算作成ができない状況で、かつ日本人マネジメントが予算策定の経験がなく②に関する合理性の基準について判断がつかない状況であれば、外部アドバイザーの利用を検討することも一つです。

      例えば、私は東京都中小企業振興公社(Tokyo SME)タイ事務所が実施している経営課題解決支援業務の一環で、日系企業の予算作成をサポートしたことがあるのですが、その中で過去に予算を作成したことがないという企業が、たった2ヵ月間で来年度を含めた2年分の予算作成ができるようになる過程を見てきました。

      外部アドバイザーは予算作成を行う上で何が重要で、何が重要でないかという点もアドバイスしてくれるでしょうし、自分だけでは解決できなかった問題が相談することで早期解決する場合もあります。一人で抱え込まずに、外部アドバイザーの利用も積極的に検討してみてください。


      弊社では、タイ会計基準の日本語訳を出版し、解説のための寄稿やセミナーの実施を行っています。また、いくつかタイ会計基準の日本語解説資料も存在します。
      ・2021年4月号 タイ会計・税務・法務特集
      寄稿者プロフィール
      • 倉地 準之輔 プロフィール写真
      • 倉地 準之輔

        日本で大手監査法人、外資系企業勤務を経て、2013年来タイ。外資系会計事務所のジャパンデスクにて日系企業向けコンサルティング業務に従事した後、15年10月にBizWings (Thailand) Co., Ltd.を設立。経営コンサルティング業務を提供し、現在に至る。公益財団法人東京都中小企業振興公社タイ事務所経営相談員。ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォーム・コーディネーター。公認会計士(日本)。東京大学経済学部経営学科、米ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。

      「予算策定に関する相談をしてみたい」と思ったらBizWingsにどうぞ。

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