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タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

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中小企業社長兼経営コンサルによる、現場発-経営論

タイでの起業に関してのアドバイス

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      Q: タイでの起業を考えています。 何かアドバイスはありますでしょうか。

      私は8年前にタイで起業しました。家族の会社を継いだわけでも、日本に親会社があったわけでも、既存の顧客がいたわけでも、資金が豊富にあったわけでも、斬新なビジネスアイデアを持っていたわけでもありません。ゼロから地味なビジネスを立ち上げました。もしもっと賢明な選択ができたならそれが最善だったかもしれませんが、私自身がそうした道を歩んだ経験から、起業家に向けた3つのアドバイスを共有したいと思います。

      ① 組織の価値と自分の価値を混同しない

      組織の価値ではなく、自分の本当の価値に向き合うことは精神的に非常にきついことです。起業をすると、組織の後ろ盾は存在しません。自分が世の中にどのような価値を提供できるか考える時期がありますが、組織の価値と混同してはいけません。

      私は起業直後にある日系金融機関のタイ駐在員事務所に面談しましたが、相手から「そんな聞いたこともない会社の君と会っても、僕には何の意味もない」と言われたことがあります。この経験から、自分の名前でビジネスをすることの厳しさを痛感しました。起業家は通常、自尊心を持つ傾向がありますが、その自尊心が試練にさらされることもあることを覚えておいてください。

      ② 起業して儲けることは非常に困難

      タイでは企業の財務情報が公開されており、同業他社で直近10年間に起業した5つの会社の財務諸表を見てみてください。これら5社が売り上げを伸ばし、利益を上げているなら、起業して利益を上げることは可能です。

      しかし、多くの産業ではそのような状況ではなく、儲ける会社を立ち上げることは非常に困難です。また、起業すると個人の収入も会社の収益に影響を受けることがあるでしょうが、会社として収益を上げるのが難しい場合、個人の収入も同様に難しくなります。その場合、「なぜ起業したのか?」と考えることもあるかもしれません。

      ③ 事業を続けることも非常に困難

      起業すると精神的にも経済的にも大きな負担がかかります。それでも、あきらめずに続けることはさらに大変です。起業初期はモチベーションが高いことが多いですが、このモチベーションは長続きしません。事業が思った通りに進まない日があり、「こんなはずではなかった・・・」と落胆することもあるでしょう。朝早くから深夜まで働くことが必要かもしれませんし、週末や祝日も仕事をしなければならないこともあるでしょう。そんな中でも折れることなく、日々事業を続けるというのは非常に大変です。起業はスタートすることに焦点が当たりがちですが、それと同じくらい、もしくはそれ以上に継続することは困難であることを理解してください。

      起業は大変なことばかりだと語りましたが、それでも起業を望む人々を尊敬し、応援しています。起業家として、連帯感を感じています。今日も昨日より少しだけ会社を改善するために、着実に努力しましょう。


      弊社では、タイ会計基準の日本語訳を出版し、解説のための寄稿やセミナーの実施を行っています。また、いくつかタイ会計基準の日本語解説資料も存在します。
      ・2021年4月号 タイ会計・税務・法務特集
      寄稿者プロフィール
      • 倉地 準之輔 プロフィール写真
      • 倉地 準之輔

        日本で大手監査法人、外資系企業勤務を経て、2013年来タイ。外資系会計事務所のジャパンデスクにて日系企業向けコンサルティング業務に従事した後、15年10月にBizWings (Thailand) Co., Ltd.を設立。経営コンサルティング業務を提供し、現在に至る。公益財団法人東京都中小企業振興公社タイ事務所経営相談員。ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォーム・コーディネーター。公認会計士(日本)。東京大学経済学部経営学科、米ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。

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